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猿の恩返し

作者: edogon

【1.序章】


お猿さんはいつも2匹で広大な原っぱと立派な大木のある森林で遊んでいました。


お猿さんA「ウッキー。今日も楽しいな。」


お猿さんB「楽しい。楽しい。」


2匹はハメを外しすぎている様子です。足元に罠があることにも気付かず原っぱを走り回っていました。


次の瞬間、お猿さんAの足が罠に掛かってしまいました。罠は大きく頑丈でお猿さんAの足全体を覆い隠すように足を固定してしまっています。罠は怪我をさせるタイプではなかったので、お猿さんAは怪我はしなくて済みましたが身動きが取れません。


お猿さんA「ウッキー!」


お猿さんB「ウキウキー」


そこにタイミングよく木材を担いだお爺さんが通り掛かりました。


お爺さん「おお、どうしたのかね?おやまあ罠に掛かってしまったんだね。かわいそうに。よーし今助けてやるぞぃ。」


お爺さんは担いでいた木材を地面に置くとお猿さんが掛かってしまった罠を解いてくれました。お猿さんは嬉しそうにしています。


お猿さんA「ウッキーウッキー!」


お爺さん「もう罠にはかかるんじゃないぞ。」


猿は罠に掛かっていたとは思えないくらい足は大丈夫で元気いっぱいに立ち去っていきました。


【2.食べるものがない】


お爺さんはお婆さんと二人で古びた佇まいの一軒家で暮らしていました。2人は貧乏な生活を送っており食べるものも残りわずかとなっていました。そしてついにお米が底をついたのです。


お婆さん「お米がなくなりました。もう食べるものがありませんね。」


お爺さん「仕方がないのう。」


お婆さん「あの世に行く時が来たようだね。」


お爺さん「もう十分に生きた。2人で一緒に天に行くとするかのう。」


お爺さんはお家から外に出て薪を運ぼうとしました。すると家の前にリンゴと梨が置かれているではありませんか。果物を発見したお爺さんはお婆さんにすぐに報告をしました。


お爺さん「婆さんや、果物が家の前に置かれているぞい。」


お婆さん「あらまあ、誰かが置いて行ったのかねぇ。」


お腹が空いていたお爺さんとお婆さんは早速果物を食べました。


お爺さん「うん、これは美味しいぞ。」


お婆さん「とても美味しいわね。」


お腹がいっぱいになったお爺さんとお婆さんはぐっすり眠りました。


【3.お猿さん】


次の日もまた次の日も、お家の前には果物が置かれていました。一体誰が置いているのでしょうか。


そんなある時、お爺さんは夜中にトイレに起きました。トイレを済ませて外の空気でも吸いに玄関まで行くと、物音が聞こえました。まさか泥棒か?


お爺さんは恐る恐る玄関を開けました。するとそこにはお猿さんが2匹いるではありませんか。


お爺さん「あの時のお猿さんかな?」


まだお外は薄暗かったのでお猿さんは何をしているのかはわかりませんでしたが、何かを運んでいる様子でした。


お爺さん「お猿さんかね?」


お爺さんが声を掛けると、お猿さんに似たような影は一目散に逃げていきました。


お爺さん「あらら。足が速いねぇ。まだ薄暗いからあと一眠りでもしようかね。」


お爺さんは眠りにつきました。


【4.お米】


翌朝、お爺さん、お婆さんは起き上がり外に出てみると、なんとそこには袋に入れられたお米が置かれていました。1ヶ月分はあろうかと思われる程の量でした。


お爺さん「おお、これは凄い。お猿さんが持ってきてくれたんじゃな。」


お婆さん「あの時のお猿さんが?」


お爺さん「昨日、見てしまったんじゃよ。お猿さんに似た影が何かを置いているところを。」


お婆さん「あらまあ。」


お爺さんとお婆さんはこのお米でこれからも生活がしていけると思いました。


お婆さんはいただいたお米でお猿さんにおにぎりを握りました。そのおにぎりをそっと家の前に置いておきました。


そして深夜がやってきました。またまたお猿さんの登場です。お猿さんはおにぎりを見て自分にくれたものだと思い大喜びをしました。


お猿さん「ウッキー」


お猿さんはまたまたお爺さん、お婆さんにお土産を持って来たようです。おにぎりを食べ終わると、持って来たものをそっと置き、帰っていきました。


【5.金貨】


翌朝。


お爺さんが外へ出てみると、金貨が置かれていることに気づきました。10枚ほどあります。この時代の金貨1枚は1年間の食料を購入できるほどの価値がありました。


お爺さん「お婆さん大変じゃよ。」


お婆さん「どうしたのじゃ?」


お婆さんは金貨を見て驚きました。


お婆さん「これは凄い。誰がこんなことを。」


お爺さん「お猿さんが持って来てくれたのじゃ。」


お婆さん「あの時のお猿さんが。そんなたいそうなことはしていないのになぁ。」


お爺さん、お婆さんは金貨を大切に箪笥に仕舞い込みました。これだけあれば自分たちが天に召されるまで、食べ物には困りません。


お爺さん「お猿さん、ありがとう。」


お婆さん「お猿さん、ありがとう。」


お爺さんとお婆さんはお猿さんに感謝をしました。あの時、お猿さんが罠にかかっていなかったとしたら、お爺さんとお婆さんは食べるものがなく餓え死にをしていたかもしれません。偶然に感謝をするお爺さんとお婆さんでした。

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