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サイクロプスを倒したハルト達は次の行動を決めあぐねていた
ハルトはセラを護衛しているため、ヘリオスとアルビンは後方を警戒しながら話し合いをしていた
「アルビン殿、傭兵としての意見を聞かせて貰いたい」
「うむ、ハルト殿の読みは当たっていると思う。サイクロプスが3体も現れたなら普通は逃げるからな。待ち伏せは常套手段だろう」
「私もそう思います。ならば監視されていたと考えるべきか」
「逃げてくる儂らを知らせるはずだからな」
「相手は王都側には居ないですかね?」
「居ても少数だろうな」
「どうしますか…」
「くそ坊主の関与を確定させるためには刺客を捕らえる必要があるだろう」
「そうですね」
セラの婚約者をくそ坊主と言い放ったアルビンにヘリオスは苦笑しながら答えた
「ならば戻りますか?」
「仕掛けてくる可能性は半々だがな」
「セラ様、ハルト殿」
「ヘリオス、アルビン、お二人とも結論は出ましたか?」
「はい、セラ様。戻って刺客と戦うべきだと思います」
「アルビンも同じ意見ですか?」
「同じ意見です。セラ様を狙う輩など儂らが叩き潰してご覧にいれます」
「ハルトさんはどうですか?」
「…セラ様の安全を考えるのなら王都へ向かうべきですが…」
「ハルト殿…」
「む」
「ここは打って出るべきかと、我々が必ずお守りします」
「わかりました。皆さんにお任せします」
「「はっ!」」
ハルト達は道を逆走して刺客を捕らえる事に決めた
〜???〜
「シュタウフェンベルク卿の御息女は引き返してくるようです」
「狙い通りだな」
「ですがサイクロプスの姿は無いようです」
「なに?どういう事だ?奴らが近づいたら、襲うように命令を出していたはずだ」
「近づく前に引き返してきたのでしょうか?」
「トラブルがあったということか?斥候はどうした」
「分かりませんが連絡がありません、とにかく襲撃の準備を進めておきます」
斥候として雇われた冒険者は、ハルトがサイクロプスを軽く倒した事で逃げ出していた
「ああ、ここで捕らえておかねばあいつがうるさいからな」
「金払いはいいんですけどね」
「田中のやつめ」
「え?」
「何でもない」
〜ハルト〜
「全員警戒しながら戻るぞ」
「はっ」
襲撃者を捕まえる事にしたハルト達はキルギス傭兵団を斥候に出し襲撃者を探している
「団長、居ました!約5キロ先です。数は約200名」
「多いな」
「見たところ盗賊を集めたみたいです」
「ならば問題無いな」
「いや、モンスターを使役しているはずだ。数は増えるだろう」
「ふむ、盗賊は儂らキルギス傭兵団にお任せを」
「では、俺が人形とモンスターを担当します」
「宜しいのですか、ハルト殿?」
「ヘリオス殿は騎士団とセラ様の護衛を」
「了解した」
「キルギス傭兵団突撃!」
「「おう!」」
アルビンの号令で傭兵団は騎馬突撃を行う
「ぎゃー!」
「くそ!キルギス傭兵団なんて聞いてねえぞ!」
盗賊達はサイクロプスに蹴散らされた騎士団を数に任せて相手にすると聞いていたため無傷の、それも領内の盗賊狩りを普段から行っているキルギス傭兵団など想定していなかった
「シュタウフェンベルク家に仇なす者には死あるのみ!」
「殺す!」
混乱した盗賊などキルギス傭兵団の敵では無かった
「助けてくれ?!」
「突撃!」
逃げ惑う盗賊に対してアルビンは突撃を数回繰り返す
統率された傭兵団は馬上より無慈悲に盗賊達を仕留めていく
「流石はキルギス傭兵団ですな」
「ええ、ですが、襲撃を指揮している者は居ないようですね」
「モンスターを率いてるはず…」
その時、突如として右手前方にモンスターの集団が現れる
「なっ?!」
「スキルか!」
「不味い、キルギス傭兵団の後ろから攻めるつもりか。ヘリオス殿、俺も出ます!」
「了解しました。お願いします!」
人形を率いて走りながらハルトはモンスターの集団を確認する
「ゴブリンにオーク、それにサイクロプスが2体か」
総数120ほどのモンスターを見据えながら首謀者を探す
「あれか」
モンスターの集団に隠れるように人間が2人居るのを確認した
「お前達はゴブリンとオークを相手にしろ」
人形達に指示を出してモンスターの集団に突入していくハルト
「邪魔だ!」
「ガッ?!」
ゴブリンをなぎ倒しながら進んでいく
「ガァ!」
「ブホォォ!」
「……」
人形達も各自モンスターを狩り始める
一方襲撃者は混乱していた
「くそ!なんだあいつは!」
「に、逃げたほうがいいのでは?!」
「黙れ!」
こうして話している間にもハルトはサイクロプスを1体倒していた
更にキルギス傭兵団も盗賊を蹴散らしモンスターへと攻め寄せている
「雑魚共が!」
「首謀者を捕らえろ!」
すでにモンスターの6割は倒されている
「こ、このままでは囲まれますよ!」
「ぐぅ!て、撤退だ!」
「何処へだ?」
「は?」
「な、なんで?!」
キルギス傭兵団へと意識が向いている中ハルトの接近を許してしまった
「さて、誰からの依頼で襲撃をしたのかな?」
「ギギャ?!」
「ひっ!」
ハルトは質問しながら片手間でゴブリンを始末していく
「逃げられないのはわかっているな?素直に話すなら苦しまないように殺してやる」
「や、山田殿。ど、どうすれば」
「山田?クローンか?」
「まさか…お前もクローンか!」
キャラの年齢を書いて無かったので簡単な人物紹介
神野 遥斗
地球年齢32歳
クローン21歳
主人公、クローンとして作られる際に年齢が若返っている
信頼した人物には喜んで力を貸すが、敵対者や自分に関わりの無い人物には容赦はせず協力も一切しない
当初スキル構成が残念で神は期待して居なかったが徐々にチート化している
セラを助けた事でキルギス傭兵団からは非常に感謝されている。やたらと話しかけてくる団員や勧誘が激しくてちょっとウザイと思っている(嫌っている訳では無い)
クローン
神によって地球の日本人をクローンとして100人が異世界に送り込まれる
送り込まれた時期はバラバラで、ハルトより70年以上前に送り込まれた人物は寿命を迎えている
年齢もバラバラで胎児としてこの世界で生まれた者もいる
現在生存しているのは40人ほど
ハルトはまだ知らないが過去に大虐殺をおこなった人物や、逆に聖女と呼ばれていた人物もいる
ハルトの知り合いも居るかも?
クラウス・シュタウフェンベルク伯爵
年齢38歳
飄々とした人物で軽い口調が特徴で侮られる事が多いが、相手の態度や自身への対応が分かりやすくなるためあえて口調を軽くしている
当たり前だが伯爵家当主なので舐めてかかると痛い目を見る事になる
ハルトに対しては当初警戒していたが現在は信頼している
セラの襲撃には内心激怒しており、相手の伯爵家へ乗り込んで一族郎党まで皆殺しにしようとしたが、妻のテレサに止められている
あまり知られていないが、クラウス自身は魔法使いとしては王国最強候補筆頭
テレサ・シュタウフェンベルク伯爵夫人
年齢36歳
穏やかな性格で子供好き
孤児院の経営に携わっており、子供達に囲まれて微笑んでいる様子がよく目撃されている
領民からは密かに聖母と呼ばれており絶大な人気を誇っている
万が一何者かに害されたら?と冒険者が冗談で聞いた事があるが、領民一丸となって殺しにいくと笑顔で言われたが間違いなく本気だと震え上がったとか
セラ・シュタウフェンベルク
年齢17歳
母親に似て穏やかな性格をしている
スキルによって魔法の威力は王国随一だが、スキルのせいで魔力回復が遅いため魔力欠乏症によって命の危機に陥ったがハルトに助けられる
テレサと同じく領民からは絶大な人気を誇る。特に 若い世代に人気でキルギス傭兵団の団員はセラに心酔している
ヘリオス
年齢43歳
シュタウフェンベルク家騎士団団長
元Aランク冒険者でダンジョン探索のためクラウスが雇っていた時期がある
再開した際にヘリオスの妻が病に侵されていたが、希少な薬が必要で諦めかけていた際にクラウスが伯爵家の人脈を使い妻が救われる
恩義を返すためシュタウフェンベルク家に仕えている
アルビン
年齢51歳
冤罪により奴隷にされていたが、クラウスより冤罪が晴らされ解放された
シュタウフェンベルク家への忠誠心は非常に高く、キルギス傭兵団を率いる団長として長年に渡り貢献し続けている
セラ様親衛隊(テレサ様親衛隊)ことキルギス傭兵団には入団希望者が毎年30人を超えるが入団試験は非常に厳しい。領民や商人から支援を受けているため王国最強の傭兵団として知る人ぞ知る存在
現在の団員は70名、準団員473名と小領の貴族に匹敵する戦力を有している
セラ、テレサの危機に駆け付けるため全団員が騎兵なため第二の騎士団と呼ばれている
カナエ
年齢20歳
傭兵ギルドの受付嬢
ガンザ
年齢61歳
鍛冶屋店主
偏屈で知られており貴重なスキルを持っているが鍛冶依頼は滅多に受け付け無い
数打ちの武器は値段のわりに高品質で冒険者や傭兵御用達
クズ石の加工が出来る数少ない人物
クズ石の大剣を扱えたハルトを気に入っているが、クズ石をなかなか持って来ないハルトにイラついている
ヒロイン
現在考え中
今後設定等は後書きにて紹介予定
作者は説明や設定を読み飛ばす派なので本文には最低限のみ