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王都へと着いた一行は王都にあるシュタウフェンベルク家へと向かった
「お嬢様、お久しぶりです」
「ミリア、久しぶりね」
「ディラン様はすぐに来られます」
「わかったわ」
メイド長のミリアの入れてくれたお茶を飲んでいるとディランが現れた
「セラ、久しぶりだね。ますます綺麗になった」
「お久しぶりです、お兄様」
「ヘリオスとアルビンもよくセラを無事に届けてくれたね」
「はっ」
「ディラン様も貫禄が着いてきましたな」
「ありがとう、それでそちらの彼がハルト殿かな?」
「ハルトです」
「セラを守ってくれてありがとう。父上からも、くれぐれも丁重にもてなすようにと手紙を貰っているよ」
「痛み入ります」
「さて、これが依頼書か…」
「はい、ミツカゲ・ヘルパーから山田という刺客に宛た依頼書です」
「う〜ん、困ったね」
セラ誘拐の依頼書だけでなく他の事件に関わっている証拠がわんさか出てきたのだ
「ヘルパー伯爵はダメだから、ニアバス侯爵に頼むしかないか…苦手なんだよな」
「わたくしはお会いした事が無いのですが、何か問題のある方なのですか?」
「ニアバス侯爵は愛妻家でね。婚約者の居ない男子には夫人の自慢話を散々した後に見合いを進められるんだよ」
「それは…」
「悪い人では無いんだよ?見合いを断っても怒らないしね。ただ、話が長いんだよ…」
「ディラン様、申し訳ありませんが…」
「わかってるよ。はあ…行ってくるよ。ああ、今日は帰れないと思うから屋敷でゆっくりしてね」
「念の為護衛します」
「頼むよ、ヘリオス」
「はっ」
憂鬱そうに部屋から出ていった
「では、セラ様。儂とハルト殿は傭兵ギルドに行ってきます」
「わかりましたわ」
「鷲らはギルドに行くからセラ様の護衛は任せたぞ」
「はい、団長」
普通は貴族の屋敷に傭兵団の団員を泊めるようなことはしないが、キルギス傭兵団は第二の騎士団と呼ばれるほど領民とクラウスから信頼されているため護衛をかねて敷地にある宿舎に止まっている
普通の貴族なら団長はまだしも団員など敷地には入れない。ギルドを通してしかやり取りをしないからだ
そもそも庶民のハルトと当たり前のように話しているシュタウフェンベルク家の面々が珍しいのだ
王族派は比較的庶民に対しては寛容だ。税も安く庶民は安心して生活をしている
対して貴族派は貴族以外は人間じゃないと本気で思っている者が多い。無礼討ちと称して庶民を遊びで殺すことも平気でやる
それ故、貴族派は庶民から嫌われている
「傭兵ギルドへようこそ。お久しぶりですアルビンさん」
「うむ、クラウス様の依頼で王都までの護衛任務だ。こちらのハルト殿も同じだ」
「確認しますのでお待ちください」
ハルトはギルドを見渡すがバリオンよりもかなり規模が小さい
「ん?どうしたのだハルト殿」
「いえ、アルストリア王国のギルド本部の割には規模が…」
「それは登録している傭兵が少ないからですよ。確認が終わりました」
「うむ、ハルト殿は王都が初めてだから説明して上げてくれ」
「わかりました。傭兵の仕事は護衛と警備が主になりますが、王都では警備の仕事はほとんどありません。王族のいる王都の警備は騎士であり兵士であるからです」
確かに傭兵に頼るなんて有り得ないよな
「何かのイベントがある時は依頼が来ますけどね。そして護衛依頼は王都へ来る傭兵は帰りも同じ方を護衛して帰りますからやはり依頼は少ないです」
「なるほど」
「ですから本部に所属している傭兵は少ないんです」
「わかった、ありがとう」
「では、もどりましょうかハルト殿」
「ええ」
ギルドを出てからなんだか視線を感じる
「アルビン殿」
「うむ、見られてますな」
「ミツカゲがまた仕掛けてきてるんですかね?」
「証拠を握っているとは知らないはずですが」
「早く屋敷にもどりましょう、アルビン殿」
「そうですな」
「セラ様を呼んで貰いたい」
「わかりました」
メイドにセラを呼んで貰う
「おかえりなさい」
「ただいま戻りました。セラ様、屋敷の敷地にゴーレムを召喚させて頂きたいのですが」
「ゴーレムですか?」
「はい、帰る途中に視線を感じましておそらくミツカゲがまだ諦めていないのかと」
「そうですか、許可します」
「ありがとうございます」
「召喚を見てもいいですか?」
「もちろんです」
「召喚アイアンゴーレム」
「これが召喚ですか」
「はい、魔力は十分なので70体ほど召喚します」
「そんなに…いやはや、ハルト殿はそこが知れませんな」
「ハルトさんは英雄の素質があるのでしょうね」
「ただの傭兵ですよ」
召喚したゴーレムを屋敷の各場所に配置する
「キルギス傭兵団もいますから警備は万全です」
「ハルト殿は1人で騎士団と戦えますな」
「王族でもここまで守られないかもしれませんよ」
セラとアルビンは苦笑いをしている
「では、屋敷の中に戻りましょう」
王都に着いたのでシュタウフェンベルク家のステータス公開
クラウス・シュタウフェンベルク
年齢39歳
伯爵家当主
Lv51
腕力B(B)
体力C(B)
魔力B(A)
スキル
火炎魔法
雷魔法
現在の現地人で数十人しかいない魔法2種類持ち。上級スキル火炎魔法はランダム制になってから久しぶりに現地人として獲得した
集団戦には無類の強さを誇り、過去に帝国との戦争ではその魔法で1200人を薙ぎ払った事で国内外で恐れられている
テレサ・シュタウフェンベルク
年齢36
伯爵家夫人
Lv21
腕力E(B)
体力E(B)
魔力D(S)
スキル
料理
現地人としては平均的なステータスで、スキルも料理の1つのみ
現地人の7割以上がテレサと同じようなステータスとスキルになる
善行ポイントによる潜在能力上昇値が2段階上がっている
ディラン・シュタウフェンベルク
年齢21歳
伯爵家長男
Lv31
腕力C(S)
体力D(A)
魔力D(A)
スキル
槍術(強)
身体強化
クラウスの長男でバリオンを離れられないクラウスの代わりに王都の屋敷で実務を担当している。
テレサの血を色濃く受け継いでいるためか穏やかでかなりの美形のため見合いの話が後を絶たないが、第1王女との婚約が密かに進められているため全て断っている
潜在能力も現地人としては最強クラス
セラ・シュタウフェンベルク
年齢17歳
伯爵家長女
Lv26
腕力E(C)
体力E(C)
魔力C(S)
スキル
風魔法
魔法威力強化
魔法威力強化のため風魔法が上級スキルなみの威力になるが、魔力の回復が遅くなるため乱発は出来ない