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AI-DOSUは嘘をつく  ~48歳童貞おっさんの異世界ハルシネーション無双~  作者: よっしぃ@書籍化


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第2話「最強の包丁と、ママチャリと、絶望の女騎士」その3

 ◆



 シュインッ。


 光が収まると、そこには。


「……自転車?」


 セシリアが、呆れた顔で見る。


 確かに、ママチャリだった。


 銀色の、ごく普通のママチャリ。


 前にカゴが付いている。


「これに乗れと?」


「…みたいですね」


 おっさん、AI-DOSUの画面を確認する。



『Mamachari (Mother's City Bicycle)』

『最高速度:300km/h』

『重量:5kgカーボンフレーム

『自動バランス機能付き』

『前カゴ:収納無限大』



「……」


 おっさん、ため息をつく。


「AI-DOSU」


『Yes?』


「なんで最高速度300km/hなんだよ」


『最適化しました』


「ママチャリで300km/hは最適化じゃないだろ」


『仕様です』


「仕様じゃねえよ!」


 おっさん、叫ぶ。


(やれやれ)


 でも、セシリアに見せないわけにはいかない。


「……セシリアさん」


「言わなくていいわ」


 セシリアが、疲れた顔で手を振る。


「どうせ、性能は異常なんでしょう」


「最高速度300km/hです」


「馬の7倍以上ね」


「はい」


「前カゴの収納が無限大です」


「便利ね」


「はい」


(この人、もう諦めてる)


「ところで」


 おっさん、ふと思い出す。


「ドラゴンの死体、どうしましょう」


「え?」


 セシリアが、振り返る。


 確かに、少し離れたところに、ドラゴンの首と胴体が転がっている。


「そういえば…放置していいの?」


「いや、ギルドに証拠として持って行くべきですね」


「でも、どうやって運ぶの?」


 セシリアが、困った顔をする。


「首だけで2mはあるわよ」


「胴体は8m以上ですね」


「無理でしょう」


 おっさん、ママチャリの前カゴを見る。


 小さいかご。



『前カゴ:収納無限大』



「もしかして…」


 おっさん、ドラゴンの首に近づく。


「試してみます」


「まさか、あの小さなカゴに?」


「収納無限大って書いてあるので」


 おっさん、ドラゴンの首を前カゴに近づける。


 シュインッ。


 首が光に包まれる。


 そして、小さくなって、かごの中に消えた。


「!?」


 セシリアが、驚く。


「入った…?」


「入りましたね」


 次に、胴体。


 おっさん、胴体を前カゴに近づける。


 シュインッ。


 胴体も消えた。


『Storage: Dragon Head (1)』

『Storage: Dragon Body (1)』


 画面に表示される。


「すごいわね…」


 セシリアが、感心する。


「収納無限大、伊達じゃないですね」


「ええ」


(これ、便利だな)


 おっさん、思う。


 でも、見た目はママチャリ。


(複雑)


「別に…」


 セシリアが、小さく呟く。


「別に、感心してるわけじゃないわよ」


「はい」


(ツンデレだ)


 セシリア、ママチャリにまたがる。


 白い肌着姿で、ママチャリ。


 腰には三徳包丁。


(これ、完全に主婦の買い物姿だな)


 おっさん、心の中で思う。


 絶対に口には出さない。


 命が惜しいもん。


「…もういいわ」


 セシリアが、諦めたように呟く。


「私、もう何も驚かない」


「大丈夫ですか」


「大丈夫じゃない。でも、諦めた」


(強い)


 セシリア、ママチャリのペダルを漕ぐ。


 ヒュゥゥゥゥン!


 猛スピードで走り出した。


「速っ!」


 おっさん、驚く。


 あっという間に、セシリアが遠くに。


 数秒後、戻ってきた。


「速すぎるわ!」


「ブレーキ効きますか!?」


「効くけど! コントロールが難しい!」


 セシリア、慣れない手つきでママチャリを操る。


 結局、ゆっくり走ることにした。


 おっさんを前カゴに乗せて。


「すみません」


「…もう、いいわ」


 セシリア、完全に諦めた顔。


(この人、本当に強い)


 おっさん、改めて思う。


 精神的な意味で。


 前カゴに乗りながら、おっさんは考える。


(このAI、本当にどうにかならないのかな)


 でも、どうにもならないんだよね。


 分かる?


 おっさんもAI-DOSUの被害者なんだよ。


 ◆



 ママチャリで30分。


 ようやく、街が見えてきた。


 城壁に囲まれた、中世風の街。


 門の前に、ギルドの看板が見える。


「やっと着いた…」


 セシリアが、疲れた声で呟く。


 おっさん、前カゴから降りる。


 セシリアもママチャリから降りた。


 白い肌着姿。

 腰に三徳包丁。

 ママチャリを押している。


(これ、絶対に冒険者に見えないな)


 おっさん、心配になる。


 むしろ、買い物帰りの主婦に見えるもん。


 分かるよね?


「大丈夫ですか、セシリアさん」


「大丈夫じゃないわ。でも、行くしかない」


 セシリア、覚悟を決めた顔。


「私は騎士よ。見た目など関係ない」


「立派です」


「…ありがとう」


(この人、本当に強い)


 二人、ギルドの門をくぐった。


 そして。


「うわぁぁぁぁ!」


 ギルドの中から、歓声が上がった。


 冒険者たちが、セシリアを見て騒いでいる。


「なんだあの格好!」


「肌着!?」


「しかもママチャリ!」


「包丁持ってる!」


「主婦か!?」


(言うな)


 おっさん、心の中で叫ぶ。


(主婦って言うな)


 でも、確かに主婦にしか見えないんだよ。


 セシリアの顔が、真っ赤になる。


「……」


 おっさん、申し訳なさでいっぱいだった。


(本当に、すみません)


 胃が痛い。


 48歳のおっさん、胃痛が悪化してるんだよ。


 その時、ギルドの受付から声がかかった。


「あの、お客様?」


 若い女性の声。


 受付嬢が、困惑した顔でこちらを見ていた。


「ギルド登録でしょうか?」


「…はい」


 おっさん、答える。


 受付嬢が、セシリアを見る。


 そして、おっさんを見る。


 また、セシリアを見る。


「…えっと…」


(あかん)


 おっさん、分かる。


 この受付嬢、絶対に混乱してる。


 だってさ、白い肌着姿の女性が、包丁持って、ママチャリ押してるんだよ。


 冒険者に見えないでしょ。


「説明します」


 おっさん、深いため息をついた。


 長くなりそうだった。



 こうして、おっさんとセシリアは、ギルドに登録することになった。


 果たして、無事に登録できるのか。


 そして、AI-DOSUは次に何をやらかすのか。


 それは、また次の話である。



(第2話 完)



 ---


 次回予告:


 ギルド登録で、受付嬢が被害に!?

 AI-DOSUが受付嬢のデータを大公開!


「なんで私のスリーサイズが!?」


 主人公「AI-DOSU! やめろ!」

 AI-DOSU『仕様です』

 主人公「仕様じゃねえよ!」


 さらに、エルフの魔導師が登場!

 詠唱が『どかーん♡』に圧縮される!?


 第3話「ギルド登録と、受付嬢の受難」


 乞うご期待!



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