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クズ石の英雄  作者: 藤堂 元気
第一章傭兵始めました
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「山田?クローンか?」

「まさか…お前もクローンか!」

「や、山田殿のお知り合いですか?」

「くそ!スキルを奪いに来たのか!」

「ん?」


スキルを奪うとかよくわからないことを言い出している


「何を言っているんだ?」

「俺のスキルを奪わせないぞ!」

「だから、何を言っているんだ?」

「お前も神に言われたはずだろ、クローンは他のクローンを殺せばスキルを1つ奪えると!」


そんな話し聞いていないぞ…他にも聞いてない話しがあるんじゃないだろうな神様


ハルトのスキル構成を見た神は他のクローンを殺せるとは思わず、また、ハルトが最後の1人だったのでさっさと地上に送ってしまったのだ。支度金も渡し忘れて…


「ふむ、スキルを奪えるか…いい事を聞かせてもらった。お前のような奴なら殺しても構わないだろうからな」

「ちっ、おい!」

「え?」

「魔力を寄越せ!」

「は?…ぎ、ぎゃーー?!」

「なにを…」


山田と呼ばれたクローンは懐から水晶のような物を取り出し、仲間から魔力を吸い取っているようだ


「ひっひっひ!これで呼べるぞ!さあタイタン!現れて奴を殺せ!ひゃーっひゃっひゃ!」


しーん


「あ?なんで出てこないんだ!魔力はた…り…ぐはっ!」


山田の身体が膨れ上がっていく


「あ…が…な、なんで…」


「ハルト殿!」

「下がって下さい、アルビン殿」


駆け付けたキルギス傭兵団は異形へと変わる山田をみて顔が引きつっている


「これは一体…」

「召喚の失敗でしょう。タイタンとやらの」

「た、タイタンですと?!」

「知っているのですか?」

「身長15mを超える巨人ですよ!過去に小国に甚大な被害を与えたと聞いてます」

「アルビン殿はキルギス傭兵団とセラ様の避難を」

「ハルト殿は?」

「足止めをします」

「危険ですよ」


そう話している間にも山田は膨れ上がり5mを超えている


「アルビン殿は避難を」

「…わかりました。ご武運を!」


アルビン達が待避した後、ハルトは独りごちる


「これ、途中だけど攻撃していいのかな?やってみるか。はぁぁ!」

「いでぇよぉ」

「ふん!」

「やべろー!」


ハルトが切り付けても傷が盛り上がり修復されていく


「こりゃあかんかもな」


ついにタイタンへと変貌遂げた山田は咆哮する


『ガァァァァァァァ!!』

「ぐっ!なんて声だ!」


避難し始めたセラ達が乗る馬車や騎士達の馬が声に慄いて暴れ出す


『ヒヒーン!』

「どうどう」

「おちつけ」

「ヘリオス団長!あれを…」

「なんだあの化け物は…」

「あれはタイタンだ」

「アルビン殿はご存知なのですか!」

「ああ…あれは厄災種だ」

「厄災…まさか、人類が何度も甚大な被害を受けたあの厄災ですか」

「そうだ」

「ばかな…逃げたところで意味がないんじゃないですか?」

「王都まで逃げ込んで騎士団全軍に出動を願うしかないだろうな」

「ハルト殿は?ハルト殿はどうしたのですか!」

「……」

「ぐっ!」


「ヘリオス!」

「セラ様」

「ハルトさんは…まさか残っているのですか?!」

「…はい」

「なんてこと…」


セラは倒れ込みそうになるが、メイドが受け止める


「お嬢様、まずは王都に向かいましょう。ハルト様なら逃げ切れるかもしれせん」

「そうですね…ハルトさんが足止めしてくれているのです、わたくしが残っていては無駄になってしまいます」

「すぐに出発いたします」

「分かりました。ハルトさんどうかご無事で…」



「はぁぁぁぁ!!」

『ガア』

「ちっ!効いてないのかよ!」


ハルトはタイタンの攻撃をかわしながら何度も大剣を叩きつける


「地面の揺れま…危な!」


タイタンの巨体では足踏みしただけでハルトはバランスを崩してしまう


「動きがのろいのだけが救いだな。せめてあと30分は足止めしないと」


タイタンの動きを見ている限り、馬車に追いつけるほど早くはないはずだ


知能が低そうなのでセラ達を追いかけるとは限らないが視界に映っていなければ追いかけないと思われる


「お前達は無理せず、遠目から挑発するように動いてくれ」


人形に指示を出して、自分にだけ攻撃が向かないように挑発させる


「さて、俺は逃げられるんだろうか…ん?あれは何だ?」


タイタンの左胸が淡く光っている


「もしかして……お前達はタイタンの前面で挑発してくれ」


ハルトはタイタンの足の間を通って膝裏に取り付く


「予想が当たっていてくれよ…」


幸い巨大化した時に着ていた服も大きくなっている


激しく動く体を登って、タイタンの背中側から光っている部分に片手を当てる


「俺の魔力を全部持っていけ!」


山田が持っていた水晶だと当たりをつけて魔力を一気に流し込む


『グガァァァ!』

「くそ!」


暴れだしたタイタンに張り付いて居られなく寸前に、人形達が一斉に飛びつきハルトを支える


「お前ら…頼むぞ」


人形達に支えられたハルトは両手を付けて更に魔力を流し込む


『あ…ああ…』

「意識が戻ってきたか?だが、悪いがこのまま決めさせてもらうぞ。はぁぁぁぁ!」


パリンという音がしてタイタンの巨体が縮み始める


「待避だ!」


ハルトと人形達は一斉に飛び降り、タイタンから距離をとる


「ぐはっ、ちく…しょう…」

「やったか?」


人間の姿にまで縮んだ山田をしばらく観察するが、起き上がる気配はない


その時、頭に声が聞こえてきた


『スキルを習得します。選んでください』

「これがスキルを奪うってことか?」

『眷属召喚。気配遮断(強)。繁殖力強化』

「ぶほっ!」


思わず吹き出してしまうハルト


「最後のはないわぁ〜」

山田 哲人

地球年齢14歳

クローン31歳


Lv36


腕力C

体力D

魔力D



スキル

眷属召喚

自身の魔力を用いて眷属モンスターを召喚する。召喚出来る眷属は自身のスキルに影響される


気配遮断(強)

自身を含む周囲10m以内の味方を認識出来ないようにす(眷属は100mまで有効だが離れるほど魔力を消費する)



繁殖力強化

他のクローンから奪ったスキル

子供が出来やすくなる




眷属召喚により暗殺を得意としており闇社会で高い地位に居たが、とある暗殺依頼でクローンを殺してしまったためにゴブリンやオークなどしか召喚出来なくなり失脚してしまった


中学の同級生である田中謙一、ヘルパー伯爵家長男ミツカゲ・ヘルパーにセラ誘拐を依頼されるもハルト達によって撃退される

もしも、繁殖力強化さえ奪わなかったら伝説の暗殺者と呼ばれて居たかもしれない男

スキル強奪は強制発動のうえ要らなくても必ず奪わなくてはいけない





更に記す


今川 太一

地球年齢41歳

クローン年齢31歳


Lv53


腕力S

体力A

魔力E


スキル

繁殖力強化


クローンで唯一スキルが1つしか与えられなかったが、魔力以外のステータスが高い。正義感が強かったため、ある親子を救うため闇組織と対立。闇組織を壊滅寸前にまで追い込むも山田哲人に殺害される

強力なスキルを授かっていれば英雄として名を残したであろう




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