6・執筆と再検討、読み返し
作品鑑賞をしたあと、感想文に残したくなるかどうかは気持ちしだいです。
すでにご自身の作品鑑賞は行われましたので、書く、書かないは自由です。
そこでもし感想文を書くならば、
1・備忘録や日記として自分のために書き残す
2・誰か他人が読む前提で文書を書き起こす
のどちらかを選ぶ必要があります。
とくに2は、「それを読む誰かのための文章構成」を整える必要があります。読みづらかったり、意味が通じにくかったりする部分を解きほぐし、より伝わりやすさを備えて公開するためです。
読むものを選び、それを読み、湧き起こった感情を検討して作品を鑑賞しました。するとこの時点で「面白かった」など感情だけが渦巻いていた状態から、「何々だから面白かった」とだいぶ理屈のついた言葉になってきているはずです。
頭の中だけにあるこれらの言葉を、実際に文章として書き出すのが今後の作業です。
ところが、鑑賞し頭に思い浮かべた内容に沿って文章を考えていると、書いている途中で新しい考えが湧いたり、さっきまでとは違う考えがふっと浮かんだりします。
すると「執筆」をいったん止めて「整理、検討」に戻ったり、甚だしい場合「感じたこと」そのものがぐらついたりさえ生じるかもしれません。
執筆の最中、さっきまでの思いにくわえて、新しいことや正反対の意見を思いつくのは、どなたも一度は経験があるのではないでしょうか。
ここで案外面倒くさくなってしまうかもしれません。後から湧き上がってきた別の意見を、完了したはずの作品鑑賞に含めて練り直す必要がありますから。
こんなとき、いっそ作品の読み直しに立ち戻ることもあると思います。
私の場合、ここまで来ると作品の細かな表現や述べられた事実などが頭から抜けるときもありますので、思いを確認するべく、作品をめくり直すことが多いです。
書けば書くほど横から別のアイデアが浮かび、再検討して鑑賞に磨きをかけつつ文章に起こすこの工程は、行う作業が目まぐるしく移り変わる最も混沌として忙しい場面で、経験や慣れがものをいうのではないかと思います。