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翌日、傭兵ギルドに登録するため街を歩いていると美味しそうな匂いがする
「なんだか嗅いだ事があるような匂いだな」
屋台を覗いてみると焼き鳥のようだ
「いらっしゃい」
「これは焼き鳥ですか?」
「アホバードて奴の肉だよ」
アホバード?アホウドリかな?
「簡単に捕まえられるんだけど、繁殖力が強いから、たくさん取れるんだよ」
やっぱりアホウドリみたいだな
「このタレは?」
「王都で流行ってる焼き鳥屋の真似をしてみたんだ。今まで塩で焼いてたんだけどね」
「なるほど」
王都に地球から来た人が居るのかな?
「タレで1本下さい」
「あいよ、タレは銅貨4枚だよ」
「塩は?」
「銅貨2枚だね」
倍か、タレの材料分なら仕方ないなのかな?
「これで」
「まいどあり」
「うん、地球の焼き鳥とは違うけどこれはなかなか美味いな」
焼き鳥を食べながら歩いていると傭兵ギルドに到着した
「すいません」
「はい、登録ですかそれともお仕事の依頼ですか?」
「登録でお願いします」
「では、こちらに必要事項をご記入をお願いします。代筆が必要なら仰ってください」
「問題ありません」
神がクローンを作った時におそらく言葉や文字はわかるようにしてくれたのだろう
「これでお願いします」
「はい、少々お待ちください」
「あっ、あとこれを」
「?」
クラウス様からの紹介状も渡しておく
「これは!少々お待ち下さい」
紹介状を読んだ、受付嬢は奥へと走っていく
「走って怒られないんだろうか」
そんなことを考えていると、奥からいかにも荒事をこなしてます、といった男が受付嬢と一緒に現れる
「お前がハルトか」
「はい」
「クラウス様からの紹介だが、領主邸の警備でよかったんだな?」
「え?紹介状の内容については知りません」
「そうなのか。紹介状にはそう書いてあるぞ」
「はあ、分かりました。それでお願いします」
せっかくの好意なのでありがたく受けることにした
「カナエ処理を頼む」
「わかりました」
「うむ、俺はギルドマスターだ。何かあったら言ってくるといい」
「その時はお願いします」
「ああ」
ギルドマスターが奥へと戻った後、受付嬢から注意事項を言い渡される
「まずは担当しますカナエです。ハルトさんはご領主様からの推薦なので問題はないと思いますが、通常領主邸の警備を任されるにはかなり信頼を積み重ねた傭兵じゃないと仕事を受けることができません」
「当然ですね」
「問題を起こした場合、傭兵ギルドの責任にもなりますので、くれぐれも問題を起こさないようにお願いします」
「分かりました」
「では、こちらが登録証になります」
登録証を受け取る
「ハルトさんは直接領主邸に向かってください。ご領主様と直接契約になりますので」
「直接契約ですか?」
「はい、よほどの信用がないと直接契約はないんですけどね」
「そうですか」
カナエさんにじっと見られているが、わざわざ説明する必要は無いだろう
「では、領主邸に行ってきます」
ギルドを出て領主邸に向かおうと思ったが、武器を何も持っていないことに気づいた
「よく考えたら替えの服も何もないじゃないか」
着いて早々、領主邸に連れていかれたのでハルトは必要なものは何も買っていなかった
「まずは服だな。おや?」
商店が並ぶ一角へと向かったら首輪をした人間が檻にいられて並んでいる場所があった
「奴隷か?」
地球にいる本体なら奴隷を見て嫌な気持ちになったかもしれないが、クローンであるハルトはこの世界に順応するために神に精神をいじられているため、なんとも思っていない
むしろゲーム感覚でいるためテンプレに若干興奮している
奴隷に視線が行っているのに気づいた、奴隷商が話しかけてくる
「どうですか、お安くしときますよ」
「すまないが、奴隷を買う余裕はない」
「そうですか」
「参考までに値段はどれ位なんだ?」
「ここにいるのは、金貨五枚から十枚ですね」
「安いな」
「そうでしょう」
金貨1枚が10万円ほどなので人間が50万から100万程度のようだ
「必要になったらまたこさせてもらうよ」
「お待ちしております。高級奴隷は店舗の方にいますので、よかったらそちらの方も次来た時にでもご覧ください」
「わかった」
奴隷商と別れて、服屋に向かったがやはりというか、着心地が良くない
「まぁ、しょうがないか。これをお願いします」
「ありがとうございます。銀貨4枚です」
服屋の後は武器屋に向かうが途中で興味を惹かれるものがあった
「これは?」
「お客さん、お目が高いですね!こちらはダンジョンで発見された等身大の人形ですよ」
身長160cmほどの人型の人形が置いてある。顔はなく、つるっとした卵型だ
「へ〜。ダンジョンから見つかったなら、何か特殊な機能でもついてるのか?」
「それが…ちょっと硬いぐらいですね」
「硬い?」
「鉄でできているので頑丈なんですが、ただの人形ですから、使い道がほとんどないんですよね。剣術の修行に使おうにも硬いので、剣の方がダメになってしまいますからね」
「つまり、役に立たないと」
「王都で貴族にでも売れると思ったんですが、見向きもされませんでした」
「そりゃな。値段は?」
「興味があるんですか?まあ、金貨3枚でいいですよ。鉄の塊ですから溶かせば使えますから」
「う〜ん」
なに惹かれるものがあるだよな
「武器屋に行くから帰りに寄るよ。今買っても持ち運べないし」
「わかりました。お待ちしています。輸送はサービスしますので」
「わかった」