体育祭襲撃戦。2-7
ドンドンドコドコ
体の芯にまで響く太鼓は、リズムを聞いたことが無くても元気が出るようなそんなリズムだった。...さすがに応援合戦を見たことが無いのか掛け声などは無く、舞踊っぽいものをしていた。
すると、隣にいたリサーが目を覚ました。逆にこの音でよく眠れていたものだ。
「おはよう...ふぶき...。」
「起きた!?あ~よかったぁ...よく眠れた??リサー、おかえり」
「次、ちょっとウチも参加しないとだからいい子にして待っててね」
「???わたしも...さんか、する!ちからになりにきたんだもん!」
そんな話をしていると、メルキュールたちの番が終わり僕たちの番になった。
「みんな!ボクがいれば大丈夫だよ!!張り切っていこー!」
そういって場所に立ったが、目の前には大勢の怪物たち。もちろん怖くないわけがない。
「それでは、次は人間チームの応援で~す。まぁせいぜい頑張って~」
「「「よろしくお願いしま~す!」」」
そう言うと、恋先輩が声をあげた。
「さんさんななびょおおおおおおおおしぃ!!!」
用意されていた学ランや鉢巻を巻いて、手元の扇子を皆でズレがないようにあわせる。
...が、やはり悪魔の観衆にはあまり響かない模様で、つまらねー、なんだこれ、応援する気あんのか?など酷い言われようである。いや、こっちからすればあっちの踊りこそ応援する気あるの!!?!?!??
「これよりーエールを送るー!いくぞーーー!!」
「「「おう!!」」」
元気に返事をして、それなりに出来ているかなとは思ってはいるが、響いている感じがまるで無い。観客、メルキュールたち、それに半ば僕らまでもがダメかも、そう思ったとき...
「みんな...おまたせ...いくよ!」
リサーがそう言うと、空気がピリっとする。なんか今...痺れた...?と思っていると、自分たちの背後に大きな龍が踊りだし、たくさんのカラフルな花火がいくつも打ち上げられ始めた。
「「「????!!!???!!!!」」」
みんなが困惑している。どうなっているのか検討もつかない。おそらくリサーが何かをしてくれているのだろう。
龍や花火などド派手で分かりやすい演出はなんと悪魔たちにも伝わったみたいで、そこら中からすごい!絶賛されている。
メルキュールも悔しそうに下唇を噛んでこちらを見ている。
「リサー、何をしてくれているの?」
蘡薁さんが静かに聞くと、どうやらリサーは魔界での修行で属性「雷」を手に入れ、簡易的な"領域"を形成することで立体ホログラムを出していたらしい。すごい技術力だ...。
そうこうしていると、結果発表になった。結果は――
―――なんと僕たちの勝利!人数差で言えば、70:30くらいで勝った!
「ぐぬううううううう!くやしいいい!!」
メルキュールは発狂寸前だが、うまく飲み込んだようだ...。お祭り男だなぁ...。




