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更新遅くなりました!
ガチャッ
私はティアとの話をおえて、早速ギルドに入った。
中は思っていた以上に広く、そこは二つのエリアに分かれていた。片方はイメージとしては銀行の受付を中世に合わせてデザインした感じかな。ところどころにある柱は石っぽいけど見た目と色からすると大理石なのかも。
そしてもう片方はよくある大衆向けの酒場といった感じで、床からすでに受付とは違い年季の入った木材でできている。受付の方の大理石のような材質でできた床はある意味神秘的にも感じるけど、こっちの木材でできた床はまた違った印象を与えてくる。
例えるなら貴族と平民といったところ。
貴族は凛とした鋭さと高潔さで一定の基準以上か自分が認めた者しか受け入れないけど、反対に平民は何者も拒まず迎え入れる暖かさがある・・・そんな感じ、イメージだけど。
・・・まあ、それはさておき。
ギルドに入るとついさっきまで酒場でお酒を飲みながら話していた厳ついおじさん達は、まるで示し合わせたかのようにこっちを向いた。
・・・この威圧、一般人には恐怖ものじゃない?
私はそうでもないけど。
実はこの時、厳ついおじさん達はIPOに存在する威圧系スキルをすべて使用していたのだ。
その中には大抵の人に少しの恐怖心を与え動きを鈍らせる威圧系スキルもあり、そのスキルが重複した結果メデスがほんの少しは驚くぐらいの威圧に成り得たのであった。
因みに言うと、この酒場の登竜門ともいえるスキルの使用は入ってきたプレーヤーのレベル、スキル熟練度、隠しパラメータのスキルレア度、装備品のレア度、その他諸々を計算し、その結果により使用されるスキル量もスキルレベルも変わる。
メデスの場合はレベルも1で、スキルレベルはすべて0。おまけに装備も初期装備・・・だが、スキルレア度だけはプレーヤーの中で群を抜いて高かった。
理由は簡単。
運営から送られてきた固有スキルの所為である。
通常の普通に習得することが出来るスキルを1だとすると、固有スキルはなんと10000。しかもメデスの固有スキルは固有スキルのなかでも上位に位置するので、レア度は大体50000だ。
そんなメデスに使用されたスキルの数と、スキルのレベルは限界値・・・つまり最大数のスキルを最大レベルで使用されたのだ。
つまりIPO内で最怖で最凶で最強の威圧を浴びたことになる。
まぁ、最もメデスにはまったくもって意味がないことのようで・・・
「・・・・・何がしたいの?オジサン達」
・・・花が満開に咲き誇るようでありながら絶対零度の氷の冷たさを兼ね備える笑顔でこう言い放った。
「・・・・・・・」
こっちが聞いてもだんまりか・・・
どうしようかな・・・?
まぁどうでもでもいいか。
気にせず受付に行こうっと。
そう思いながらいつも通りに、少し酒場の方を気配だけで気にしながら受付に向かって歩き出すと
「・・・ガハハハハハハ!やるじゃねぇかあの嬢ちゃん!この威圧の中平然として歩き出すとはなぁ!そう思わねぇか!ガラッド!」
「ああ!一目見てわかってたがやっぱ俺の目は曇っちゃいなかったってーことだな!」
「「ガハハハハハハハハハハハ!!」」
・・・ん?なんか普通にいい人っぽい感じ?
「おおーい!酒だ!とびっきりのやつ持ってこいや!」
「はいよバーン!空から落ちてきたっていう超超貴重な酒をもってきてやるよ!」
「嬢ちゃんもこっちこいや!酒飲むぞ、酒!」
「はぁ?いやいまから訓練所で訓練する予定なんだけど?」
「知ったことか!とりあえず先輩には従えや!酒飲んで騒いで飲んで騒ぐぞー!」
「めんどくさ・・・うわッ!?ちょ、なにするの。なんで私引っ張られて行ってるの!はーなーせー!」
「ガハハハ!気にすんな!酒飲むぞ!」
そうこういっている合間にいつの間にか店員か店主の厳ついおっちゃんが巨大な酒樽を担いで持ってきてしまっていた。
「てか、私未成年!お酒飲めないって!」
「気にしたら負けだ!酒やるから飲むぞ!」
くっ!せめてこの酒に鑑定を!
出来ればアルコール度数とか書いてあると幸いなんだけど!
鑑定!
《アイテム名》・神酒ノクタール
《レア度》・神級
《品質》・最上級≪固定≫
《説明》・酒神が酔ったときに作り現世に放り投げてしまった酒。飲むと、人によって【不死化】や【常時体力・魔力超回復】、【有翼種化】【種族変更】、【固有スキルを得る】等々、大抵一つだけだが途轍もなく強力な効果を服用者にもたらす。
アルコール度数は寝かせられていた年月と同じ数字となる不思議な酒である。なお、現在経過年数は26,543年である。
ユニークアイテムであり、神酒ノクタールはこの一つしか世界に存在しない。
入手方法は不明
≪・・・以下神級鑑定でのみ閲覧可能・・・≫
であり運営ですら誰一人知り得ない。入手法ランダム化のシステムが裏目に出た結果である。
えええ~!!!
なにこのお酒!神が作った神酒!?
しかもなんかいろいろ凄い効果あるし!
それにアルコール度数が異常!!私飲んだら軽くアルコール中毒で死ぬわ!
というか運営何してんの!?馬鹿じゃない!?
はぁ!はぁ!突っ込み疲れた!
・・・ん?
ふと気づくと私は私には大きすぎる程の、木でできたジョッキになみなみと注がれている透き通った煌びやかな宝石をそのまま液体にしたようなピンクに近い紅い液体を、バーンと呼ばれていた、私を引きずった張本人に飲ませられていたのだった。
アルコールに今にも飲み込まれそうな意識の中、くたばれこのアホバーン!と私は心から叫ぶのでだった。
・・・あんなに突っ込んでないで目の前のことを見るべきだったと後悔できたのは意識を失い噴水前にて目覚めた、あの神酒の惨劇から約1時間後のことだった・・・。