手紙
「好きだよ。」と、簡単に口に出せる状況だったら・・・。
こんなに長い間、悩まなくてすんだのかな?
「愛してる。」って、簡単に君の手を握れたら・・・。
今でも君は私の側にいてくれたのかな?
君が触れた部分だけが、熱を持ってる。
君が抱きしめた感触だけが、今も私を支えてる。
好きだったからのさよなら・・・。
愛していたからのさよなら・・・。
願うのは、一つだけ。
いつから始まってたか。
いつから好きだったのか。
加速していく感情と、涙を流し続けた日々。
罪悪感と、ほんの少しのスリル。
でも、今でも心から言える。
私は数日間だったかもしれないけど、君と過ごした日は本当に幸せだった。
別れを切り出したときにも、恨み言ひとつ言わず優しく受け止めてくれてありがとう。
今でも、誰にも言えない私達だけの秘密。
私はそれを、「小説」というかたちでリアルだったことを残しておきたい。
つくづく私って身勝手だよね。
あの時だって・・・。
ホントは君の手をとっちゃいけなかったんだ。
ホントは君のこと好きになっちゃいけなかったんだ。
でも全てを受けいれて、優しく抱きしめてくれる君が本当に好きだった。
いつか、君はこの話を手に取ることがあるのかなぁ・・・。
たぶん書いたのは私と知らずに読むんだろうね。
でも、あのとき答えられなかった君の疑問に、今なら素直に答えれそうな気がするの。
最後まで身勝手に生きる私を、君はまた優しく微笑んで許してくれるのかな。
今は届かなくなったこの手を、あの日君と見た空へ今も伸ばすよ。
きっと君は、今なら他の誰かを愛して、優しく微笑んでると信じてるから・・・。