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転生グルマン! 異世界食材を食い尽くせ  作者: 茅野平兵朗
第1章 ラーメン王に俺はなる! の巻
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プロローグ1

 本作は、作者の思い付きのみでテンプレ的設定及びテンプレ的展開の実験を行う作品です。

 ですので、かなり、アンバランスかつ、ご都合展開が予想されます。

 そのような作品を好まれない方は退避されることを強くリコメンドいたします。

 こまけえことはイインダヨ的ポジショニングでお読みいただければこれ幸いでございます。

 面白いかどうかは保証の限りではございませんが……と、言い訳はしておこうと思います。

 本作があなたにとって、白いイルカだったり黒豹だったりすることを願ってやみません。


「ふふふふっ、今日は店長がシフトでラッキーだったな。あの店、店長のときは味に気合が乗ってるからなぁ」

 僕は、体中にたっぷりくまなくついた脂肪を、ぶるりと揺らしてほくそ笑む。僕が贔屓にしているラーメン屋さんで、僕への一杯を作ってくれたのがその店の店長だったからだった。

 店長は雇われ店長だったけど、ラーメンに対する情熱がひしひしと伝わってくる一杯を供してくれることで、その店の常連の間では有名だった。

 だけど、その情熱を同じチェーン店の店長候補たちに伝授する役目も担っているらしくて、しょっちゅう店を留守にしている。

 更に意地悪なことに、その予定を客に知らせることをしないので、店長がお店に立っている日に遭遇するには、日参するかよほどの運を使うかしかなかった。

 僕はその店の常連ではあったけど、その店のマニアではなかったから、お店に行くのは週に一回…精々二回だった。

 だって、僕はラーメンは大好きだけど、その他のおいしい物も大好きだから。さすがに、ラーメンだけを一日に五回も食べられない。

 朝は、バターとジャムをそれからピーナッツクリームをたっぷり塗ったトーストかフレンチトーストもしくはメープルシロップ漬けのパンケーキホイップクリーム添えを食べたいし、十時のシュークリームは外せない。もちろん、銀座東のカスタードがみっちりと詰ったずっしりと重いヤツ。お昼は回転寿司かカツ丼か迷うでしょ。夜だって食べたいものはいっぱいある。そうそうおやつは新しいフレーバーのゴリゴリくんを試したり、火曜日のおやつは新製品のお菓子が目白押しだから迷うよね。

「ハア、ハア、ハア、そんなんだから、こうなるんだけどね」

 僕はショーウィンドウに映った自分を見る。ラーメン屋さんから五十メートルも歩いていないのに汗びっしょりで息も上がっている。

 身長173センチ、体重173キロ、体脂肪率45パーセントの、女の子には絶対キモデブって言われるようなブサメン。それが僕だ。

 太り始めたのは、十年前。中学のときにちょっとした……いまでこそそんな風にいえるけど、当時は自殺も考えたっけ……があって、自宅警備員になってから。さすがに80キロを越えたあたりから危機感が沸いてきて、何度も食を減らす系のダイエットしたんだけど、まあ、元から食いしんぼだったから5キロくらい痩せては大食いしちゃって……。

 あとはもう、リバウンドの繰り返しで、120キロを超えちゃった。

 でも、僕的にデブになってよかったことがひとつだけ。

 誰の目も気にならなくなっちゃったんだな。

 ある意味、これは諦観って言ってもいいのかもしれないけど。僕以外の全部が、もう、どうでもよくなっちゃったんだな。

 そして、半年前、意を決して外出してみたんだ。

 ……気にならなくなっちゃったといっても、自分に対する害意は気になるから(ほら、デブだとカツアゲとか、デブ狩りとか怖いじゃないですか)、外に出る決心をするまで更に15キロ太っちゃいました。

 そして、外の世界に出てみて、僕はびっくりしたんだ、世界は美味しいもので満ち溢れているって。

 冒頭に話したラーメン屋さんもそのひとつ。牛丼にカツ丼。焼肉にハンバーグ。

 え? ハンバーグは家庭料理? うん、普通はそうだろうけど、僕の家の場合、父さんは海外赴任中に現地妻ができて、そのまま母さんと離婚しちゃったし、母さんは母さんで僕が引き篭もったとたんツバメを飼い始めたんだな。

 そのころ僕は子供銀行(2001年になくなっちゃったけど)でこつこつお小遣いをためたお金を元手にして、株式投資と先物取引を始めて、ちょとだけお金を稼いだんだ。そして、母さんに「今まで育ててくれたお礼です」って言って、銀行の通帳とハンコを渡したんだ。もちろんキャッシュカードと暗証番号も教えた。

 そしたらさ、翌朝、「お父さんのところに行って来ます」って書置きしていなくなっちゃった。

 父さんの所になんか当然行ってないのは判ってる。ツバメと沖縄にでも行ったんだろう。

 住民票もどこかに行っちゃったみたいで、まあ、はっきりいって邪魔だったから、探さなかったんだ。


 しかし、あの女親、俺が気づいてねえとでも思ってたのかね。ほとんど毎晩、あんだけでかい声でアヒアヒ言っててよ。

 あの女には2・3回毒殺されかけたからな、いなくなってせいせいしたぜ。


 それ以来、ハンバーグを食べたのは、引き篭もって以来初めて外出した半年前なんだ。だから、僕の中では、ハンバーグは家庭料理じゃないってことで。

 そこから、150キロを超えるのは実にあっという間だった。

「ふう、ふう、ふう……」

 今日は、なんか動悸が治まりにくいな。いつもなら、立ち止まって休めば治まるのに。

 それになんか、鼓動が不規則になってきた。

 どくん、どくん、…………どくん、ど、ど、ど、どくんって感じ。

 太ってるからね。仕方ないさ。

「さて……と」

 家に帰る途中お気に入りのケーキ屋さんで、たっぷり生チョコレートがコーティングされたチョコレートケーキを買って帰ろ………………っ!

 !!!!!!!!!!! ッ!

「ぐ……っ! う、う、う、うぐっ!」

 突然胸が痛くなって息がつまる。こんな痛み経験がない。

「うぐぅ……う、う、ぐ……!」

 よろめいてた自分を支えようと右手をつく。

 一瞬僕が倒れ込む勢いが殺がれたけど、ピシッ! バリン! って音が聞こえたとたん、浮遊感が僕を襲う。そして、右手首に何かが入ってくるような感覚。不思議と痛みはなかった。それよりも胸の痛みのほうが深刻だった。わき腹がなにかで擦られるようなを感覚もあったけどどうだっていい。

 この、胸の苦しさをどうにかしてくれ。


 俺の意識はそこで途切れた。


 お読みいただきありがとうございます。

 勢いで始めてしまった本作ですが、一話あたりの文字数を少なめにして、こまめな更新を目指したいと思います。

 では、よろしくお願いいたします。


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