第10話「3.5インチの悲劇と、カセットテープの儀式」その1
おっさんのパーティーは、新たな依頼を受けた。
『古代遺跡の最深部探索』
『報酬:金貨100枚』
古代遺跡。
暗い。
すごく暗い。
「気をつけてくださいね」
ルミナが、言う。
「ええ」
おっさん、頷く。
最深部に向かって、進む。
そして、大きな部屋にたどり着いた。
中央に、祭壇がある。
「なんだあれ」
カイトが、祭壇を見る。
近づくと。
石版が置いてある。
「これ…」
カイトが、石版を手に取る。
「すごいアイテムっすよ!」
「『古代の石版』!」
カイトが、目を輝かせる。
おっさん、石版を見る。
サイズは。
約9cm × 9cm。
厚さ約2mm。
(このサイズ…)
おっさん、気づく。
「3.5インチフロッピーディスクだ…」
「フロッピーディスク!?」
カイトが、驚く。
「なにそれ!」
「昔の記憶媒体だ」
おっさん、説明する。
「データを保存するための…」
その時、壁に大きなスロットが現れた。
『Insert disk to open the gate.』
「ディスクを挿入しろ、か」
おっさん、スロットを見る。
カイトが、石版を持って近づく。
「じゃあ、これを入れればいいっすね!」
カイトが、石版をスロットに挿入しようとする。
でも。
「あれ?」
カイトが、困惑する。
「入らない…」
スロットが大きすぎる。
約13cm × 13cm。
(5インチ用だ)
おっさん、気づく。
「そのスロット、5インチ用だな」
「5インチ!?」
カイトが、驚く。
「3.5インチを5インチスロットに入れるのか!?」
「……そうみたいだな」
おっさん、頷く。
(サイズが合わない)
「どうするっすか?」
カイトが、おっさんを見る。
「……無理やり入れるしかないな」
おっさん、答える。
カイトが、石版をスロットに入れる。
スッ。
入った。
でも。
ガバガバ。
安定しない。
「安定しないっす!」
カイトが、叫ぶ。
「ちょっと触れただけでズレる!」
「動くな」
おっさん、真剣な顔で言う。
「絶対に動くな」
「振動を与えるな」
おっさん、みんなを見る。
「息もするな」
「息もできないっす!」
カイトが、叫ぶ。
その時、AI-DOSUの画面が光った。
『Inserting 3.5-inch floppy disk into 5-inch slot...』
『Warning: Size mismatch detected.』
「分かってるよ!」
おっさん、ツッコむ。
『Reading disk...』
ウィーン、ウィーン。
読み込み音。
遅い。
すごく遅い。
「遅いっすね…」
カイトが、呟く。
「フロッピーディスクは遅いんだ」
おっさん、説明する。
そして。
『Read error.』
「エラー!?」
おっさん、絶句する。
『Disk position unstable.』
『Please re-insert.』
「ディスクの位置が不安定だって」
おっさん、カイトを見る。
「もう一回入れ直してくれ」
「了解っす!」
カイトが、石版を入れ直す。
再び読み込み。
ウィーン、ウィーン。
そして。
『Read error.』
「またエラー!」
おっさん、叫ぶ。
「なんでだよ!」
『Haiku expression:』
『ディスクは揺れ
データは消える
それもまた良し』
「良くねえよ!」
おっさん、ツッコむ。
「しかも季語ないし!」




