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博士と助手

作者: まるだまる

助手の苦労が偲ばれる。

 サスペンスドラマに出てきそうな崖っぷちに立つ小さな館。

 そこには一人の年老いた博士とうら若い女性の助手が住んでいた。


 助手は博士に呼ばれ庭へと出る。

 

「助手君、今日はいい天気じゃ」

「そうですね博士。雲一つないですね」


 見上げると、確かに水平線の彼方まで雲一つない青空が広がっている。

 博士は望遠鏡にやたらと機械を組みつけた物を納屋から持ってきた。


「そこでこんなものを作ってみたんじゃ」


 助手の表情は、天気と打って変わってどんよりとした表情になる。

 天気がいいからという理由だけで今度は何を作ったのか。

 理由自体も相変わらずの意味不明だ。


「……コレ、なんですか?」

「空をスクリーン代わりにできる映写機じゃ」

「……意外とまともそうですね」

「これはだな。光の粒子を変換して――人の可視光線の有効範囲に作用して――という代物なんじゃ」


 分かったような、分からないような。

 要はスクリーンが無くても空に映像が映ると言いたいらしい。

 

「では、実験はまだしておらんが成果をみようかの」

 博士は発明した映写機のスイッチを押した。


 キュ、キュ、キュ、キュ――キュン


 気のせいか、映写機からレーザーのような一条の光が空に向かって射出された。

 射出された光は、あっという間に空の彼方へと消える。

 助手は「これは間違いなくアカンやつや」と呟く。


「映らないのう?」

「博士……もうこれ嫌な予感しかしないんですが」

「おかしいのう。では海に映るかどうか試そう」

「あ、ちょっと待ってくだ――」


 博士は助手が止めるのも聞かず、レンズを海に向けてスイッチを入れる。


 キュ、キュ、キュ、キュ――キュン


 映写機からレーザーのような一条の光が海に向かって射出された。


 ドン!


 水平線の海に当たると同時に、爆音とともに大量の蒸気が上がる。

 雲一つなかった空に大きなきのこ雲が浮かぶ。


 相変わらず、博士の作る発明品は危険極まりない。


 この間も自動でパンを作る菌を発明したといって、何でも食ってしまう巨大アメーバを生み出した。

 助手が3日間格闘の末、ようやく退治することができた。


 その前は全自動洗濯機が壊れたからという理由で、巨大竜巻発生装置を作った。

 助手が右腕を骨折しながらも発生源の装置にたどり着き破壊。


 そしてその前も、マッサージ器が欲しいと言い出して、助手が婚活パーティに参加している間に地震発生装置を生み出した。これもまた、事態を知った助手が装置までたどり着き、上手くいきかけてた婚活パーティがその時に起きた地震で中断された恨みを込めて徹底的に破壊した。


 幾度となく危険なものを作り出す博士――そして、それはすべて助手の活躍により破壊された。

 もういっそ、博士を重要危険人物に指定して監獄に閉じ込めておいてほしいとすら願う。


「……博士、この機械は私が責任をもって壊しますね」

「おかしいのう。こんなはずではないのだが」


 そして、今日も助手の手によって世界は救われたのだった。


 お読みいただきましてありがとうございます。

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― 新着の感想 ―
[良い点] 面白かった^^ [気になる点] 残念ながら、継続的に読者をひきつける要素が乏しいかもですね。 [一言] かつて私自身が・・・ 某リ○ルート社設置のサイトにて「博士と助手」というタイトルで…
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