もったいない恋
中1の時、遥はバスケットボール部の1学年上の先輩に片思いをしていた。
カッコよくて、顔も好みだった…
目が合っただけで…嬉しくて…
友達と家の庭にいた時…先輩が通ったから
先輩の名前を呼んで隠れたこともあった。
そんないたずらは出来るのに…
先輩にバレンタインのチョコを渡すとか…
そんな大それたことは出来なかった。
本当に…ただの片思い…
男友達と、誰が誰を好きとか
知ってる情報を交換していた時…
「野球部の蓮先輩が、遥の事を好きだったりしてね」
と言うから…
「冗談やめてよね。私、あの人と喋ったこともないもん」
と言った…
それから、少しして…
友達と帰っていると…
その野球部の蓮先輩が、遥の後ろの方にいた。
その後で、友達と別れたあとも…
なぜか、家を過ぎているはずの蓮先輩の姿が見えた。
―――どうしたんだろう?
と思いながら家に着いた。
少しして…家の電話が鳴った。
「もしもし」
「野球部の蓮ですけど」
「はい」
「僕、遥さんのことが好きなんです」
そう言って電話が切れた…
まさか…冗談だよね?
だって私、蓮先輩と話したこともないもん…
翌日…学校に行くと…
蓮先輩に呼び出された。
「好きです。付き合って下さい」
と彼は言ったけど…
私は、バスケ部の先輩が好きだったから…
「考えさせて下さい」
と言った。
友達も男友達も
「蓮先輩、カッコいいよね。すごくいい人だよ」
と言いまくる…
確かに蓮先輩はカッコいい…
とりあえず、付き合ってみようかな…と思って
付き合ってもいいと返事をした。
それから、一緒に帰ったり…
交換日記をしたり…
手を繋いで帰ったり…
蓮先輩は、寒い時に自分の制服を着せてくれたり…
蓮先輩は、本当に優しい人だった。
でも…
何かが足りない…
遥は、どんなに一緒に日々を過ごしても
蓮先輩の事を好きになれなかった。
だから、申し訳ないと思い…
別れて欲しいと蓮先輩に言った。
蓮先輩には…
「好きな人のことが、忘れられないから」
そう言った。
でも…
バスケ部の先輩とは、何もなく…
私の片思いは終わった…
それから…
月日が流れ…
遥が17歳の時…
偶然、家の近くで蓮先輩に会った。
「久しぶり、元気だった?」
「うん。先輩は?」
「元気だよ」
「そうか…元気なら良かった。じゃ、またねー」
と言って帰った。
そうしたら、家の電話が鳴って…
蓮先輩からだった…
「さっきは、どうも」
「あっ、うん」
「俺…まだ遥さんのこと忘れられないんだ…」
「え?でも私、付き合っている人いるから…」
「そうだよね…ごめん。でも、困ったことがあったらいつでも言って」
「ごめんね…ありがとう」
そう言って電話を切った。
あれから―――
何年経っただろう…
蓮先輩は医者の息子だった。
実家に帰った時に、蓮先輩の家を見たら
大きな…そしてステキな家に建て替えられていた。
蓮先輩が、あれから…どんな人生を過ごしたのかは分からない。
でも、きっと幸せになってるんだろうな…
遥は、離婚してシングルマザーになっていた。
蓮先輩の家を見ながら…
蓮先輩と結婚したら、どうなったんだろうと想像した。
遥は…
もったいないことしたな…と呟いた…




