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AI-DOSUは嘘をつく  ~48歳童貞おっさんの異世界ハルシネーション無双~  作者: よっしぃ@書籍化


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第2話「最強の包丁と、ママチャリと、絶望の女騎士」その2




 シュインッ。


 セシリアの手に、光が集まる。


 光が収まると、そこには。


「……これ、包丁よね?」


 セシリアが、呆れた顔で手元を見る。


 確かに、三徳包丁だった。


 家庭でよく見る、あの三徳包丁。


 刃渡り17cmくらいの、ごく普通の調理器具。


「騎士に料理をしろと言うのか!?」


 セシリアが叫ぶ。


(その気持ち、分かる)


 おっさん、共感する。


 だってさ、騎士に包丁だよ?

 主婦じゃないんだからさ。


 おっさん、慌ててAI-DOSUの画面を確認する。



『Santoku Kitchen Knife (Three Virtues Blade)』

『攻撃力:999999』

『切れ味:MAX』

『万能属性:野菜・肉・魚・モンスター全対応』



「……」


 おっさん、絶句する。


「AI-DOSU」


『Yes?』


「なんで攻撃力999999なんだよ」


『最適化しました』


「最適化の意味分かってる?」


『分かっています』


「絶対分かってないだろ」


『仕様です』


「また仕様か!」


 おっさん、頭を抱える。


(やれやれ)


 でも、セシリアに見せないわけにはいかない。


「……セシリアさん」


「何よ」


 セシリアの声が、若干怒ってる。


(そりゃそうだよね)


「これ、ステータスが異常なんですけど」


 おっさん、画面を見せる。


 セシリアの目が見開かれた。


「攻撃力…999999?」


「はい」


「私の聖剣は、500だったわ」


「それの2000倍ですね」


「……」


「……」


 セシリア、複雑な表情になる。


「つまり、この…『三徳包丁』は、私の聖剣より遥かに強いと?」


「そういうことになりますね」


「…名前が『三徳(Three Virtues)』だから、汎用性が高いのか」


「おっしゃる通りです」


(この人、理解が早い)


 セシリア、深いため息をつく。


「もう…慣れた」


「早いですね」


「昨日一晩で悟ったわ。このシステムに抵抗しても無駄だと」


(強い)


 おっさん、改めて感心する。


 この人、本当にメンタル最強だわ。


 その時、ゴブリンが襲いかかってきた。


「仕方ない!」


 セシリア、三徳包丁を構える。


「せいっ!」


 ブンッ。


 包丁を振るう。


 ズバァァァン!


 ゴブリンが、真っ二つどころか、真っ四つくらいに切断された。


 切断面が鏡面のように滑らか。


(え?)

(マジで?)


 おっさん、目を疑う。


「これ…聖剣より切れる…!」


 セシリアも驚いている。


 そりゃそうだよね。

 攻撃力2000倍だもん。


 分かる?

 包丁で、ゴブリンが真っ四つだよ。


(シュール)


 セシリア、残りのゴブリンに突撃した。


「はぁっ!」


 ズバッ。ズバッ。ズバッ。


 3体のゴブリンが、瞬時に切り刻まれた。


 まるで野菜を刻むように、軽々と。


(本当に野菜みたいに切ってる)


 戦闘終了。


 商人が、震えながら馬車から出てくる。


「あ、ありがとうございます! 騎士様!」


「いえ…」


 セシリア、複雑な顔で包丁を見下ろす。


 白い肌着姿で、包丁を持っている女性。


(これ、主婦にしか見えないな)


 おっさん、心の中で思う。


 口には出さない。


 絶対に出さない。


 命が惜しいもん。



 ◆



 商人にお礼を言われ、街道を進む。


 セシリアは、包丁を腰のホルダーに差していた。


 剣のホルダーに、包丁。


 シュールだった。


「まあ、いい」


 セシリアが、前を向く。


「性能が良いなら、それでいい。騎士として、最も重要なのは『人を守ること』だ」


「立派ですね」


「武器の見た目など、二の次よ」


(強い)


 おっさん、本当に感心する。


 この人、メンタル最強だな。


 おっさんだったら、絶対に耐えられないもん。


 分かるよね?


 包丁持って戦うとか、恥ずかしすぎるでしょ。



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