第五話・尼僧霹靂を操る杖を手にし老爺大いに感激せしむ
【第五話・尼僧霹靂を操る杖を手にし老爺大いに感激せしむ】
「あら、勇者様、その杖は…。」
「あー。この大トロルの手に握られてたんだ。」
「すごい杖ですね。きっと魔法の効力がありますよ!」
「そうかもね。」
「じゃ、集落を目指して歩きましょう!」
「はいな。」
集落を探し、歩く一行。すると、塀に囲まれた街を発見。
今日は、ここで休息をとることに。
魔物が散り散りに逃げていくのを見ていた村人は、メロスたちに何があったか聞いてきました。
サロメは言ったものです。
「実は、この勇者メロス様が砦の主、大トロルを退治なすったのです。拍手!」
沸き起こる拍手。そして大歓声!この地に平和が訪れたのです。
メロスとサロメは大歓迎を受けました。
中から、一人の老爺が現れました。
「おお!これは…勇者様がお持ちのその杖は、世界の珍宝「霹靂の杖」。」
珍宝…と聞いて、読者様方は、作者が下ネタを使いだした、これはいけません。すぐさま通報ですと思ったでしょう。しかし、珍しい宝、貴重品という意味なのです。決して、下世話な意味だけではないことを記しておきます。
「へきれきのつえ…?」
「そうです。念じて振れば、そこにいる敵にいかずちを振らせるという魔力を持つ杖にございます。まさか、生きている間に拝めるとは…。」
「やりましたね!すごい戦利品ですね!勇者様!」
「ですが、この杖には、少々呪いがかけられておりまして…。」
「え?呪い?」
「左様にございます。牧人が使用すると、いかずちが思う方に向かわないという呪いにございます。」
「ぼくじん?」
「はい。分りやすくいいますれば、牧童、羊飼いですな。まぁ、勇者様には関係はございませんが…。」
顔を見合わせるメロスとサロメ…。
老爺が口を開きます。
「本日は、この集落で暖を取っていただきとうございます。さ、宿はこちらでございます。」
メロスは思いました。
ちょっと、ギャグが少なくなってきちゃったな。とね。
「杖は、つえー。」
「え?なんですか?勇者様。」
「駄洒落だよ。駄洒落を言ったのは誰じゃ?」
「フフ…面白いです。勇者様。」
効果はいまひとつ…。
なにか、革新めいたことをしないと、流れは変わらないでしょう!
がんばれ!メロス!
明日にかけるのだ!
「この杖はサロメが持ってて。代わりに、オレがサロメの今までの杖を持つから。」
「え!!?いいんですか?こんな世界の宝を??」
「だって、羊飼いが持ってたらダメみたいだし…。ん?ダメの方がギャグになるかな…?」
「え?なんです?勇者様。」
霹靂の杖を、サロメに渡します。
ま、これで、MP消費せずに敵を撃破できるでしょ。
こーゆー作戦を立てるのがリーダーのいいところ。
そんなところに女性はグッとくるでしょ!
と思い、サロメをちらりと見ます。
しかし、サロメは手にした霹靂の杖をキラッキラした目で見ているのでした。