表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
クズ石の英雄  作者: 藤堂 元気
第一章傭兵始めました
2/16

2

「着いたのかな?」


周りを見渡すと城壁に囲まれた街の入口付近にいることがわかった


とりあえず門が見えるのでそちらに向かってみる


「すごい並んでるなぁ」


街に入るための手続きのためか20人ほどの人と馬車が数台、門の前に止まっている


「ここが最後尾ですよ」

「ありがとうございます」


別に近づいていくと最後尾の人が教えてくれた


「旅の人ですか?」

「え?そうですね」

「見たところ、荷物がないようですが」


まずい、旅をしているのに手荷物の一つも持っていないのはさすがに怪しいな


「え、ええ。来る途中でモンスターに襲われまして、荷物を投げつけてなんとか逃げ出したんです」

「それは大変でしたね」

「はい」


苦しい言い訳だが、納得はしてくれたようだ


「それでは、街に入るのに身分証や税がないのではないですか?」

「あ…」

「事情を話せば、街には入れると思いますが宿に泊まるお金もないなら早めに仕事を探した方がいいですね」

「そうですね、泊まり込みの仕事があればいいんですけれど、田舎から出てきたばかりなので街に入ってもなかなか難しいかもしれません」

「ふむ、でしたら…」


その時、街に向かって凄い勢いで走ってくる、騎兵と馬車が道の先から現れた


「道を開けろ!」


「なんでしょうか?」

「随分と急いでいますね」


並んでいた人達は道をあけて何事かと遠巻きに眺めている


「どうしたのですか隊長?」

「説明不要!このまま通るぞ」

「は、はい」


豪華な馬車が急いで門を通過して街の中へと入っていく


「一体何が…」


皆は騒然としていたが、警備兵は構わず手続きへと戻っていく


しばらくすると遥斗の番になったので警備兵に説明して街に入れないか尋ねる


「モンスターに襲われて荷物を失くしたと」

「はい、必死だったので」

「うむ、いいだろう。ステータスを確認させてもらうぞ」


警備兵が差し出した水晶のようなものに手を触れるように言われる


「ほう!魔力がAとは。スキルは…ああ」

「何か問題がありましたか?」

「いや」


明らかに目を逸らされた


恐らくスキル構成が残念だと思ったんだろう


「では、大銅貨1枚は1ヶ月以内に支払うように」

「わかりました」


仮の身分証を発行して貰い街に入る


「さてどうするか…」


並んでいる間に教えて貰ったのだが、この街はバリオン。人口は約2万人でアルストリア王国では第二の都市だとか


周辺には森があるが下級のモンスターしか居ないため、みんな大好き冒険者ギルドは小規模のようだ


「まいったな」


とりあえず身分証の代わりになるので、冒険ギルドに登録だけはしておこうか



教えてもらった冒険者ギルドに着いたが、何やら騒がしい


「入りずらいな」


意を決してギルドに入ると何かを探しているようだ


「魔法を使える者は居ないか!」

「すぐに調べてくれ!」

「は、はい!」


ギルドの中では騎士のような格好をした人物達が魔法使い?を探している


「まいったなぁ」


おそらく受付だと思われる場所では職員が忙しく動き回っているので、今登録してくれと言っても難しそうだ


「すいません、この街のギルドでは魔法スキルで登録している人はいません」

「ぐ!」

「ひっ、すみません」

「いや、すまない」

「我々は他の場所を調べる。邪魔したな」


騎士たちが出ていこうとした時、警備兵が駆け込んでくる


「ハルトという人物は居るか!」

「へ?」

「む、何事だ?警備兵が慌てて探すなど事件か?」

「いえ、あの件です」

「なに?」


その言葉を聞いた騎士と警備兵は鋭い視線でギルドの中を見渡す


「居た!」

「え、あの…」

「一緒に来てくれ!」

「緊急事態だ。理由は後で説明するので、とにかく一緒に来てくれ」

「わかりました…」


何がなにやらわからないうちに連行されるハルト


「俺何かしました?」

「君は何もしてないよ。ただ、君にやって欲しい事があるんだ」

「やって欲しい事?」

「済まないが着いてから話す」

「わかりました」


そうしている間に立派な屋敷へと連れて来られた


「通るぞ」

「はっ」


屋敷の中に入ると、そのまま応接室のような場所に連れていかれる


「しばらくここで待っていてくれ」

「あ、はい」


騎士に言われて応接室で待っていると、身分の高そうな男性が入ってくる


「君がハルト君だね」

「はい、そうですが」

「説明はまだ受けてないんだったね」

「はい」

「掛けてくれ」

「失礼します」

「君を呼んだ理由は魔力がAだと警備が知らせてくれたからなんだよ」

「はあ…」

「実は娘がこの街に帰ってくる途中にオークの群れに襲われてね。魔法で撃退したのはいいが魔力欠乏症になったんだ」

「すみません。魔力欠乏症とは?」

「魔法を使うと魔力を消費するが、限界まで魔力使うと命に関わることがあるんだ。通常は安静にしていれば二、三日で治るのだが娘は魔力の回復が人より遅くてね。このままでは命に関わるんだ」

「なるほど。それで俺が呼ばれたのはどういうことですか?」

「娘は魔力がBなんだが、魔力欠乏症を治す為には本人より高い魔力を持つ人物か魔道具で補充する事で治るんだ。あいにく魔道具が手元に無いからハルト君に補充をお願いしたい」


そう言って頭を下げる


「魔力を補充するとハルト君にも魔力欠乏症に近い状態になると思う。なにせ娘の魔力はほぼ空だからね」


恐らく領主と思われる男性は表面上は落ち着いているように見えるが内心はかなり焦っているのだろう、その証拠にいまだ自己紹介すらしていない


「頭を上げてください。事情は理解しました。できる限り力になりましょう」

「そ、そうか!ありがとう。すぐに案内しよう」

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ