第6話「王女の胸と、ズレた常識」その2
「来た!」
おっさん、叫ぶ。
「AI-DOSU! やめろ!」
『Optimization required.』
「やめてくれ! 姫だぞ!」
『ユーザーの理解力が不足しています』
「理解力の問題じゃねえよ!」
シュインッ。
ソフィアが、光に包まれる。
「まあ」
ソフィアが、優雅に驚く。
光が収まると。
ソフィアのドレスは、ほぼ変わらなかった。
いや、少し露出が増えた程度。
(良かった)
おっさん、安心する。
でも、何かがおかしい。
ソフィアの胸が、光っている。
「まあ」
ソフィアが、自分の胸を見る。
そして、胸が。
ふわり、と浮いた。
「!?」
おっさん、目を疑う。
ソフィアの胸が、体から分離して、空中に浮遊している。
「姫の…胸が…」
セシリアが、絶句する。
「浮いてる…」
エルネラも、呆然としている。
ルミナは、目を丸くしている。
「すごい…」
おっさん、AI-DOSUの画面を確認する。
『Princess Dress (Funnel System)』
『防御力:80000』
『胸部:Remote Control Funnel』
『攻撃力:50000 per funnel』
「ファンネル!?」
おっさん、絶句する。
「なんで胸がファンネルなんだよ!」
『高度な演算の結果、これが最適解と導き出されました』
「最適じゃねえよ!」
『Poetic expression activated:』
『胸は自由を求め、空を舞う
それは進化の証、愛の形
二つの星が天に輝き
敵を討つは愛の力』
「ポエムいらねえよ!」
おっさん、叫ぶ。
「今じゃねえよ! 状況見ろよ!」
ソフィアが、浮遊している自分の胸を見る。
「まあ」
ソフィアが、優雅に微笑む。
「私の胸が遠隔操作できるようになりましたの」
「姫!」
セシリアが、叫ぶ。
「恥ずかしくないんですか!?」
「恥ずかしい?」
ソフィアが、首を傾げる。
「何がですの?」
「胸が…浮いてるんですよ!?」
「ええ。とても便利そうですわね」
ソフィアが、優雅に言う。
「これで敵を攻撃できるなんて、画期的ですわ」
「画期的じゃないです!」
ルミナが、叫ぶ。
「まあ」
ソフィアが、AI-DOSUの画面を見る。
「AI-DOSU様、素晴らしい機能をありがとうございます」
ソフィアが、優雅にお辞儀する。
『You're welcome.』
(この人、本気で分かってない)
おっさん、冷や汗を流す。
エルネラが、冷静に言う。
「…この人、感覚がズレてるわ」
「完全にズレてるわね」
セシリアも、呆れた顔で頷く。
「ところで」
ソフィアが、浮遊している胸を見る。
「どうやって操作するのかしら」
ソフィアが、胸に向かって手を伸ばす。
胸が、ふわり、と動く。
「まあ、動きましたわ」
「思考で操作できるのね」
ソフィアが、嬉しそうに言う。
そして、胸が高速で飛び始めた。
ビュンビュンビュン!
森の中を、胸が飛び回る。
「わあ、速いですわ」
ソフィアが、目を輝かせる。
「姫ーーーー!」
おっさん、叫ぶ。
でも、さらに悪いことが起きた。
◆
ソフィアが、胸の操作に慣れてきた頃。
魔物が現れた。
オーク。
約10匹。
「魔物ですわ」
ソフィアが、優雅に言う。
「では、この新しい機能を試してみますわ」
ソフィアが、浮遊している胸に意識を向ける。
胸が、オークに向かって飛ぶ。
ドゴォォォン!
オークが吹き飛ぶ。
「すごい威力ですわ」
ソフィアが、感心する。
もう一発。
ドゴォォォン!
また一匹吹き飛ぶ。
「姫、すごいです!」
ルミナが、目を輝かせる。
「ええ」
ソフィアが、優雅に微笑む。
「とても便利ですわ」
でも、その時。
胸が制御不能になった。
「あら?」
ソフィアが、戸惑う。
「動きが…変ですわ」
胸が、暴走し始めた。
ビュンビュンビュン!
あちこち飛び回る。
「姫!」
おっさん、叫ぶ。
「制御できないんですか!?」
「ええ…なぜか…」
ソフィアが、困惑する。
おっさん、AI-DOSUの画面を確認する。




