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第八話・勇者、聖王の外套を入手し、武装益々強化す


【第八話・勇者ゆうじゃ聖王せいおう外套マント入手にゅうしゅし、武装益益強化ぶそうますますきょうかす】



「勇者様の策略が見事当たりましたね!どんなに体力があっても弱点には勝てませんもんね!」


「お、おう…わかる?」


「分かりましたとも!私、尊敬しちゃいます!」


「へへ…」


「あ…、このマント…。ヴァンパイアと一緒に灰になりませんでしたね。これ、勇者様が付けたらどうでしょう??ちょっとは防御力上がるんじゃないですか?」


「あ、そうだね。」


といって、ヴァンパイアがつけていた緋色のマントをつけるメロス。


「お~!男ぶりがますます上がりましたね!」


と、メロスを褒めるサロメ。


「じゃ、勇者様の街に向かってレッツゴーですね!」


「んだべ。」


といって、魔王軍のB砦を後にしたメロスご一行。



一方そのころ、魔王の居城。

王座の間で魔王は歯ぎしりしております。


「まさか、勇者が現れようとはなぁ…。」


「はい、大トロル様、ヴァンパイア様は敗れ、の地の魔王軍は敗走。いかがいたしましょう。」


「C砦には、インクブスとスクブスの夫婦が守ってったな…。」


「左様でございます。」


「たしか、勇者一行は、男女一組であったな…。」


「その通りでございます。」


「おあつらえ向きだ。彼らに任せてみよう。」


「御意にございます。」


との作戦にまとまったようでした。


ここで説明せねばなりませんでしょう。

賢明な読者諸君にはもはや説明に及ぶべきところでありませんが、インクブスとスクブスとは「夢魔」のことです。

インクブスは男の悪魔でインキュバスともいい、スクブスは女の悪魔でサキュバスともいいます。

スクブスは寝ている若い男の部屋に忍び込み、その精を盗み、インクブスは若い女性の部屋に忍び込み、その精を胎内に入れ、望まない子を作るというのです。

どちらも色気あふれる悪魔だといいますが、中世のヨーロッパで不倫が横行し、望まない子ができたら、「あーインクブスにやられて…」的な言い訳に使われたと考えられます。



さて、そんな中メロスたち。城を出てから3日目。

夜、旅商人のキャラバンのキャンプに混ぜてもらっておりました。


「ほほう…魔王軍の砦をお破りになすったと!ははは。客人は冗談がお得意なようで…。」


商人たちは一様に笑いました。

貧相なメロスと、細腕の女僧侶サロメでは無理もないでしょう。


「何をおっしゃいますやら!その程度の目利めききで商人が務まるなら商人など楽なご商売!」


ムッとしたサロメは商人を挑発しました。

このキャンプから追い出されたら野宿になってしまう。メロスはオロオロしたものでした。


「ここにございます、杖は、A砦を守っていた大トロルが持っていた霹靂の杖。世界の一つしかない宝!また勇者様のつけておられる緋色のマントはB砦のヴァンパイアからの戦利品でございます!」


「な、なんと!」


食い入るように二つの品に見入る商人たち。


「これは、もしや聖王のマントでは??」


「そうなんですか?」


何も知らないメロスは聞き返しました。

古老の商人は、語りだします。


「この品は、いにしえの聖王がまとったマントで、ごらんなさい。」


といって、燃えた薪をマントに投げつけました。炎は、マントに当たると吹き飛ぶように投げた古老の元に飛んできた。古老はその炎を器用に避けました。


「炎や吹雪などのブレス攻撃はもちろん、呪文なども跳ね返す効果がございます。きっと、炎攻撃に弱いヴァンパイアが魔王より下賜かしされた品だったのでしょう。」


「へー!」


メロスとサロメは驚きました。またもや宝を手に入れたのです。

メロスはキャラバンの隊長に聞きました。


「このキャラバンではなんの商品を扱っております?」


「ああ、武器や防具を扱ってるよ。」


「ちょうどいい!ここに3000ゴールドあるんだけど、俺たちに武器や防具を売ってもらえないだろうか?」


「あー…。でも君たちのような華奢きゃしゃな体では重い武器や防具ではねぇ…。鎖帷子くさりかたびらなんてどうだろう?」


「いいね。じゃ、それを2つだ。」


チェーンを編み込んだ軽い鎧です。二人は互いに服の上にそれをまといました。


「武器は…女性の方はその杖以上の品はここにはない。勇者殿は…。」


メロスは、武器の馬車を見に行きました。が、どれもこれも重そうなものばかり。

メロスのテンションはかなり下がりました。


重かったら疲れるし、扱うのも無理だろう…。

軽くて、かさばらないものはないだろうか…??


「それなら、この弓矢はどうです?」


「うーーん…、矢をつがえるのが面倒だなぁ…。」


「じゃ、このナイフなら?」


「接近戦はちょっとなぁ…。」


商人はイライラしました。


こいつホントに勇者なの?いろいろと注文が多すぎる!


ふと、メロスが目をやると一風変わったものがありました。


それは、片手で握り、人差し指で引く場所があり、上部には筒がついているのです。


「これって…。」


「あー…。試作品の衝撃火筒ショットガンですよ。」


「え?なにそれ。かっこいい。持ち運びも便利そうだし。」


「まぁ、試作品ですがね…。ここで、狙いを定めて、この引き金を引くと、筒から光が飛び出し当たったものにダメージを与えるというものです。」


「へー!画期的!」


「そうでしょ?まー弾は数発しかありませんし…。無難に剣とかにしとほうがいいと思いますけど…。」


「いや、これにする!」


「マジすか?まーいいですけど…。ノークレーム、ノーリターンでお願いしますよ?しめて3000ゴールドです。」


といって、武器防具を揃えた二人。四日目の夜が明けます。

いざ、メロスの村へ向かいます。



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