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すみません、今回凄く短いです。
「アアアアアァァァァァァ!!!!!」
《スキル〈黒椏流戦闘術EX〉特殊技能【狂神】発動》
《運除く全ステータスを10倍にします》
ズドンッ
メデスの姿が掻き消える。
直後、八咫烏の頭上に、2つの拳で大きな1つの拳を作った状態で現れ、
ーーーーーーーーそのまま振り下ろした。
八咫烏はその衝撃に抗うことが出来ずに、真下へと物凄い速度で頭から墜落していき、空中で停止することなく地面と衝突し、衝撃波を撒き散らした。
八咫烏を叩き落とした体勢のまま、空中にいるメデスは、残像すら残らない速度で足を動かし空気を蹴ると八咫烏へと一直線に突っ込んだ。
そのままの勢いで突っ込んだメデスは膨大な位置エネルギーを、体を捻り拳へと集め、
「フゥゥ・・・黒椏流戦闘術型壱番・・・『浸透内爆』・・・ッ!」
技とともに八咫烏へと叩き込む。
込められたエネルギーは拳と八咫烏の皮膚がぶつかった衝撃すら吸収しその存在を増大させると、八咫烏の防御力を素通りし、体内へ直接叩き込まれ、そして、浸透したエネルギーは体内で暴れまわり、八咫烏を内側から傷つけていく。
そして最後は、止めだと言わんばかりにエネルギーは暴発し、八咫烏の内側をズタズタにするとともに、八咫烏が墜落した衝撃により粉砕されていた地面をさらに抉った。
「グギャアァァ・・・」
八咫烏は頭や心臓などといった、所謂弱点箇所を、圧倒的な火力を持って、連続かつ的確に集中して攻撃された為、一時的な、ほんの数秒の麻痺状態に陥る。
普通ならこの攻撃で、ほんの数秒しか麻痺しないのは流石レイドボスと言うべきところだろう。
だがその数秒の隙は、狂いながらも洗練された動きで動く獣の前では致命的かつ死に直結するような隙となってしまう。
「アアァッ!・・・黒椏流戦闘術番外型、【狂華】・・・『万花狂乱、血染桜』ァッ!」
メデスは、1回のまばたきの合間に平均5発の拳を叩き込むという驚異的で、異常な攻撃を撃ち込み始めた。
残像が出来ては消え、出来ては消え。
殴るたび八咫烏の血が宙に舞い散り、残像と交わる。
残像一つ一つが、血と交わることで、血に染まった紅い花を宙に描いてゆく。
その有様はまさに万の華。
その花が作られている元を見さえしなければ、幻想的とも言えるだろう。
その幻想的な光景が数秒続くと、八咫烏が待ち焦がれていたであろう、麻痺が解けるときが訪れる。
だが、時すでに遅し。
八咫烏のHPは雀の涙程しか残っておらず、まさに風前の灯火であった。
それでも八咫烏は諦めず、せめて一矢報いらんとばかりに、攻撃を仕掛ける。
《八咫烏、個体名【バラクト】のスキル〈支配者の傲慢〉がスキル〈飛行〉、スキル〈招集音波〉、スキル〈群の長〉、スキル〈長の意地〉、スキル〈突撃進〉、スキル〈音爆撃〉、スキル〈高速飛行術〉、スキル〈暴風魔法〉、スキル〈加速〉、スキル〈決死の一撃〉と融合し、スキル〈全身全霊最後の一撃〉へと進化致しました》
「グギィィアアアァァァァァァァァァァァァァァ!!!!!」
〈飛行〉と〈高速飛行術〉、〈招集音波〉〈暴風魔法〉〈加速〉〈音爆撃〉が混ざったモノを、〈群れの長〉〈長の意地〉〈決死の一撃〉により威力を底上げし、放つ攻撃こそ〈全身全霊最後の一撃〉。
その一撃は、正しく全身全霊の一撃と言っても過言ではない、八咫烏・・・いや、バラクトの、一生の全てを込めた攻撃であった。
マウントをとって殴り続けていたメデスをズタズタに切り裂き、鼓膜を破り、天高く跳ねあげ、下降気流を発生させ地面に叩き落とした。
暫くして、土煙が晴れたそこには、【狂神】により回復力も10倍となったにも関わらず、未だ、全快どころか立つことさえ苦痛となるほどのダメージを負ったメデスが居た。
肌には見える部分だけでさえ満遍なく切り傷が刻まれており、さらには、両腕片足の複雑骨折に加え、耳からは鼓膜が破れたことにより血が流れ、肋骨などの骨も至るところが折れていた。
寧ろ何故立っていられるのか不思議なくらいである。
この攻撃によりほんの少しの間、理性が戻ったメデスは、高まった回復力により急速に治癒してゆく体を見下ろし、そして、完治するのを待つ間、自分と戦った八咫烏を眺める。
両者も、辺り一面もボロボロであり、凄まじい戦いがあったことを、容易に伺わせる有様であった。
ある程度回復してきたメデスは、息も絶え絶えな様子の八咫烏を見ながら呟く。
「ハァ・・・ハァ・・・ここまで強いとは思ってもみませんでした・・・ですが、これデ終わりです・・・さラバダ、バラクト・・・」
最早二人は友でありながら敵でもあった。
だが、戻っていた理性もじきにまた狂気に呑まれてしまう。
「アアァァァ!!!黒椏流戦闘術型弐番・・・『絶刀万突』・・・ッ!アァッ!」
一瞬でバラクトに迫ると、残像を残さぬ速度で手刀で心臓を一突きする。
一思いに殺す様は、狂化しているにも関わらず、まるで友を苦しめない為に一撃で終わらせたかのようだった。
「ギャア・・・・・・」
バラクトは・・・何故か笑っているようにも見える表情でメデスを見ながら、息絶えた。
「アアアアアアァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァ!!!!」
人の形をした獣は、
獲物を屠ったことで一人、勝鬨を上げる。
ーーーーー勝利の咆哮、そして悲しみの咆哮だ。
そのままメデスは意識を失ってしまう。
精神が正常と異常の間を右往左往したせいでの極度の疲労と、【狂化】と【狂神】の効果終了後のデメリットによるものである。
《スキル〈神化(不完全)〉が進化し、スキル〈狂戦神化〉となりました》
«ワールドアナウンス»
«全フィールド徘徊型ネームドボス【バラクト】は見事討伐されました»
«経過時間10:29»
«合計参加人数は1人です»
«繰り返します»
«ワールドアナウンス»
«全フィールド徘徊型・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・»
あれ?
なんか、メデスが悪人っぽくなってしまった。
マウントとって殴り続けるってそれどうなん・・・・・・いやまぁ、そうさせたのは自分なんですけどね?
とりあえず長かった戦闘が終わりました!
次回は戦後処理です!
今後も宜しくお願いしますね!
というか感想とか評価ください!
マジください!
感想全部返します!
評価付いてたら乱舞します!
こんな作者ですいません!