第8話「砂漠の悲劇と、AIの幻覚」その4
◆
砂漠を抜けて、街に戻る。
レベッカが、受付にいた。
「お帰りなさいませ(棒読み)」
「……ただいま戻りました」
おっさん、報告する。
「ご立派な冒険でしたね(皮肉)」
「……ありがとうございます」
おっさん、疲れている。
レベッカが、おっさんを見る。
「お疲れのようですね(棒読み)」
「……はい」
「AI-DOSUが暴走したんですか(棒読み)」
「……よく分かりましたね」
「いつものことですから(棒読み)」
(完全に毒舌だ)
カイトが、レベッカに聞く。
「あの、AI-DOSUって、いつもあんな感じなんすか?」
「はい。いつもです(棒読み)」
レベッカが、無表情で答える。
「ご立派なシステムですね(皮肉)」
「……」
カイトが、おっさんを見る。
「おっさん、マジで大変っすね」
「……まあな」
おっさん、頷く。
(毎日がこんな感じなんだよ)
セシリアが、おっさんの肩を叩く。
「別に…」
セシリアが、小さく呟く。
「別に、貴方は悪くないわよ」
「そのシステムが悪いのよ」
(デレてる)
おっさん、少し嬉しい。
エルネラも言う。
「でも、マイクロSD見つけてくれたわよ」
「たまには役に立つわね」
ルミナも頷く。
「そうですね」
「完全にバグってましたけど」
ソフィアが、優雅に微笑む。
「詩的でしたわね」
「詩的じゃないです!」
おっさん、ツッコむ。
カイトが、笑う。
「でも、面白かったっす」
「砂は水であり、魚である」
「名言っすね(笑)」
「名言なんかと違うぞ?」
おっさん、叫ぶ。
でも、みんな笑ってる。
(良いパーティーだ)
おっさん、思う。
たとえ、AI-DOSUがバグってても。
◆
その夜。
宿で休んでいると。
AI-DOSUの画面が、光った。
『System update complete.』
『Hallucination prevention patch installed.』
「やっと対策したのか」
おっさん、安心する。
『However...』
「However?」
『New feature added: Enhanced Poetic Mode』
「強化ポエムモード!?」
おっさん、絶句する。
『Poetic expression:』
『システムは進化し
詩は深まる
故に我々は
永遠に歌い続ける
クソポエムを』
「クソポエムって自覚してるのか!」
おっさん、叫ぶ。
『仕様です』
「仕様じゃねえよ!」
48歳のおっさん、頭を抱えた。
明日も、こんな日々が続くのだろう。
でも、それでいい。
このカオスなパーティーと一緒なら。
(第8話 完)
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次回予告:
ギルドに現れた謎の人物!
「同志よ! まさか異世界で『MS-DOS』の話ができるとは!」
魔王軍の将軍が、おっさんと意気投合!?
将軍「最近の若い勇者は、『チート』だの『アプリ』だの…」
おっさん「全くです。我々は『CONFIG.SYS』と戦った世代ですから」
カイト「何の話してるんすか?」
エルネラ「…おっさん二人が、盛り上がってるわ」
AI-DOSU『System Link Established. Sharing "Alcohol_Data".』
おっさん「今度、いい地酒が入ったんですよ」
将軍「行く行く! IPアドレス交換しましょう」
セシリア「敵なのに!?」
『Poetic expression:』
『敵と味方の境界は
酒と技術談義で消える
それが おっさんの生き様』
第9話「魔王軍の将軍と、おっさんの友情」
乞うご期待!




