図書館でお勉強会〜その1と半分〜※ちひろ視点
「……明日は図書館で勉強会……かぁ…」
私以外に誰も居ない部屋で一人呟く。
昨日はデートだった。
楽しかった。
その……沢山キスとかしたしぃ?
瞼を閉じると鮮明にその時の映像が流れてくる。
……春香の唇、柔らかかったな…
自分の唇を右手の親指でそっとなぞってみる。
昨日はデートとかしちゃったけど、私達…本当は受験生なんだよね……。
だからもうデートは出来ないかも。
高校行っても、付き合ったままで居られるかな?
このままの関係で………
春香の前では何時も強がっているけど、本当は支えて欲しいと思ってる。
駄目だなーーー私。
これから受験なのに
忙しいのにっ…………
私、我慢出来る自信………無いよ
気持ちを落ち着かせようと携帯を弄ろうとする。
待ち受けが君の写真だったのを忘れてて、君を見て胸がさらに苦しくなった。
………春香…………
せめて受験終わるまで、頑張るから私。
朝…………目覚めと同時に携帯が震えた。
もしかして、春香!?
そう期待して手を伸ばす。でも、流れたのは
峯岸 里沙
の文字
なんだ……里沙かぁ……
ボタンを押しメールを開く。
彼女からのメールがどんなものかは大体察しがついていたけれど、その予想は大きく外れた。
From 峯岸 里沙
添付 ファイルあり……
『ちひろの大好きな写真だよ〜(笑)』
はぁ?大好きな写真?何それ……
画面を下にスクロールする。添付されてたのは写真のようで、私と春香が映ってた。
ちょっ……何これ
デートの時の写真?
何枚もあるし………
写真は全部で5枚あった
1枚目は駅に着いた時の写真
ーーってこんな時からつけてたのアイツら……
2枚目は手を繋いだ時の写真
今思えば、恥ずかしい。
3枚目は里沙と美鈴のツーショットの写真
別にいらんわ………。
4枚目は私がにやけてる写真
うわぁ……春香には見せらんないな。
4枚目は私がにやけてる写真
うわぁ……春香には見せらんないな
そして、5枚目は私と春香がキスしてる時の写真
は……春香とキスしてるやつだ。……春香の顔赤いな色っぽい………
って、何考えてんのよ?!
……き、今日はキスなんかしないし………
…………多分。
ふと見た時刻は8:00
気持ちを落ち着ける為に私は即座に着替えてご飯食べて身だしなみ整えて家を出た。
家から図書館まで約20分
自転車を漕ぎ風にあたりながら自然にボンヤリと考え事をしていた。
里沙と美鈴、二人には私が春香のことを好きなんだって伝えてからずっと協力して貰ってる。
けど、何時から何がきっかけで好きになったとか教えてないな…………。
前に里沙に聞かれた事があった。
「ねぇ、ちひろは何時から春香ちんを………やっぱ何でもない」
私の方を見てごめんね?と軽く笑うのだ。
そんな時思う。里沙は本当に勘が鋭くて人の気持ちを読み取るのが本当に上手いと。
今考えれば彼女に相談してばかりだったと思う。
美鈴もさりげなく核心に迫ってきたりとか、そうゆうのに疎いフリをして結構詳しかったりする。
《最近はお世話になってばかりだし……何かお礼しないとな……》
欝すらと考えていると前方に図書館が見えた。
建物の前に二つの影が見えて、直ぐにそれが里沙と美鈴であることが分かる。
嘘!?だってまだ8:30くらいだよ?
それより……何か……言い合いをしてる?
自転車置き場で自転車を止め、近くの木々の間から二人を眺める。
私の耳が地獄耳?だからか二人が結構大きな声で話してるからか
声がハッキリと聞き取れた。
図書館の裏側で人気の無い路地で話している為、辺りに人は居ない。
裏の方から来ないと分からなかったな…………
二人の会話に耳を傾けてみる。
「……どういうこと?」
美鈴の声が聞こえた。
「だから、ほんとは彼氏なんて居ないんだ私」
続けて里沙の声だ。
ん?じゃぁ里沙って本当は彼氏居ないってこと?
イマイチ話しの内容が掴めない。
「そっか。じゃあ、良い人紹介するよ?」
何時も通りの抑揚で告げるのは美鈴だ。
「別に、要らないし。つか、素直じゃないね」
ーー?素直じゃない?
「素直じゃないって?」
「別に……。彼氏とか居るんじゃないの?」
冷静な美鈴に対して里沙の様子は何時もと違った。
何か、焦れったそうにしている。
「私に彼氏?居ないけど?」
それを聞くとキッと軽く美鈴を睨みつける里沙
わわっ、喧嘩?どうしよ……止めたほうがいいのかな?
でも……間に入ってく勇気ないしそんな雰囲気じゃないよ………。
「とぼけないでよ!!!好きな人いるでしょ?」
「どうしたの?里沙?何だか可笑しいよ?私には彼氏も好きな人も居ないし」
そう答える美鈴の表情は何処か固くて、視線はとても冷たかった。
なんか……自分に嘘ついてるような気がしなくもない。
「……嘘つき」
小さくか弱い声で里沙が言った。
けれども、美鈴にも聞こえてたようで
「嘘つき?別に私に好きな人が居たとしても里沙には関係ないよね?」
美鈴は強くあたってしまう。
「か……関係なくはない……私にも好きな人…いる……から…」
里沙はどんどん弱くなっていく
「そっか。強くあたってごめんね?私がその恋手伝うからさ……誰が好きなの?」美鈴は優しく問い掛ける。
「………叶わないからいい。何でもないごめん。気にしないで」
そう言った里沙はもう何の感情も表情では表して居なかった。
何時もの笑顔に戻ってる。
「そう?残念。恋のお手伝いが出来ると思ったのに…………」
美鈴も何時もの笑顔で話していた。
「それよりさ…………」
里沙がたわいもない話しを切り出して、それからは普通の会話に戻ってく。
……里沙の好きな人が誰か分かるかもと思ってたからちょっと残念。
私は暫く様子を見てから二人に歩み寄った。
「ちひろ〜」
「ちぃ〜」
二人も私を呼んでいる。
さて、後は春香を待つだけ
私もたわいもない会話に参加するとしようかな。
想いというものは伝えないと伝わらない。