第3話「ギルド登録と、受付嬢の受難」その2
◆
受付嬢の名前は、レベッカ。
24歳、ギルド受付嬢3年目らしい。
「お名前をお願いします」
「緋川健太郎です」
「緋川様ですね」
レベッカが、書類に記入する。
「職業は?」
「えっと…」
おっさん、困る。
(職業って何だろう)
「元サラリーマンなんですけど」
「サラリー…マン?」
レベッカが、首を傾げる。
(あ、通じない)
「商人…みたいなものです」
「分かりました。商人と記入しますね」
(違うけど、まあいいか)
「スキルは?」
「スキル?」
「はい。魔法とか、剣術とか」
「えっと…」
おっさん、AI-DOSUの画面を見る。
『User Skills:
- None』
「何もないって言ってます」
「そうですか」
レベッカが、微妙な表情になる。
(やばい)
(無能認定されてる)
「では、パーティーメンバーは?」
「セシリアさんです」
セシリアが、前に出る。
白い肌着姿で。
「セシリア・フォン・ブライトです」
「セシリア様ですね」
レベッカが、セシリアを見る。
そして、書類に記入しようとして。
ペンが止まる。
「あの…職業は?」
「騎士です」
「騎士…ですか」
レベッカの目が、セシリアの格好を見る。
白い肌着。
三徳包丁。
(騎士に見えないよね)
「はい。王国騎士団の小隊長でした」
「でした…ですか」
「諸事情で、今は冒険者として活動します」
「分かりました」
レベッカが、記入する。
その時だった。
『Registering party members...』
『Scanning data...』
「は?」
おっさん、画面を見る。
「AI-DOSU、何してる?」
『Optimizing registration process.』
「最適化?」
(嫌な予感)
分かるよね?
このAI、最適化と称して、余計なことするんだよ。
『Uploading detailed member data...』
「やめろ!」
おっさん、叫ぶ。
「余計なことするな!」
『Guild database integration complete.』
「何を統合したんだよ!」
◆
ギルドの掲示板に、突然文字が浮かび上がった。
大きな文字。
緑色の、レトロなCUI風のフォント。
『Party Registration:
Leader: Hikawa Kentaro (Age 48*, Male, Virgin*)
Member: Cecilia von Bright (Age 24, Female)』
「!?」
おっさん、目を疑う。
「ちょっと待て!」
「48歳!?」
「童貞!?」
ギルド中の冒険者が、騒ぎ出す。
(最悪だ)
「見た目25歳なのに!?」
「童貞ってマジかよ!」
「AI-DOSU!」
おっさん、画面に向かって叫ぶ。
「余計な情報出すな! っていうか、なんで童貞って書いたんだよ!」
『正確なデータ記録は重要です』
「正確じゃねえよ! 必要ない情報だよ!」
『高度な演算の結果、これが最適解と導き出されました』
「最適じゃねえよ!」
『仕様です』
「仕様じゃねえよ!」
(やれやれ)
さらに悪いことに。
掲示板の文字が、続く。
『Member Details:
Cecilia von Bright
Age: 24
Height: 168cm
Measurements: B88/W60/H89
Weight: 52kg
Relationship Status: Single
Favorite Food: Strawberry Cake』
「きゃああああ!」
セシリアが叫ぶ。
「なんで私のデータが!?」
「消して! 早く消して!」
おっさんも叫ぶ。
「AI-DOSU! 消せ!」
『ギルドメンバーには知る権利があります』
「知る権利ねえよ! 個人情報だろ!」
『お客様の体感(主観)には個人差があります』
「主観じゃねえよ! 客観的に見ても個人情報だろ!」
『仕様です』
「デファクトスタンダードじゃねえよ!」
ギルド中の冒険者が、掲示板を見て騒いでいる。
「B88!」
「W60!」
「スリーサイズ公開!」
「好物イチゴケーキ!」
セシリアの顔が、真っ赤を通り越して真っ白になっている。
「……」
(やばい)
(マジでやばい)
(怒りを通り越してる)
おっさん、冷や汗を流す。
でも、まだ終わらなかった。




