第七話・恐るべき人怪の危機に窮余の一策、呪われし杖を撃つ
【第七話・恐るべき人怪の危機に窮余の一策、呪われし杖を撃つ】
「???いませんね…ボスのヴァンパイアは…。」
「いや、あの棺桶めっちゃ妖しいだろ…。」
二人は、蓋にお互いに杖をあてがい、「いっせーのせ!」で押し開けました!!
空っぽ…。
「ん???マジいない??」
すると、天井から大きなコウモリが飛んできて、サロメの背中に張り付いたと思ったら、人間の形に変化致しました。
サロメを押さえつけ羽交い締めにする、その男。
「キャ!」
サロメの手からカランと落ちる、霹靂の杖。
「ふはははは。ようこそ!私の城へ。」
もはや、説明は不要でありましょう。彼のものが、この砦の主ヴァンパイアでありました。大コウモリに化け、二人に奇襲してきたものでありました。
「霹靂の杖を所持しているところをみると、貴様らが大トロルをやぶった勇者御一行様というわけか。」
「そ、そうだ!」
メロスは叫びました。ヴァンパイアは続けざまに言います。
「そんな、貧弱ななりで、私に勝てると思っているのか?見れば、十字架も所持しておらん、無為無策で飛び込んできた猪武者にしか見えん。」
その通りでした。肝心のサロメもつかまり、ヴァンパイアの弱点は何一つ所持しておりません。これでは、勝てることなどできましょうか?
メロスは思いました。
せめて、霹靂の杖を…。
「ふふ…この女は紛れもない処女…。さっそく生き血を私の胃袋に流し込み、一族にしてやろう…」
ヴァンパイアに血を吸われたものは、吸血鬼になってしまうのでした!
「では、マドモアゼル…いっただきまーーーす!」
突然、フランス語をしゃべったと思いましたが、やはり日本語。ただ、雰囲気でそう言ってしまったようでした。
と、私が解説している間にメロス、二人の足元に転がっている霹靂の杖を奪取いたしました!
あ…ダッシュして奪取いたしました!
(なんで言い直したんだよ)
霹靂の杖を構えるメロス!たじろぐヴァンパイア。
「うぬ…。」
「形勢逆転だな!」
「ふふふ…たかが、ザコならば霹靂の杖一撃で倒れようが…いいことを教えてあげましょう。私のHP(ヒットポイント:体力)は53万です。」
「ビクゥッ!!」
(口で言っちゃった…勇者様…)
そんな…勝てるわけがない…。ましてや、霹靂の杖からでるいかずちが、ちゃんと飛んでくれるかどうか確証がない…。しかし、サロメを助けるため…今はやるしかない!やらないよりはやる!
「やってやる…ヴァンパイアなら人間じゃないんだ…オレにだって…。」
メロスは霹靂の杖をかまえ、それを振りかざしました!
へきれきのつえからいかずちがほとばしる!!
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三三三三(; ・`д・´)三三三三三
1%あれば…!
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カットインが入って、信頼度が上がったと思われましたが、その背景は青。逆にハズレ確定のようなものでございます。
(なんの話ですか??)
パチンコです。
(パチンコか…)
しかし、いかずちは後ろの方向に飛びました。そして、砦の壁に当たったのでありました…。
「…勇者様…。」
サロメが悲痛に声を絞り出しました。メロスは思いました。
やはり、呪いだ。この杖は牧人には使えないものだったのだ…。セリヌンティウス…すまん…オレとサロメはこの地で…
「プ…クク…。勇者だと思っていたが、お前…羊飼いか…?その杖が使えないところをみると…。」
ヴァンパイアは蔑んだ声で笑いました。
メロスはガックリを肩を落としました。
しかし、鳴り響く、二人のレベルアップのファンファーレ!
二人のレベルは急上昇に上がってゆきます…!!
「え??」
三人はあたりを見回しました。
すると、大きな音を立てて、砦の壁が崩れ去ったのです!
いかずちが当たった場所が時間差で壊れたのでした。
そこから入り込む太陽の光。
それがヴァンパイアに注ぎ込みます。
「わ!わーーーー……!!!」
断末魔をあげて灰となってゆくヴァンパイア。
さらに、風が入り込み、その灰を吹き飛ばしてゆきます…。
「すごい!すごい!勇者様!」
といって、感激のあまりメロスの頬にチュッチュしてくるサロメ。
は~…いいなぁ…処女のくせに大胆だなぁ…と、それを楽しむメロスでした…。