第10話「3.5インチの悲劇と、カセットテープの儀式」その2
セシリアが、心配そうに言う。
「緋川さん、どうするの?」
「……もう一回やるしかない」
おっさん、答える。
カイトが、3回目の挿入。
今度は、慎重に。
誰も動かない。
息も止める。
ウィーン、ウィーン。
読み込み音。
そして。
『Read successful.』
『Loading data...』
「成功した!」
カイトが、叫ぶ。
「やったっす!」
でも、その時だった。
『System update available.』
『Updating to Version 2.0...』
「アップデート!?」
おっさん、絶句する。
「今!?」
『Downloading... 1%』
「勝手にアップデートするな!」
おっさん、叫ぶ。
「今じゃねえだろ!」
『重要なセキュリティアップデートです』
「セキュリティより先にディスク読め!」
おっさん、ツッコむ。
そして、アップデート中に。
魔物が現れた。
ストーンゴーレム。
巨大な石の魔物。
「敵だ!」
セシリアが、三徳包丁を構える。
「AI-DOSU、敵の情報を!」
おっさん、画面を見る。
『現在アップデート中です(進行状況45%)』
「今かよ!」
おっさん、叫ぶ。
「戦闘中だぞ!」
『アップデートを中断できません』
「中断しろよ!」
セシリアが、突撃する。
三徳包丁で斬撃。
ゴーレムが、ひるむ。
「どかーん♡」
エルネラが、魔法を放つ。
爆発。
「主よ、我らに力を!」
ルミナが、支援魔法。
ソフィアの胸が、ゴーレムに突撃。
ドゴォォォン!
カイトも、剣を振るう。
でも、広告が表示される。
『今すぐプレミアムに!』
「邪魔だぁぁぁ!」
なんとか、ゴーレムを倒した。
「……やった」
セシリアが、息を切らす。
その時、AI-DOSUのアップデートが完了した。
『Update complete.』
『Version 2.0 installed.』
「やっと終わったか」
おっさん、ホッとする。
『New features:』
『- Poetic output: 2x frequency』
『- Haiku output: 3x frequency』
『- Memory capacity: 50% reduced』
「改悪だろ!」
おっさん、絶句する。
「ポエムが2倍!?」
「俳句が3倍!?」
「記憶容量が半分!?」
『高度な演算の結果、これが最適解と導き出されました』
「最適じゃねえよ!」
おっさん、叫ぶ。
「旧バージョンに戻してくれ!」
『ダウングレードは対応していません』
「なんでだよ!」
おっさん、ツッコむ。
『Haiku expression:』
『アップデートは
常に前進
戻れぬ道』
「戻れるようにしろよ!」
おっさん、叫ぶ。
「しかも季語ないし!」
『Poetic expression:』
『進化とは
時に退化を伴う
それが自然の摂理』
「自然じゃねえよ!」
おっさん、ツッコむ。
「人工的なバグだよ!」
エルネラが、呆れた顔で言う。
「…ポエムと俳句が増えたわね」
「ええ」
おっさん、疲れた顔で頷く。
「もう限界なんだ…」




