その男は試行錯誤する。
またお風呂に入っていてふと思った。さっきの状況、どう見ても変な液体が身体中にかかったように見えたはずだがどうも母には見えていないらしい。ふむ…どうしたものかなぁ…。
一応クレーエにも聞いてみると、やはり見えないと言われた。悪魔憑き、もしくは能力持ちの"ユーザー"と呼ばれる人達にしか見えないと言う。
「そういや、俺の針どこやった??」
「あ、ごめんすぐ返すね…」
そういや忘れていた。謝りつつすぐに返すと、
「いや、良いんだけどよ〜…あれは剣になりやすいように出来てるから自分にあった武器じゃないんじゃないかと思ってよ」
なるほど。自分に合ったイメージの武器を作ったほうが確かに強い気もする。…とっさにイメージしやすい武器かぁ…。あ、そうだ。明日の昼休みにちょっと研究してみるか!
と勢いよくお風呂を出て直ぐに寝たのであった。
翌日の昼休みーー校舎裏に来た僕は針を持ち、剣をイメージしながら腕に刺した。すると、粘土のようにグニャグニャしながらだんだんと剣の形になっていき2秒程かかって剣になった。耐久性を確認しようと木をぺちぺちと叩いてみた。なんと…木がぺちぺちした形に跡がついてしまった……。硬すぎ…るみたい…だ。と、焦っていると茂みの方からガサガサと音が聞こえた。
そこにいたのは…男の子であった。多分だが同じ学年の男子だ。
「なに…をしているの…?」
恐る恐る聞いてみた…すると…。
「…君の監視だけど?」
と、かなり面倒くさそうに答えてくれた。うん、待ってくれ、監視ってなんだ!?
「か、かかかか監視!?どどどういうこと?」
「…もし万が一、君が暴走するようなことがあれば殺してでも止めなきゃならない…だから小官はここで見張ってた…」
まったくわからん。暴走って、まだ能力を知って2日の僕がするわけないじゃないか。
「…もし能力で困ってるなら…手伝おうか…?」
「えっと…悪魔憑きの方なんですか…?」
「そうじゃなきゃ、殺せないでしょう?」
なんか強そうだし…手合わせとかしてもらえるかもしれない…?木を毎回ぺちぺちするわけにもいかないしな。
「じゃあ早速お願いしようかな」
「…とりま一発目だし…本気でかかって来てよ…どれくらいの力かっていうのも見たいし…なにより君のその能力…強そうだしね…」
…怖い怖い…完全に戦闘狂みたいなやつだな…
「ちょちょっと待ってまずは自己紹介からにしないかい??」
「…あぁ初対面だったっけね…小官は栗原准兎…所属は言わないでおくよ…」
「(所属ってなんだ…)…僕は橘幸良…最近能りょk」
「知ってる…ずっと見てたし」
あちゃーそこも見てたか……なんでだよ!