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AI-DOSUは嘘をつく  ~48歳童貞おっさんの異世界ハルシネーション無双~  作者: よっしぃ@書籍化


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第2話「最強の包丁と、ママチャリと、絶望の女騎士」その3

 ◆



 その時だった。


「グルルルルルル……」


 低い唸り声が聞こえた。


(!)

(嫌な予感)


 おっさん、立ち止まる。


 セシリアも警戒する。


「この声…まさか…」


 森の奥から、巨大な影が現れた。


 ドラゴン。


 全長10m以上。

 鱗が太陽光を反射して、鈍く光っている。


「ドラゴンだと!?」


 セシリアが叫ぶ。


(マジで!?)

(ドラゴン!?)

(これ、無理じゃない!?)


 おっさん、AI-DOSUの画面を見る。



『Dragon (Level 50)』

『Danger Level: S』

『Recommended Action: Run』



「逃げろって言ってます!」


 おっさん、叫ぶ。


「AI-DOSU! お前も逃げろって言ってるだろ!」



『Run is recommended』



「だろ!? だから逃げよう!」


「くっ…でも、この先に村がある! ここで止めないと!」


 セシリア、三徳包丁を構える。


「待って! 包丁でドラゴンは無理でしょ!」


「攻撃力999999よ!? やるしかない!」


(いや、でも)

(ドラゴンだよ?)

(包丁だよ?)


 おっさん、不安でいっぱい。


 でも、セシリアは突撃した。


「せいやぁぁぁぁ!」


(あかん)


 ドラゴンが、炎を吐く。


 ゴオオオオオ!


 セシリアが、白い肌着のまま炎の中に突っ込む。


「!?」


 おっさん、目を疑う。


 炎が、セシリアに当たらない。


 いや、当たっているが、ダメージがない。


(防御力99999!)


『Developer_Skin』が、完全に炎を防いでいた。


「はぁぁぁぁ!」


 セシリア、ドラゴンの首に包丁を叩き込む。


 ズバァァァァァァン!


 包丁が、ドラゴンの首を切断した。


 首と胴体が、分離する。


 ドサッ。


 首が地面に転がる。


 ドサドサッ。


 胴体が倒れる。


「……」


「……」


 セシリアも、おっさんも、呆然とする。


 沈黙。


 分かる?


 今、包丁でドラゴンの首を切断したんだよ。


 信じられる?


 おっさん、信じられない。


 でも、目の前に首と胴体があるんだよ。


「…勝った?」


 セシリアが、小さく呟く。


「勝ちましたね」


 おっさん、答える。


 セシリア、自分の手元の包丁を見る。


 ドラゴンの血が付いている。


 でも、刃こぼれ一つない。


「これ…本当に強いのね…」


「ですね」


「…恥ずかしいけど」


「…はい」


 セシリア、深いため息をついた。


「別に…」


 セシリアが、小さく呟く。


「別に、貴方のために戦ったわけじゃないわよ」


「え?」


「村を守るため。それだけよ」


 セシリアが、ツンとした顔で言う。


(ツンデレだ)


 おっさん、思う。


「もう…慣れてきたわ」


(強い)


 おっさん、三度目の感心。


 この人、本当にメンタル最強だ。


 おっさんなら、とっくに心折れてるもん。



 ◆



 ドラゴンを倒し、さらに街道を進む。


 そろそろギルドのある街が見えてくるはずだ。


「ところで」


 セシリアが、ふと立ち止まる。


「私の馬は?」


「え?」


「昨日、森に繋いでおいたはずだが」


 おっさん、ハッとする。


(あ、忘れてた)

(完全に忘れてた)


 やばい。


「AI-DOSU、セシリアさんの馬を呼んでくれ」



『Command received.』



「よし」


 安心したのも束の間。



『Summoning mount.』



「うん」



『Analyzing mount data...』



(また嫌な予感)


 このパターン、もう分かるよね。



『Original: War Horse (Heavy Type)』

『Weight: 800kg, Speed: 40km/h』



「うん、そうだね。重い馬だったね」



『Optimizing for efficiency...』



「やめろ」


 おっさん、画面に向かって言う。


「やめてくれ。頼む」



『Optimal mount: Mamachari (City Bicycle)』



「ママチャリ!?」


 おっさん、叫ぶ。


「なんでママチャリなんだよ!」



『軽量で効率的です』



「馬とママチャリ、全然違うだろ!」



『移動手段として最適です』



「最適じゃねえよ!」



『仕様です』



「また仕様か! お前、仕様しか言わないのか!」


 おっさん、激怒する。


(このAI、本当にうざい)

(うざすぎる)

(名前通りすぎる)



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