1:プロローグ
(ここは?)
気付くと見知らぬ場所にいた
「目覚めたようだな」
「あなたは?」
突然目の前に白髪の老人が現れた
「儂はこの世界カラドヘイムの神だ」
「神?」
「うむ。お主には頼みがあって、ここに呼んだ。混乱しているだろうが、まずは話を聞いてほしい」
「はあ…」
「今いる場所は天界だ。儂の管理する世界は…分かりやすく言うならば、ゲームのような世界だ」
「ゲームですか?」
「うむ。レベルやスキルがある世界だな」
「えっと…」
「混乱するのはわかる。なぜお主を選んだのか説明しよう」
「お願いします」
「スキルがあると言ったがもともと自由に選ぶことができたのだ。だがそのせいで国が国民に対して、習得するスキルを強制するようになったのだ。そもそもは魔物に対抗する為に戦闘系のスキルを習得したものには補助金を配布する国があったのだが、次第に他国との戦争のために戦闘系のスキルを強制する国が現れた。そうなれば各国は戦闘系のスキルを国民へと習得させることになる。そのため、全人口の7割が戦闘系スキルを習得する事態になってしまった」
「それは…」
「このため、スキルの習得は素質のあるスキルからランダムで選ばれるようにした。習得できるスキルの数もな」
「それで俺が呼ばれた理由とは?」
「儂の世界は長く続いた戦争のため、文明が衰退してしまったのだ。お主の世界は文明が発達している、儂の世界の文明の発達に協力してもらいたい」
「文明の発達ですか…ですが、俺は特に詳しいわけではありませんよ?単なる一般人ですから」
「わかっておる。お主1人に全てを任せるわけではない。お主以外に100人の人間を送り込む」
「そうですか。……あの、俺は死んだのでしょうか?」
よくある小説だと死んだ人間を世界に送り込むというのは読んだことがある
「いや、お主は死んでおらぬ。分かりやすく言うのならば、クローンというやつだな」
「クローンですか?」
「そうだ。お主の本体とも言うべきものは、元の世界で生活しておる」
「では俺が死んでも影響はないと?」
「そうだ」
「はあ…」
「なんと言ったか…ああ、VRゲームだったか?もう1人の自分がゲームの世界に入り込んでいるという感じだな。もちろん痛みもあるし喜びや恐怖も感じるがな」
「わかりました」
「儂の世界で生きるためにモンスターや人間を殺すことに抵抗はないはずだ。今までの話も抵抗なく受け入れておるだろ?クローンを生み出す時にそういう風に作ったからな」
「確かにすんなり受け入れていますね」
普通ならばこんな話をされても何言ってんだこのジジイと思うだろうな
「あとはこれから行く世界で自分の目で確かめるが良い」
「はい」
「ではスキルの習得といこうか」
「ランダムなのですよね?」
「そうだ、では行くぞ」
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神野 遥斗
Lv1
腕力F
体力F
魔力A
スキル
魔力回復(極)
重量操作(極)
自動化
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「………」
「これっていいんですかね?」
「う、うむ。魔力回復(極)は魔法を使う者にとっては最高のスキルだな」
「重量操作は?」
「ちょっとまて…重さを0〜100%に変えれるぞ。魔力を消費するがな」
「自動化は…」
「スキルを使えば魔力によって物を動かせるようになる。ただし、物を浮かせたりは出来ないな」
「…魔法は使えますかね?」
「いや、スキルが無いと使えん」
「じゃあ…」
「と、とにかく頑張ってくれ。お主は魔力が高いからスキルは使いたい放題だろう」
「はあ…」
「しかし、ここまでバラけるのは珍しいのぉ…魔法が入ると思ったんじゃが。モンスターを倒すのは厳しいかもしれんの」
「なんですか?」
神がブツブツ言ってるが聞こえない
「おほん、お主はアルストリア王国の街に送る事にする。戦闘系スキルがないから、その方がいいだろう」
「そうですね」
「お主の活躍に期待する」
「頑張ります」
「では送るぞ」
遥斗は光に包まれ地上へと送られた
「しかし、(極)を2つも持っているのは珍しいの。魔法があれば英雄とも呼ばれたであろうに…」
クローンはいいスキルが出やすくなっている
ランダムスキルは地球のガチャを知った神が思いつきで作ったもので、クローンには確率アップガチャのよいにしてやらせていた
スキルには確率が設定されていて、アルストリアの人間は下級スキルばかりが選択されていた
「まあ、最後の一人だし構わんか……しまった、活動資金を渡すのを忘れておった!」
神にとって予想外のスキル構成だったため、活動資金を渡すのをすっかり失念してしまった
どうなる遥斗