第3話「ギルド登録と、受付嬢の受難」その1
「説明します」
おっさん、深いため息をついた。
ギルドの受付嬢が、困惑した顔でこちらを見ている。
周囲の冒険者たちは、セシリアを見て騒いでいる。
「なんだあの格好!」
「肌着!?」
「しかもママチャリ!」
「包丁持ってる!」
(あかん)
(完全に注目浴びてる)
セシリアの顔が、真っ赤になっている。
「…早く」
セシリアが、小さく呟く。
「早く説明してください」
「はい」
おっさん、受付嬢に向き直る。
「えっと、その…」
どう説明すればいいんだ?
分かるよね?
白い肌着姿の女騎士。
腰に三徳包丁。
ママチャリを押している。
どう説明しても、信じてもらえないでしょ。
「私たち、冒険者なんです」
「…はい」
受付嬢が、微妙な表情で答える。
(信じてないな)
「で、この格好は、その…システムのバグで…」
「バグ…ですか」
「はい。AIが勝手に装備を最適化して…」
「AI…ですか」
受付嬢の目が、ますます疑わしくなる。
(あかん)
(完全に怪しまれてる)
その時だった。
『User requires authentication.』
『Displaying evidence.』
「は?」
おっさん、画面を見る。
「AI-DOSU、何する気だ?」
『Providing proof of story.』
「証拠?」
(嫌な予感)
◆
ギルドの壁に、突然映像が映し出された。
プロジェクターのように、大きな映像。
「!?」
おっさん、驚く。
映像には。
セシリアの鎧が消えるシーン。
そして、白い肌着姿になるシーン。
スローモーション再生。
しかも、4K高画質。
「きゃああああ!」
セシリアが叫ぶ。
「やめろ! 映すな!」
おっさんも叫ぶ。
「AI-DOSU! 消せ! 今すぐ消せ!」
『Evidence display in progress.』
「証拠じゃねえよ! ただのセクハラ映像だよ!」
ギルド中の冒険者が、映像に釘付けになる。
「おおおおお!」
歓声が上がる。
(最悪だ)
映像は続く。
セシリアが包丁でゴブリンを切るシーン。
ドラゴンを一刀両断するシーン。
ママチャリで爆走するシーン。
全て、4K高画質。
「もういい! 十分だ! 消せ!」
おっさん、必死に叫ぶ。
『Evidence display complete.』
映像が消えた。
沈黙。
ギルド中の冒険者が、セシリアを見る。
セシリアが、真っ赤な顔で俯いている。
「……」
(申し訳ない)
(本当に申し訳ない)
(でも、俺も被害者なんだよ)
受付嬢が、咳払いをした。
疲れた顔で、棒読みで言う。
「えっと…お話は分かりました(棒読み)」
「本当ですか」
「はい。映像を見る限り、確かに…その…システムのバグのようですね(棒読み)」
(この人、なんか怖い)
「では、ギルド登録の手続きを進めますね(無表情)」
受付嬢が、書類を取り出す。
(完全に無表情だ)




