第7話「古代遺跡と、10分間の希望」その4
『System Update available.』
『Updating now...』
「アップデート!?」
カイトが、絶句する。
「今!?」
「戦闘中だぞ!」
画面に表示される。
『Windows Update を開始します』
『進行状況 1%』
『電源を切らないでください』
「はぁ!?」
カイトが、叫ぶ。
「キャンセル! キャンセル!」
でも、キャンセルできない。
『2%』
「動けねぇぇぇ!」
カイトが、固まる。
おっさん、思わず言ってしまう。
「……フッ。GUI(グラフィカルな画面)の弱点ですね」
(あ、言っちゃった)
(大人げない)
(48歳のおっさん、反省してます)
でも、もう止まらない。
「バックグラウンド処理の重さに泣くといいです」
(ああ、言っちゃった)
(でも、少しスッキリした)
カイトが、涙目で叫ぶ。
「おっさん! 助けてくれ!」
「……古いとか言ったのは誰ですか」
おっさん、丁寧だが冷静に言う。
(少しだけ、仕返ししたくなった)
48歳のおっさん、大人げないのは分かってる。
でも、言わせてほしい。
「ごめんなさい!」
カイトが、謝る。
「あんたのシステム、最強っす!」
「……もう遅いです」
おっさん、画面を見る。
『5%』
(遅い)
(すごく遅い)
ゴーレムが、カイトに向かってくる。
「やばい!」
セシリアが、カイトを庇う。
斬撃。
ゴーレムを押し戻す。
「ありがとうございます!」
カイトが、叫ぶ。
『10%』
「まだ10%!?」
エルネラが、魔法で援護する。
ゴオオオオ!
ルミナが、回復魔法を唱える。
「主よ、傷を癒したまえ…」
ピー音なし。
(普通だ)
(やっぱり普通がいい)
ソフィアが、優雅に言う。
「カイトさん、頑張ってくださいませ」
「頑張れないんです!」
カイトが、泣きそうになる。
『25%』
おっさん、AI-DOSUに向かって叫ぶ。
「AI-DOSU! カイトのアップデート、止めろ!」
『アップデートは必須です』
「必須じゃねえよ!」
『セキュリティのため』
「セキュリティより命だろ!」
『仕様です』
「デファクトスタンダードじゃねえよ!」
おっさん、叫ぶ。
その時。
『50%』
画面が、青くなった。
「!?」
カイトが、絶句する。
「画面が青い!」
「ブルースクリーンだぁぁぁ!」
『Error: 0x0000007B』
『System will restart...』
「再起動!?」
カイトが、絶望する。
「ちくしょう!」
「なんでおっさんの古いシステムは固まらないんだよ!」
おっさん、少し考えてから、丁寧に答える。
「……MS-DOSは、シンプルだからです」
(こういう時だけ頼られる)
(48歳のおっさん、複雑な気持ちなんだよ)
「バックグラウンド処理がないので、固まりません」
おっさん、説明する。
(でも、正直ちょっと嬉しい)
「くそぉぉぉ!」
カイトが、悔しがる。
再起動中。
画面が真っ暗。
カイト、完全に動けない。
セシリアが、必死に戦う。
エルネラも、魔法を連発。
ルミナも、回復魔法を唱え続ける。
おっさんも、AI-DOSUで支援。
なんとか、ゴーレムを倒した。
「……やった」
セシリアが、息を切らす。
「疲れた…」
エルネラも、疲れている。
ルミナも、座り込む。
カイトは。
やっと再起動が終わった。
『System restarted.』
「やっと…」
カイトが、疲れた顔で言う。
「すみません…」
「役に立たなくて…」
おっさん、カイトの肩を叩く。
「大丈夫です」
「最新型も、一長一短ですよ」
カイトが、おっさんを見る。
「おっさん…」
「MS-DOS、最強っす」
「ありがとうございます」
おっさん、笑う。




