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ホラー短編&短編集

35兆1,843億7,208万8,832個のスライム

作者: 坂本竜(リョウ)
掲載日:2026/11/03

朝起きるとスライムだった。


目も鼻も口もない。手足もない。半透明の青い身体が、ベッドの上でぷるぷると震えている。


「私は何だろう?」


そう疑問を持った瞬間、身体が二つに分かれた。


どうやら疑問を持つと分裂するらしい。


「どうして分裂するんだろう?」


四匹になった。


「元に戻る方法はあるのかな?」


八匹になった。


疑問を持つたびに倍々に増えていく。しかし、不思議なことに全体の大きさは変わらない。一匹一匹が小さくなっているのだ。


「このまま増え続けたらどうなるんだろう?」


十六匹。


「そもそも、私は何のために存在しているんだろう?」


三十二匹。


疑問を持つことをやめようと思った。しかし、疑問を持たないというのも難しい。


そして、ついに四十四回目。


そのとき、私の数は約17兆匹になっていた。


最後の疑問が頭に浮かぶ。


「私は、何になりたいんだろう?」


私は約35兆匹になった。

その瞬間、すべてのスライムが一つにまとまった。


手ができた。足ができた。目ができた。口ができた。


私は人間になっていた。


鏡を見る。そこには、見慣れた私の顔が映っていた。


私はしばらく自分の姿を眺めていた。


そして、ふと思った。


「次の疑問を持つとどうなるんだろう?」


◇

◇


続編:『続:35兆1,843億7,208万8,832個のスライム』

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