第8話「砂漠の悲劇と、AIの幻覚」その3
そして、極めつけ。
『Solution for desert survival:』
『1. 砂を食べましょう(栄養価:高)』
『2. 太陽を直視しましょう(ビタミンD生成)』
『3. 水は不要です(砂に含まれています)』
「死ぬわ!」
おっさん、絶叫する。
「砂に栄養なんてないじゃないか!」
「太陽直視したら失明するだろ!」
「水は必要だろ!」
『高度な演算の結果、これが最適解と導き出されました』
「最適じゃねえよ!」
「完全にハルシネーション起こしてるじゃないか!」
おっさん、叫ぶ。
(AI、長時間使うとこうなるのか)
48歳のおっさん、AIの怖さを知った。
◆
魔物が現れた。
サンドワーム。
巨大な砂の中を泳ぐ魔物。
「敵だ!」
セシリアが、三徳包丁を構える。
「AI-DOSU、敵の情報を!」
おっさん、画面を見る。
『Enemy analysis:』
『Name: Fluffy Bunny』
『Level: 1』
『Threat: None』
『Recommended action: Pet it.』
「ウサギじゃねえよ!」
おっさん、叫ぶ。
「サンドワームだろ!」
「レベル1じゃないだろ!」
「撫でたら死ぬわ!」
サンドワームが、襲いかかる。
「行くわよ!」
セシリアが、突撃する。
三徳包丁で斬撃。
サンドワームが、ひるむ。
「どかーん♡」
エルネラが、魔法を放つ。
爆発。
サンドワームが、ダメージを受ける。
「主よ、我らに力を!」
ルミナが、支援魔法。
ピー音なし。
(良かった)
ソフィアの胸が、サンドワームに突撃。
ドゴォォォン!
カイトが、剣を振るう。
でも、広告が表示される。
『今すぐプレミアムに!』
「邪魔だぁぁぁ!」
カイトが、叫ぶ。
なんとか、サンドワームを倒した。
「……やった」
セシリアが、息を切らす。
その時、AI-DOSUが表示する。
『Victory!』
『Exp gained: 0』
『Gold gained: -1000』
『Items: Legendary Dragon Scale (Not obtained)』
「経験値ゼロ!?」
「お金マイナス!?」
「アイテム入手してないのに表示!?」
おっさん、絶句する。
「完全にバグってる…」
『Poetic expression:』
『勝利とは敗北であり
敗北とは勝利である
故に我々は存在しない
されど ここにいる
矛盾こそが真実』
「哲学じゃねえよ!」
おっさん、叫ぶ。
エルネラが、呆れた顔で言う。
「…このシステム、再起動した方がいいんじゃない?」
「……そうですね」
おっさん、頷く。
「AI-DOSU、再起動します」
『Restarting system...』
画面が、真っ暗になる。
しばらく待つ。
そして、画面が復活。
『System restarted.』
『All hallucinations cleared.』
「ハルシネーションって自覚してたのか!」
おっさん、ツッコむ。
『Poetic expression:』
『幻覚は去り
現実が戻る
されど 現実こそが
最大の幻覚である』
「まだ続くのか!」
おっさん、叫ぶ。
『仕様です』
「仕様じゃねえよ!」
カイトが、おっさんを見る。
「おっさん、大変っすね」
「……そうだな」
おっさん、疲れた顔で答える。
(48歳のおっさん、もう限界なんだよ)




