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中継ぎの勇者は聖女の王女様とは結ばれない  作者: 安藤昌益


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勇者乱立編3

 二人は、激しく動いた。彼女は下になって絡みつき、また、上になり、下半身を突き出して

激しく動き、喘ぎ声をあげながら、 「何でこうなったのよ。あなたは、私を捨てていってしまった。私が何をしたと言うのよ!」く

「あんたが、私を捨てたんですよ。利用する価値がないから。あなたは、聖女のような笑顔を見せつつ、本当は、皆を見下し、利用して、虫けらのように捨てる腹黒い女でしかなかったんだよ。」

「あんたは私と同じなんだよ。真の勇者が現れたら、上手く引退して、後は悠々自適に生きようと思っていた。そのために、恥ずかしくない行動するということで精一杯だった。そういういみでは、あんたと同じなんだよ。」

「見下していた男たちに体を与えたのだろう。そして、今、最低の男に身を奪われているんだ。」

「そうよ。あんたなんか、あんたなんかに、この下層の汚い輩よ!それが、高貴な私を犯して!」

 何度も絶叫をあげてぐったりとしながら、すぐに動き出した彼女は、対面で彼に優しく抱きしめられながら、

「私を捨てないでよ。」

「あんたは腹黒い王女なんだ。私と同じなんだよ。そして、そう言うあんたかわたしには必要なんだ。捨てないさ、お前が裏切らないのなら。そして、おまえはもう、あの勇者からも捨てられたんだ。私と共に、堕ちてゆくしかないんだ。」

「分かったわよ。行きつくところまで行ってやる。」

「分かった。もう、逃れられないからな。メディア。」

「何よ。私の名は。」

「私が名付けた、今。」

「何よ!分かったわよ、いいわよ!」

 二人は絡み合いながら、舌を絡ませてあった。 

 トウドウの電撃が、巨大な熊に似た魔獣3匹とそれを前面にたてて、剣や斧を振り上げて迫ってきた大型の犬顔のコボルト達の一団に炸裂した。直撃した魔獣の1匹はうなり声をあげて倒れて、大きな地響きがした。他の2匹は動きが衰え、コボルト達も戦力が半減しているのが分かった。すかさず、彼は突っ込んだ。まず、残る魔獣の首を切り落とす。コボルト達が必死に振り下ろす、剣や斧を避け、或いは剣で受け止め、すかさず切り裂き、拳や脚の一撃で叩き飛ばした。後方の連中は逃げかけたところを、ディーテが火焔の雨を降らせた。そのディーテを襲おうとした、魔法が使えるらしい蛇型の亜人の魔法の攻撃を弾いたメディアが、それが慌てて第二撃のための魔法詠唱を唱えようとしているところを真っ二つに切った。その後ろにいた比較的小さいコボルト達に、メディアの雷球が数発飛んだ。それに、ディーテとトウドウの加勢の攻撃が加わり、彼らはそのまま大地に倒れて動かなくなった。

「どうだ?装備の使い勝手は?」

 トウドウが、倒れた相手に止めを刺しながら尋ねた。ディーテは、探知魔法で周囲を警戒していた。

「ああ、丁度いいわ。掘り出し物ね、あんたは昔から、こういうものを探すのが上手かったわね。それに体の動きも良くなっているわ、嘘ではなかったわね、女~神だというのが。」

とディーテを見て、少しばかり息が乱れていたが、皮肉っぽく笑った。

「疑り深い信者じゃのう。」

 ディーテも皮肉っぽく、嘆息した。

 トウドウは、二人を交互に見て、満足そうな表情を見せた。メディアと再開した後、一番近い町に立ち寄り、彼女のための装備を調達した。剣やその他の聖具は、彼らを狙った刺客達が所持していた聖剣、本人はそう思っていたようだが、どう見ても魔剣、や魔石等を手入、加工などしてメディアに渡そうと思っていたが、町の武器商に入ってみると、店の主が分かっていなかった、聖剣等を見つけた。それらをメディア用に安く買い込んだ。下に着る衣服も含んで、全体にくすんだ黒かそれに近い色で統一させた。

「何で、こんな地味な物ばかり。私が地味な女だと言うの?」

 メディアは、ディーテの方を見て苦情を言った。派手と言うわけではないが、赤を主体に3人の中では一番目立つ色合いでまとめていた。

「私やお前が目立つのは困るだろう。顔を知られていないディーテに目立ってもらうのが一番いい。他人の目は自然にディーテに向かい、私達への印象が希薄になる。3人とも地味だと、これまた目立つものだ。」

「ふ~ん。」

 疑わしい目をしていたが、もうどうでもいいと思っているらしいことに彼は安心した。本来なら、しばらく立ち寄り仕事をする町を一つ飛び越えた町にしばらくの滞在の地にした。自分達の情報が途切れる効果を狙ってのことだ。

 受けた仕事は終わった。滞在している市に帰り、真っ直ぐ、市の窓口に行って地元からの証明書を見せて報酬金を受け取る。傭兵達に、危険な仕事を斡旋する窓口は、多少とも行政力を持つ、都市、町、村ですら存在した。宿に戻り、宿の食堂で夕食を取っていると、トウドウの脇に、女達が割り込もうとした。いち早く、彼が大きな仕事をこなし、それなりに懐があったかいということを聴いたからだ。メディアとディーテがどうしても割り込ませなかった。女達が罵声をあげようとした時、大柄な中年戦士が、

「この旦那がたと話しがあるから、席を外してもらえないか?」

と割って入った。彼はこの市で、傭兵達の顔役のような男で影響力があった。女達は渋々離れて行った。

「礼を言います。面倒な騒ぎにならず、感謝します。」

「大したことじゃないさ。ところでだ、凄腕のあなた方を見込んでのことなんだがね、どうだ、一緒に勇者様の軍に加わらないか?」

 彼はそう言うと、テーブルの空いた椅子を引き寄せ、それに座ってディーテの方に身を乗り出した。

 勇者デューク・フリードを中心とした魔軍討伐軍が近づいている。同時に、兵を募集している。給料はいい。それに、名誉だ。応じるのは大抵チーム単位だ。チームの戦力が高ければ、色々と役に立つものである。強いチームの長は、雇われ先でそれなりの地位が与えられる。

「兄上、どうする?」

 一応兄姉妹としていた。そして、ディーテを交渉ごとでも、賞金受け取りでも、先頭にたてていた。男は意外そうにシンデーンの方を見た。

「ところで、あんたもダークエルフかい?とてもそうは見えないが。」

「兄と私は父が違うのだ。」

「妹さんもか?」 

 メディアの方を顎でさした。

「どちらも、父の方に似たのだ。それはどうでもいいことだろう。兄上の意見は?」

「断るよ。」

「何故?」

「この仕事は、報酬さえ諦めれば、止めて、逃げ帰ればいい。軍だとそうはいかない。それに、軍に人手が取られれば、仕事が増えるだろう。」

 彼は、考えていることを搾り出すといった風に説明した。

「兄さんに賛成よ、私は。姉さんは?」

 メディアがディーテに振った。

「あんた達がそう言うなら、私もそれでいいわ。」

「そうか。残念だよ。まあ、気が変わったら、何時でも言ってくれ。」

 立ち上がって背を向けて行ってしまった。

「明日には旅立とう。デューク・フリードが、来るのとすれ違いで離れる。」

「それは当初からの予定だが、早すぎないか?ここに居て、やり過ごしてもいいのではないか?」

 トウドウが急ぐような態度に疑問を口にした。メディアが、仕方がないという表情で、

「奴等に、凄腕の3人組がいるという噂を耳に入れないためでしょう?まだ、仕事をしてない町でする違うのがいいと言うのでしょう。」

 “私は分かるわよ”という顔をしつつ、

「でも、考え過ぎじゃないの?ディーテに賛成、あなたに反対しないけど。」

 トウドウは、苦笑してから二人に口づけした。

「お前達を守るためには、用心をし過ぎるさ。」




  

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