表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
2/7

*二章*

「ん…」


カーテン越しの朝日で目が覚めた。

枕元にある時計を見ると、5時を指している。


「…早く起きすぎちゃったな……」


目が覚めたなら仕方ない。

制服に着替えて、持ち物の確認。

6時になったらみんなの朝ごはんを作るとして、それまでに何しよう…。

何気なく携帯を開くと、凛先輩からメールが来てた。


――――――――――――――――――――――――――――――

【今日の予定!】


<おっはよー!凛だよ!

今日は早く目が覚めたから、早めに連絡なのだぁ!


今日は仕事ナッシング!(*^^)v

嬉しいような、悲しいような、複雑な気分だよ~(;一_一)


予定が変わる場合は、また連絡するね!

他のメンバーにも、ちゃんと連絡しとくから舞ちゃんは気にしないで!

それじゃあ、またね!(^.^)/~~~>

――――――――――――――――――――――――――――――


顔文字を見事に使う凛先輩に、クスッと笑ってしまう。

他のメンバーにも、ちゃんと連絡しとくって書いてあるから心配しなくて大丈夫かな。

それじゃあ、今日は真央ちゃんと一緒にカフェでも寄ろうかな…。

でも、本屋にも寄りたいし…。

学校で真央ちゃんと相談しよう。

それにしても、6時までどうしよう…。


「…久しぶりに、書いてみようかな……」


ベッドから立ち上がり、私机に向かった。

イスに座って、机の引き出しからノートと鉛筆を取り出す。

ずいぶん使っているから、ノートはくたびれてるし鉛筆も随分短くなった。

アイドルとして活動する前から、私は歌詞を作るのが大好きで、このノートと鉛筆でずっと歌詞を書き続けてきた。

まぁ素人だし、いいものかは分かんないけど、私の唯一の楽しい趣味。

友達や、家族にもまだ秘密だけど…。



☆   ☆   ☆   ☆   ☆



隣の部屋の扉が開いた音で我に返る。

時計は、5時40分を指していた。

お姉ちゃんかな?

それにしても、いつの間にこんな時間になってたんだろ…。

ノートと鉛筆を引き出しの中に入れる。

部屋を出ると、お姉ちゃんが階段を降りていくのが見えた。


「お姉ちゃん」


階段の上から声をかけると、お姉ちゃんはクルッと振り向く。


「あ、おはよう、舞」

「うん、おはよう。ごはん作る?」

「まぁね、手伝って」

「うん」


私も階段を降りる。

お姉ちゃんは洗面所に行ってしまった。

今行っても、お姉ちゃんを待ってなきゃいけないから、先にお皿とか出しておこう。

リビングに入り、戸棚から皿やコップを出す。

しばらくすると、お姉ちゃんがリビングに入ってきた。


「ありがと。後は私がするから、舞も顔を洗っておいで」

「はーい」


お姉ちゃんとバトンタッチして、洗面所に向かう。

いつもの習慣どおり、鏡を見る。

さて、今日も新しい一日が始まりますよぉ。



☆   ☆   ☆   ☆   ☆



「おはよー!」

「わぁい!ベーコンエッグ!」


挨拶をした行儀のいい空と、ごはんに飛びつく行儀の悪い鈴。

本当に、二人とも性格も違うなぁ…。

お姉ちゃんに注意されて、二人ともしぶしぶ洗面所に向かう。


「お母さんは?」

「寝てた。徹夜だったみたいだからね。舞、後でコーヒーとパン持ってってあげて?」

「いいよ」


この会話を終えただけで、鈴と空は慌ただしくリビングに入ってきた。

急いで顔を洗ったのか、二人とも前髪がまだ濡れている。

早いのは流石だけど、もう少し落ち着いて洗って欲しい…。


「舞姉!今日もアイドルの仕事あるの?」

「ううん。今日は今のとこ予定なしって朝っぱらから凛先輩のメールが来たの」

「おお。じゃあ今日も真央ちゃんと遊ぶの?」

「うん」


朝ごはんを食べながら、私達はいろいろと会話する。

この会話の間に、今日の夜ご飯は何がいいとか、今日は遅くなるとかお互い報告しあう。


「あ!私、今日日直だったから早く行くね!」


鈴は、自分の皿に乗っているベーコンエッグを慌てて口に押し込むと、走って二階に行ってしまった。

しばらくすると、おしゃれな服装に着替えて、ランドセルを持って玄関に走っていく。

その時間、およそ30秒。


「いってきまーす!」

「「「いってらっしゃーい」」」


バタンッと玄関の扉が閉まる音がした。

時計は、7時10分を指している。

鈴と空がいつも出る時間が、7時40分。

私とお姉ちゃんが出る時間が、7時30分。


「お母さんに、朝ごはん持ってくね」

「よろしくー」


自分のごはんを食べ終わり、お盆にコーヒーとパンを乗せてお母さんの部屋に入る。

机につっぷして、気持ちよさそうに寝ている。

起こすの、何だか悪いな…。

手描きで書くお母さんの指には、たくさんのまめができている。


「お母さん、朝だよ」

「ん~…」


揺すると、お母さんは割と簡単に起きた。

しばらくボーッとしてたけど、私が持ってきたコーヒーとパンを見ると目が覚めたみたい。

あっという間に、コーヒーとパンはお母さんの胃袋におさまった。


「〆切に間に合いそう?」

「ギリギリッ!でも、人間の根性はバカにできないよぉ!」


そういうと、お母さんは再びペンを持って原稿に向かった。

邪魔にならないように、そーっと部屋から出る。

ふぅ…。そろそろ行く時間かな。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ