第一話・大王邪智暴虐にて人を殺し、勇者詰問せんと昇殿す
【第一話・大王邪智暴虐にて人を殺し、勇者詰問せんと昇殿す】
メロスは激怒しました。(本人談)
なんだって、そんなに怒っているんだと、あなたは問うでしょう。
この国の王、ディオニスがかなりの暴君!
んまぁ!どうしましょう!
「王様は人を殺します!お侍様!どうにかしてくださいませ!」
「なるほど、町人。あいわかった。あとは、このお侍様、メロスに安んじてまかせたまえ!ドンとこいだ!」
「おお!なんと頼もしい!」
メロスはお侍様だったのかどうかは知らないが、うまく担がれた形でした。
きっと、御神輿のような顔立ちだったのでしょう。
メロスのあまりの怒り具合いはなんと表現したら良いのか…。
怒髪天を衝く…というほどのものでもなく…
怒り心頭に発する…というほどのものでもない…。
憤懣遣る方ない…ってどういう意味??
(知らないで書いちゃった?)
ただ、ノセられてしまった感じ?
だって、王様のこと、ウワサでしか知らないのですから。
しかし、そこは、若さですな。王宮に乗り込んで行くんですよ。これがまた。
こちらもビックリ。まさか、そこまでやってしまうとは…。
げに恐ろしきは若さの衝動!
オリジナルの怒りソングを口ずさみながら、王宮に向かいます。
「怒♪怒♪怒♪怒♪怒ーナッツ♪
怒♪怒♪怒♪怒♪怒ラキュラ♪
怒♪怒♪怒♪怒♪怒ーなってんの?」
王宮の扉が開きます。
きらびやかな宮殿。こんなところに住みたいなぁ。でも掃除が大変だなぁ。
とか、そんなことをいいながら、メロス、殿上の人となりました。
いざ、王様の前に謁見!
「王様、あーた最近、評判悪いよ??」
「なんだいきなり、こいつ。」
「国王、乱心めされたか!」
「いや、落ち着け。なに?どういうこと?」
「ドゥーユーノーミー??」
「ノォー!」
「ご紹介が遅れました。私、「ハシレ・メロス」というものでございます。」
「そーゆー名前なのな…。で、何??」
「王様は人を殺すというじゃあーりませんか!」
「すっごい直接的だけど、具体的じゃないね。誰を殺したって?」
「あー……。」
「知らないできちゃった?」
「ちょっと、聞いてきます。」
「うん。報告、連絡、相談はちゃんとして欲しいものです。」
王様に、ちょっぴり叱られて、また町にやってきたメロス。
さっそく、調査にかかります。
市場には人が大勢。その中でも、モノを知ってそうな…ヒマそうな人を捕まえて話しを聞きました。
「王様は人殺しなんですって?さて、誰と誰?」
「あ…クイズですね?そーゆーの得意です。」
「さー時間がありません。チッチッチッチ」
「えー!ちょっと待ってください。えーと…妹婿様、それからご自身のお世継ぎ様…そして、妹様…、妹様のお子様…。」
「妹関係ばっかりだね。」
「いや、これからがいいところ。ご自身の奥様、そして、大臣のアキレス様。」
「こりゃ!許しがたし!」
「え?正解とか、そういう言葉はないの?」
「実は、私にも、一名の妹がおりまして…。」
「あ…その話し長くなります?」
「まぁ、聞きなさい。これも報連相。」
「え?なに?」
「妹は16歳で内気ですが、最近、レコができましてね。」
そういって親指を立てるメロス。
「ほほう…どんな彼氏で?」
「まー、真面目一徹って感じの人なんだけどね。オイラの同僚。羊飼い。」
「あー…羊飼い…。」
とたんに、この町人は蔑んだ目でメロスを見ました。
「あの、プラプラして飯食ってる、牧童ね…。」
軽蔑した言葉で、メロスを蔑みました!
メロスは激怒しました!この上なく!
職業に貴賤があるでしょうか?
駕籠に乗る人、担ぐ人、そのまた草鞋を作る人。
そういうのがあるからこそ、社会は成り立っているのではないか??
メロスはこの怒りを王様にぶつけることにしました!(なぜ?)
「怒♪怒♪怒♪怒♪怒うぶつ♪
怒♪怒♪怒♪怒♪怒ラクエ♪
怒♪怒♪怒♪怒♪怒ーなってんの?」
そう口ずさみながら、メロスは王宮に入って行きました。