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転生グルマン! 異世界食材を食い尽くせ  作者: 茅野平兵朗
第1章 ラーメン王に俺はなる! の巻
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第106話 真夜中のティーパーティー再び

お待たせしました

 丹精して作ったオーク骨ラーメンがこの世界の神様からご禁制に指定されてから数日後の真夜中、僕は厨房で懲りもせず鍋を竈でかけていた。

 火加減は当然強火だ。

 実に僕は諦めが悪い男なんだなあとあらためて実感していた。

 鍋の中身は下茹でしてあくを抜きたたき割った豚の大腿骨、頭蓋骨、背骨、そして、鶏がら、モミジ(鳥の足)ニンニク、タマネギ、ニンジン、キャベツに、ジャガイモなどの香味野菜にハーブだ。

 そう、僕は今度は豚骨ラーメンを作ろうとしていた。

 もちろん麺も前回と同じように街の製麺所に頼んである。今度は百五十食だ。

 ちなみに製麺所の親方の記憶操作は行ってもらってない。

 女神様方の「たぶん大丈夫でしょう」という言葉を信じている。

 今回も海産系の出汁の元は入れていない……ってか、入手できてないから入れようがない。

 そのうち、海に行って昆布拾いと出汁の元採取をして来よう。

 小魚をたくさんとってその場で煮て干せば、煮干になるはずだし、昆布もその場で干せばいい感じになるような気がする。

 流石に鰹節や鯖節なんて手の込んだものの作り方ははっきりとは覚えていないから無理だろうけれど、煮干や干し昆布ならなんとかなりそうな気がする。


「ふむう、オークの骨に比べたらずいぶんと簡単に叩き割れたなぁ」


 オークの拳骨に比べてものすごく簡単に叩き割れたことに僕は少なからず驚いていた。


「むしろ、あっけないくらいにパカンって割れたよなほとんど一撃で……」


 元の世界で豚の拳骨を割った時は十回くらい金槌で叩いた覚えがある。

 今回使っている豚の拳骨も大体同じくらいの太さだったから、それを一撃で叩き割った僕の膂力に素直にびっくりしていた。


「ふふふ、これがレベルアップってやつなんだな……。鑑定、自分自身」


 そういえば、ゴブリンの巣穴を討伐してからこっち、自分のレベルを把握していなかったことを思い出して僕は自分を鑑定してみた。


【状態】

 名 前:ハジメ・フジタ

 異 常:無し

 性 別:男 

 年 齢:25歳  

 種 族:人間  

 職 業:冒険者 Lv.43

  職種:ポーターLv.59

 HP :324

 攻撃力:416

 防御力:∞

  力 :460

 体 力:350

 魔 力:∞

 器用さ:420

 素早さ:410

  運 :∞

 スキル:絶対健康 常時全回復 鑑定(限定解除)鑑定妨害(状況:虚偽情報表示)

 耐 性:病(無効)毒(無効)眠り(無効)麻痺(無効)混乱(中)恐怖(小)

     ショック(大)

     火属性攻撃(無効)水属性攻撃(無効)風属性攻撃(無効)土属性攻撃(無効)

     電属性攻撃(無効)

     光属性攻撃(無効)闇属性攻撃(無効)即死性攻撃(無効)

     火魔法攻撃(無効)水魔法攻撃(無効)風魔法攻撃(無効)土魔法攻撃(無効)

     光魔法攻撃(無効)闇魔法攻撃(無効)

 その他:女神イフェの祝福、女神ルーティエの祝福 女神ミリュヘの祝福


 うわ、なにげに10もレベル上がってるよ。

 いつのまにかミリュヘ様の祝福もついてるし。

 僕がこんなに上がってるってことは、ヴィオレッタやサラ、そして、エフィさんもずいぶんレベルアップしているに違いない。

 それに、冒険者ランクもひょっとしたらかなり上がってるんじゃないか? あんだけのことやったんだもんな、明日にでもギルドに行ってみよう。


「ハジメさん、まだお休みにならないんですか? ……この匂いは……何をされているんですか?」


 僕が、自分のレベルアップにニマニマとしていたら、いつの間にかヴィオレが厨房の入り口に立っていた。オーク骨のときと同じシチュエーションだ。

 そして、その表情はオーク骨のときと同じように、かすかに眉を顰めた軽いしかめ面だった。

 今、厨房に充満している、豚骨を煮出している匂いは慣れていない人間には眉を顰め、表情をしかめるのに十分な悪臭成分を含んでいる。

 これをウマそうな匂いだと思えるのは豚骨スープにかなり慣れ親しんでる人間だけだ。

 元いた世界でだって、豚骨スープ圏外の地方出身者が、初めて豚骨ラーメン屋に入ったとき眉を顰め軽くしかめ面することが少なくない。

 と、いうことは、ヴィオレはこの匂いを美味しいものの匂いとして認識していないということになる。

 僕はほっと胸を撫で下ろしていた。もちろん心の中でだ。


「ああ、ヴィオレ……。うん、新しい料理の仕込をしようと思って……。今晩は徹夜かな。それよりヴィオレはどうしたんですか? こんな夜中に」


 ちゃんと女神様方の記憶操作は上手く機能しているようだ。

 少なくとも現時点でヴィオレッタについては、オーク骨スープのことが完全に記憶から消えうせているようだ。

 内心少しだけ覚えているんじゃないかとビクビクしていたんだけれど、それは全くの杞憂だったようだ。


「わ、私はちょっと用足しをして、通りかかったらこちらから明かりが漏れているので気になって……。そ、そんなことより、ハジメさん、大丈夫なんですか? 無理してませんか? 何か私に……」


 もちろんヴィオレが夜中に不意に起きてしまう御用は、こんなところに来なくても十分に足せるはずだ。

 ヴィオレの御用は彼女の部屋からわずか二十歩で済む場所にあるからだ。

 だから、ヴィオレは僕が起きていることに気がついてわざわざ様子を見に来てくれたってワケだ。

 オーク骨のときと同じようにね。


「ありがとうヴィオレ。大丈夫、無理はしていないよ。楽しいからね。ただ、火が消えたり噴きこぼれないように見ているだけだから少しだけ退屈かな」


 僕がそういうとヴィオレの表情がぱあぁっと明るくなる。


「では、では、おしゃべりしませんか?」

「うん、いいけど、僕はそんなに話題豊富じゃないよ」

「あらぁ、ハジメさんがお暮らしになっていたお国のことをお話していただけるだけで、私はものすごく楽しいと思いますけど」

「ああ、そういうことなら、いくらか話できるかな」

「ではでは、お茶を入れましょうね」

「たしか、クケートがまだあったはずだな」


 僕はマジックバッグをまさぐる。

 こういうこともあろうかと、こういうお茶請けの類は市場に行くたびに、買ってストックしてある。


「ああ、あったあった、それに、ナッツとドライフルーツのパウンドケーキもまだあったよ」

「まあ、うれしい」

 

 ヴィオレが手を顔の脇で組んでニッコリと微笑む。

 そうして数分後、僕らは真夜中のお茶会をひっそりと始めたのだった。

17/08/27 第106話 真夜中のティーパーティー再び の公開を開始しました。

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