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第十八話・魔王の進撃は止まらず、走る二人に闇の帷が降りる


【第十八話・魔王まおう進撃しんげきまらず、はし二人ふたりやみとばりりる】



ルキフェゴールがシェイドの砦…、グランドの砦を越えたところで、またも報告の者がきます。

魔王はフォラスが敗れたのかと思って多少ドキドキしておりました。


「報告です。ディサイド様が勇者を名乗るキールとその一行を討ち取ったそうです。」


「なんと!」


「血を流さず、同士討ちをさせたようです。」


「ははははは。」


ルキフェゴールは振り向いて軍隊に号令しました!


「皆の者!ディサイドが勇者の片方を討ち取ったぞ!我々がディオニス王のもとにただり着くころには、もう一人の勇者も血祭りになっているかも知れん!」


「おおおおおおおおお!!!!」


一気に士気は高まり、魔王軍はぐんぐんと進撃します。



一方その頃…。


メロスは、フェイントをかけて後ろを振り向いたりしながら走っておりました。

(サロメがいること知っとんのかい。)


あとわずかで城…9日目の夜です。

明日はいよいよ10日目…。

数日の徹夜。

しかし、メロスは城が見える小高い山の上に立っていました。


「ここまでこれば…明日の夕刻にはたどり着くだろう。」


明日は自分が死ぬ日です。

走り疲れたメロスは少し眠ろうと、木に寄りかかって休息を取ろうとしました。


「サロメ…。」


「はい…。」


「いるんだろ?」


「はい…。」


「悪かったな…ここまで付き合わせて…。」


「勇者様…。」


「はは…勇者かぁ…。なんかどうでもいいや…。」


「ふふ…あたしも!」


サロメはメロスの元に駆け寄りました。


その時、メロスの前に闇が広がります。


「星が…消えた…??」


夜でも、月明り、星明り、城からほんのりと光があるものです。

しかし、メロスとサロメの前からどんどんと光が消え…。

やがて何も見えなくなりました。


「これは…どういうわけ…??」


「勇者様…どこ??」


「ここだけど…。」


二人の手が触れ合う。


メロスは手を引いてサロメを自分の方へ引き寄せました。


「なんでこんなに暗いんだ?夜だけど、まったく光がないなんて。」


「怖いですけど…。勇者様といっしょなら怖くないです。」


「サロメ…。」


闇の中から声がします。


「むふふふふ…。ほら、やれ。勇者。交尾しろ。」


「な…なんだぁ??」


「私は、魔王様の一の部下フォラス!」


メロスはキョトンとしました。


「…ふーん…。」


「…ふーん…ってオマエ…。」


「そのフォラスさんが何の用?」


「…いや…フォラス様じゃない。その部下のディサイドだ。」


ディサイドはいつものギャグが通じなくて少しひるみました。


「まぁいい…。キールはわたしが倒したよ。」


「は?…あの…キールを?」


「そう…。」


「強いな。」


「そうでしょう?」


「どうやってオレを殺す?」


ディサイドは闇の中に生きるもの。

メロスの姿は丸見えです。


メロスの腰に帯びるものは…


…ない…。寸鉄一つ帯びておりません。


(ぬぅ…。)


今までディサイドはどんな勇者たちも言葉巧みに暗闇の中で同士討ちさせて倒してきたのです。


キールとジンとラムのように恋愛感情を利用して愛するサロメをメロスに殺させ、絶望の中自殺させてやろうと思っていたのですが…。


「ふむ…。」


「どうした?」


ディサイドもメロス同様武器を持っていません。


お互いに何もしないまま時間だけが過ぎていきます。


「オマエには見えるかも知れんが…オレは…武器を持っていないんだ。」


「ほう…それは好都合な…。さぁて…どうやって殺してやろうか…ッ!!」


と凄んだがなすすべがない…。


「オレは明日どうせ死ぬ身なんだ。見逃してくれ。」


「ほほう…。それはいいこと聞いた。聞いちゃった。」


しかし、ディサイドにも何もできない。ホントにこのまま見逃してしまおうかと思いました。


「ヤメロ…彼女だけは…助けてやれ。」


「ふふふ…そうもいかん…。」


そうもいかん…。と言ってしまったよ…。

さてさて…


どうしよう…。


「はぁ…。」


ディサイドからため息が漏れます。


「???」


「勇者様…。霹靂の杖を使ってもよろしいでしょうか?」


「!!?」


ディサイドは魔法にも弱い。

というのも光に弱いのだ。


「いや…。君は見逃してもらうんだ。攻撃しない代わりに…。」


「!!」


ディサイドには、魅力的な条件でした。


「…そうだな…女には…なんの罪もない。勇者を殺したらこの闇の世界から出してやることを約束しよう。」


「分った。サロメには手を触れるなよ?さぁ!殺せ!」


スマン…セリヌンティウス…。

あの世で詫びよう…。


しかし、ディサイドには打つ手がありません。


このまま…フォラス様がくるのを待つしかないか…?

それまでの時間稼ぎをなんとか…。


「勇者様…。この魔物、さーーーーっぱり襲ってこないところを見ると…。武器を所持してないし、呪文も唱えられないんじゃ…。」


またもやサロメの予想は当たっておりました。


「さぁて…どうかな…?人間が考えることなど…手を取るようにわかるんだぞ!(怒)」


「いや、キレられても…。」


メロスも、どうしていいかわからず手を降ろしますと、ベルトになにか刺さっています。


ん??


これは…たしか、商人から買ったショットガンというものでは??

光が飛び出して相手にダメージを与える…とかいう…。


サロメに攻撃させて、万一魔物が怒りでもしたらサロメも殺されてしまう。

そうだ…オレがやるんだ。



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