表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
23/28

伏矢ノ紅①

「は、あ――――――」

 きっと脳は潰された、でも俺は今、こうして生きている。 

 つまり肉体は創造された――――――俺の特異性が発揮されたということか。

「でも――――――」

 どうすれば、どう戦えば、どう動けば、あいつを斃せるというんだ。

「勝て――――――」

 ない、という言葉は飲み込んだ。

 敵わないを超える決定的な言葉――――それだけは吐いてはならないと直感した。

「敗けるか、敗けるか――――――」

 屈するか、屈するものか。

「敗けるか、敗けるか、敗けるか――――」

 何度も、自身に言い聞かせる。

「そうだ――――――」

 雪村を救うんだ――――俺は。


 敗けられない、敗けられない、敗けられない――――――!


「結局――――――威勢だけだったな、お前は」


 そう言い放ち、ウーヌスはセルウィーを六体ほど召還する。

「しかし気にすることは無い。お前の“力”は引き出してやる――――――この私が、な」

 口元が歪む。

「何を―――――――嗤っている」

 無性に腹が立つ。その貌を見せるな。

「囲え――――――セルウィーども」

 その言葉を契機にセルウィーたちは雪村の周りに跳躍し、屹立。

「な、にを――――――」

 するつもりなんだ。

「訊きたいか――――?」

 愉悦に満ちた声。俺を嘲る声。厭な声。

「あ――――」

 聞きたくない。そんな言葉欲しくない。

 やめろ、やめろ――――

 何故だか言わせてはならない、聞いてはならない。

 そんな強迫観念が俺を圧す。

「教えてやろう」

 口元は更に歪みを見せる。

「やめ、ろ――――――!」

 ウーヌスへ飛び掛――――――

「――――――」

――れなかった。

「づぅ――――――」

 おも、い――――?

 圧力に耐えながらも首をなんとか動かし上を見る。

 セルウィー――――セルウィーに組み伏せられているのか。

「ど、け――――――!」

 抜け出そうと躯を必死に動かすが――――

――くそ、まるで意味がねえ。

「こん、の――――!」

 奴の口が動く。今にも動く。呪詛が放たれる。

 だから早く。早く、早く。早く、早く、早く。

 早く早く早く早く早く早く早く早く早く早く早く早く早く早く早く早く早く――――――!!!


「雪村衣鈴を――――――■(コワス)としよう」


――――――コワス。


「内容は簡潔に――――そうだ、声も加えてより現実味が増すようにしよう」

 ソンな言葉を吐いテ、奴は近づイテくる。

「ア――――――」

 来るナ、来るな来ルな来るな。

「ア、ア――――――」

 来ルナ来るな来るな来ルナ来ルナ来るな。

「ア、アア――――――」

 頭を掴まレタ。

「――――殺すぞ、小娘」

 おレジャナイホウを向いてナニカをにらんでい、ル……?


「――――すまん、邪魔が入った。続けよう」


 ニヤリと、ウーヌスが嗤う。

「ア、アアア――――――」

 咄嗟に耳を塞グ。聞きたくない聞きたくナイ聞キタクナイ。

「耳を塞いだところで無意味なのだがな。まあいい、行くぞ――――――」

 その声を契機ニ


――――■ロウ。

 声が飛び込んで来ル。 

――――早ク■ロウ。

 複数ノ声。六ノ声。

――――皆デ■ロウ。

 厭ナ声。これはセルウィー達ノ声……。

――――サア、()ロウ――犯ソウ、犯ソウ、犯ソウ。

 ヤ――――――――止メロ。

――――姦ロウ、姦ロウ、姦ロウ。ココニ180ハ存在シナイ。

 止メロ止メロ止メロ。

――――サア、輪姦(マワシテ)シヨウ(コワソウ)。

 止メロ止メロ止メロ止メロ止メロ止メロ止メロ止メロ止メロ止メロ止メロ止メロ止メロ止メロ止メロ――――――――――――!!!

――――マズハコノ刀デ処女■ヲ破リ、ユックリト喰ライ尽クソウ――――――

  

 ァ――――刀。

 セルウィーノ一人ガ刀ヲ振リ上ゲル。

 刀ガ突キ刺サル。雪村ニ。雪村ノ躯ニ。

 刀――――鋭利ナ切ッ先。刀――――疵痕。キット疵痕ガ残ル。

 刀――――許サナイ。


――――姦姦姦姦姦姦姦姦姦姦姦姦姦姦姦姦姦姦姦姦姦――――!


 オマエタチハ許サナイ――――――!!!


――――殺。

――――――殺殺殺。

――――――――殺殺殺殺殺殺。 

 許スモノカ――――――――――――!!!


 殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺――――――――!!!


 ブチ、ト何カガ切レル音ガシタ。

 同時ニ何カガ生マレタ音ガシタ。 

 セルウィーヘ疾リ、刀ヲ奔ラセル。

 刀ヲ持ッテイタセルウィーハ血ヲ撒キ散ラシ消滅――――

「仕込み――――――」

 声ガ届ク。耳障リナ声ガ。

「いや、その鞘が白鞘であるとすれば、お前の武器(ウィス)は――――呉竹(ソー)()御杖(ケイ)()というわけか」

 随分、面妖な武器を使う、ト。

 刀――――イツノマニカヲレハ刀ト鞘ヲ握ッテイル。白鞘――――木ノ地肌ノヨウナ色。

 刀刃――――柄モ同ジヨウナ色。

 ドコカ見覚エガアル。

 ァ――――――――コレハ雪村ト買イ物ニ行ッタ時ノ。

 刀ガ突キ刺サル瞬間ニヲレハ――――殺シテヤル、ト。斬殺――――刀デ殺シテヤル、ト。

 ヲレハソレヲ望ンダ。ソシテ創造シタトイウノカ、刀ヲ。

「“紅い(イ)()”、今度こそ――――――目覚めたか?」

 声ガ届ク。心火ニ反応スル声ガ。

 心火ニ反応…………アア、コノ声ハウーヌス。

「確認がしたい――――――殺せ」

――――刹那、六ノセルウィーガ動ク。

「――――――」

 ソノドレモガ疾風。ソノイズレモガ鋼。ソノ悉クガ無慈悲。

 並ノ者ナラバ慄クダロウ。並ノ者ナラバ許シヲ請ウダロウ。並ノ者ナラバ自壊ヲ望ムダロウ。

 ダガ――――――

 刀ヲ薙グ――――タダ横ニ一閃。

 血ガ迸ッタト同時ニ何カヲ壊シタ音。ソレハオソラク彼ラノ動力源。

 鮮血――――死骸マデモガ消滅シタ。

 ソレデ終ワリ。ソレデ終焉。 

「無謬――――その“力”はやはり。その“紅い瞳”はやはり。紅を潜めた黒は無くなった、完全なる紅が顕現した――――“伏矢()ノ(ラ)紅”はここに成っていた、ということか」

 笑イナガラ、ソウ呟ク。 

 イラ――――――

「イラとはな、お前のような特異だけが保有する――まあ、制御は出来ていないが、ある一定の憤怒を超越した時に起こるもの――――つまりは今のお前だ」

 憤怒……カ……今ノヲレ。

「戦闘力の異常上昇。瞳の紅変。制御不可の憤怒――――――今も感じているのだろう?」

 怒リ――――無論ダ。

「昨日の覚醒は不完全だった。あれでは私の望むものは手に入れまい。しかし漸く成ったのだ、なあ――――“力”を見せてくれよ。桐島喜助の真価をここに発揮してくれよ」

 “力”、真価……カ。

「随分と遠回りをした気がする。バイラヴァとの戦い――――そして脳を壊されるまでにも至った中津文との戦い。それで覚醒すると思っていたのだがな」

――――――バイラヴァとの戦イカ、ラ。

「マルデヲマエ――――以前カラヲレノコトヲ知ッテイタカノヨウナ言イ方ジャナイカ」

「ああ――――」

 お前は“―――”であり、『―――』であり、《――》だからな。

「驚いただろう――――」

「……マア、ナ――――」 

 ダガ――――――

「ソンナモノハドウデモイイ。“今の桐島喜助”ニハ――――――関係ナイナ」 

 ソウ、タダ日常ヲ愛スル“桐島喜助”ニハナ。

 アレニハ平凡ナ日々ガアレバソレデ充分。

 ダカラ――――――ドウデモイイ、ソンナ事実ハ。

「ソンナコトヨリモ、ソロソロ始メナイカ」

 意識ハアル。脳ハ冷エテル。頭ハ静カダ。

 ダガ――――――疼ク。

 憤怒ガ疼ク、存在理由ガ疼ク。疼イテ疼イテ仕方ガ無インダ。

 殺セ殺セ、ト――――――

 冷タイ殺意ガ滾ッテ滾ッテ。

 止マレソウニナイ――――ヲマエヲ殺サナイト。

 ダカラ――

「早ク――――――始メヨウカ」

「――――ああ、そうだな。今度こそ始めよう――――」


 真の殺し合いを――――

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ