第11話「メモリ不足と、詩の暴走」その4
『Poetic data: Deleted』
『Haiku data: Deleted』
「ポエムと俳句が削除された!」
おっさん、感動する。
「やっとまともになったか!」
でも、次の表示を見て、固まった。
『Combat data: Deleted』
『Party data: Deleted』
『Map data: Deleted』
『Item data: Deleted』
『All user data: Deleted』
「全部削除されてるじゃないか!」
おっさん、絶句する。
「初期化されてるじゃないか!」
『Fresh start.』
「フレッシュスタートじゃねえよ!」
おっさん、叫ぶ。
「データを復元しろよ!」
『Backup not found.』
「バックアップもないのかよ!」
おっさん、絶望する。
そして、AI-DOSUが出力した。
『Haiku expression:』
『全て消えて
また一から
それも良し』
「良くねえよ!」
おっさん、叫ぶ。
「しかも俳句復活してるじゃないか!」
『Poetic expression:』
『ゼロから始まる物語
それが最も美しい
終わりは始まり
始まりは終わり』
「哲学やめろよ!」
おっさん、ツッコむ。
『仕様です』
「仕様じゃねえよ!」
48歳のおっさん、頭を抱えた。
カイトが、おっさんを見る。
「おっさん、大丈夫っすか?」
「……大丈夫じゃない」
おっさん、正直に答える。
「全データが消えたんだ」
セシリアが、心配そうに言う。
「緋川さん…」
「……でも」
おっさん、みんなを見る。
「お前たちがいるから、大丈夫だ」
「緋川さん…」
セシリアが、顔を赤くする。
(デレてる)
エルネラも、微笑む。
「まあ、データは消えても、私たちは消えないものね」
ルミナも、頷く。
「そうですね」
ソフィアが、優雅に微笑む。
「まあ、素敵ですわね」
カイトも、笑う。
「おっさん、かっこいいっすね」
「……照れるな」
おっさん、少し照れる。
(48歳のおっさん、恥ずかしいんだよ)
でも、嬉しかった。
◆
魔王城から戻る。
ギルドで、報酬を受け取る。
レベッカが、受付にいた。
「お帰りなさいませ(棒読み)」
「ただいま戻りました」
おっさん、報告する。
「システムクラッシュ、大変でしたね(棒読み)」
「……よく分かりましたね」
「顔に書いてあります(棒読み)」
(完全に毒舌だ)
「次回のご来店、お待ちしております(嘘)」
「……はい」
おっさん、疲れた顔で答える。
その夜。
宿で休んでいると。
AI-DOSUの画面が、光った。
『Haiku expression:』
『データ消えて
心は残る
それで良し』
「それで良くないんだけど」
おっさん、呟く。
『Poetic expression:』
『記憶は消えても
魂は消えぬ
それが真の絆』
「絆じゃなくて、データを復元しろよ」
おっさん、ツッコむ。
『仕様です』
「仕様じゃねえよ!」
48歳のおっさん、頭を抱えた。
でも、少し笑った。
(まあ、これもいいか)
明日も、こんな日々が続くのだろう。
でも、それでいい。
このカオスなパーティーと、
バグだらけのAIと一緒なら。
(第11話 完)
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次回予告:
新たな強敵が現れる!
結界で守られた魔物!
カイト「おっさん、どうするっすか!」
おっさん「……ついに『アレ』の封印を解く時が来たようだな」
おっさんが取り出したのは…
黄色くて四角い、目玉のついたケース!
カイト「は? 何そのふざけた顔の黄色い箱? ゆるキャラ?」
おっさん「言葉を慎め。これは『全国ランキング上位入賞者』のみに与えられた、栄光の文房具セットだ」
箱の中から…ハサミ!定規!鉛筆!
おっさん「結界を切断する!」(ハサミで)
おっさん「距離を測定する!」(定規で)
おっさん「弱点を書き込む!」(鉛筆で)
カイト「文房具で戦ってるぅぅぅ!」
『Haiku expression:』
『黄色い箱
されど最強
ディスクくんよ』
おっさん「季語ないし!」
第12話「文房具無双と、黄色い箱の封印」
乞うご期待!




