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第九話・牧野に歌い楽しむが、悪魔に囲まれ危機が来訪す


【第九話・牧野ぼくやうたたのしむが、悪魔あくまかこまれ危機きき来訪らいほうす】




装備も一新した二人、ルンルン気分。


「勇者、勇者、オレ勇者ぁ~♪」


「ふふ…ホント、勇者様はお歌が上手ですね。」


「あ、オレ、ボーカルやってんだ。ボーカル。」


メロスはバンドマンであることを鼻にかけました。そういって、サロメの気を惹こうとしたのです。


「ぼおかる??」


サロメは幼少の頃から神職の身。ボーカルという言葉を知らなかったのです。効果はいまひとつ…。

しかし、知らないとあってはメロスを傷つけると思ったサロメは知っているふりをしました!


「すごい!勇者様!勇者様は勇者であらせられる上に、羊飼いでもあって、ぼおかるでもあるんですね!」


「うん。」


得意顔のメロス。


「ちょっとやってみてください。」


そう言われて悪い気はしないメロス。一曲熱唱しました!


「すごい歌ですね。勇者様!」


「ありがとう!センキュー!」


「歌はいいんですけど、ぼおかるはいつなされるんです?」


「え?」


「えー!見て見たい!ぼおかるぅ!!」


…時として…無知なる言葉は人を傷つけます。メロスも例外ではありませんでした。

サロメのこの言葉を、「私はそれを歌と認めないわよ?」という意味だと悪く受け取ってしまったのです。


メロスはだまって目的地をめざして歩き出しました。


(あれ…勇者様…怒ってる…。なにかしら…私がなにか言っちゃったのかしら…。ぼおかるっていったい何だったのかしら…??)


サロメが、どうしようどうしようと考えている間、メロスは早足で自分の村へ向かいます。


「ん?」


メロスが足を止めます。

サロメが早足でメロスに追いつきます。


「ハァハァ、ど、どうなさいました?勇者様。」


普段は気に留めていなませんでしたが、自分の故郷の程近くにある砦…。


あれはC砦ではないか?


なにやら、砦の方向から土煙が上がっています。


「あ。魔王軍の砦ですね。さ!勇者様の出番ですよ!」


しかし、メロスはそれをシカト。


(あーん…。)


土煙の正体は、悪魔の馬に股がった騎馬武者達でした!

二人は身構えます。

騎馬武者達は、二人を囲み、グルグルと回りながら不適な笑みを浮かべています。


このままではマズイ!と二人は思いました。

サロメはすかさず、霹靂の杖を構えます。

しかし、その騎馬隊の中央を割るように入って来た二人の悪魔がおりました。


「ふふふ…、ようこそ勇者ご一行様。」


「私たちは、この地の砦を守るインクブスとスクブスよ♡」


妙に色気のある悪魔たちです。サロメは霹靂の杖を使おうとしました。


(…身体が…重い…)


「ふふ、早速効いて来たようだね。」


「私たち、悪魔夫婦の魔法、催淫魔法がね。」


二人の息がハァハァと荒くなります。次第に熱く抱き合う二人…。


ここで、またもや説明しなくてはなりません。

インクブスとスクブスは、人間を淫らな心にする能力を持っています。これにかかると、どんな高貴な偉人でも所構わずエッチな気分になってしまいます。

どんな優れた武人でも、トイレ、寝ているとき、また男女の睦み合いの行為中であると無防備になるものです。

それが、術でそうされたらたまりません。もしも、戦争中に味方が全員行為に没頭していたら敗北は必然です。

最低な術ですが、最強の術でもあるのです!!


悪魔に囲まれたまま、抱擁を続ける二人…。


「勇者様…ダメです…このままでは…二人とも…。」


「サロメ…愛している…。」


「…私もです…。」


「I love you….」


「Me too….」


英語にすれば、いやらしいところがボケるんじゃないかと試してみましが、もうここで限界が来てしまいました。「私も」が「Me too」なのか「Me to」なのかも分からず、翻訳サイトに頼るほどでした!

(お前の話しはどうでもいい。)


「はっはっは!勇者殿のまな板ショーの始まりだ!」


インクブスが他の悪魔を見渡して大声で吠えます。


「ちょいとお待ちよ。オマエさん。」


スクブスがインクブスを止めます。


「どうした?スクブス。」


「どうやら、あいつら相思相愛みたいだよ?」


「だからなんだ。」


「このまま、あいつらに交わらせた後に殺したら、二人で仲良く成仏するだろう。しかし、交わる前に殺したら、思いを遂げられず…魂は永遠に彷徨う…。」


「プ…クク…お前はホントに悪魔だねぇ…。」


そんな中、二人は音が出るほど熱い熱い口づけをします。


「いけません…勇者様…。」


そういうサロメの腕は、メロスの首に巻いたまま離しません。


「だめだ…このままでは…。」


そういうメロスの手は、サロメの服を脱がそうとしています…。


げに恐ろしきは、インクブスとスクブスの催淫魔法!


「このまま、サロメを抱いたまま死んでしまうのも悪くない…。」


「ええ…わたしも…勇者様と一つになりながら死ねるなら…。」


二人は抱きしめている腕にさらに力を込めました。


「いよいよだねぇ。いいかいお前たち。合体魔法を使うよ!あいつらの頭上に炎の球をイメージするんだ!」


そこにいる悪魔達が魔力を集中させ、メロスたちの頭上には大きな火の玉ができあがります…。

ゴウゴウと音を立て、回転する火の玉。


「これを食らったら、さしもの勇者でもひとたまりもあるまい!はっはっは!」


いよいよメロスはサロメを地面に押し倒し、覆いかぶさりました!



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