5時間目:激突少女?!
レオンは職員室から出た後、教室に向かっていた。
いつもなら出席しないのだが先ほどノイシェに、次の行事の細かいルール説明もあるので必ず出席するように言われたのだった。
……戦闘か…それなりに自信はあるが…、何より『何でも願いを叶える』だ。
もし、優勝することができたならば……あの出来事を、過去を変えられるのか……?
だとするのならば、参加し優勝しなくては…!
しかし、ペアになってくれる人がいるか…。
可能性があるのはゲイルかレノンだな…。
一番優勝に近いのはレノンだが、引き受けてくれるだろうか…。
悩んでいると、何処からか声が聞こえてきた。
「あわわ、どいてどいて〜!」
ゴロゴロと、荷物が乗った台車を猛スピードで押している少女がいた。
台車はレオンのすぐ側まで来ていた。
しかし、レオンは寸前で見切り右へ避けた。
すると、少女はこちらを見て驚いた顔をした。
「え、凄い…あ、わぁぁあ!」
ガッシャーンと、凄い音を立てながら柱にぶつかった。
「あってて…、やっちゃったぁ…。」
少女は尻もちをついた。
ケガは特にしていないようだった。
あまりの出来事にレオンも少し驚いていた。
すると少女は台車に乗せてあった荷物をほったらかしにし、こっちに近付いてきた。
「あ、あの! い、今のどうやって?! 凄いです、凄いですよ!」
少女は目を輝かせながら手をとった。
「どうやってやったんですか!?ですか!?」
レオンは顔をしかめた。
……っ、またうるさいヤツが……。
「あの、すみません。 その、急にせまってしまって…。」
「……別に…気にするな…。」
そう言うと少女はパァァと明るくなった。
「あ、ありがとうございます! 私、エレアです。 エレア=リュミエールです。」
『エレア=リュミエール』と名乗った少女はにっこり笑ってこっちを見ている。
藍色のショートカットの髪に、青い大空のような吸い込まれそうな大きな瞳、活発で元気が満ちあふれていた。
「おぉ〜ぃ、エレアー!!」
遠くから少女を呼ぶ声が聞こえる。
「あ、おぉーぃ、フィナー!!」
エレアは声がした方を向き名前を呼んだ。
少女は走ってこっちに近づいてきた。
「はぁ、はぁ、はぁ…。 もぅ、何やってんのよぉ、荷物バラバラじゃない! だから魔法をかけちゃダメだって、あれ程言ったのに…。 あ、もしかしてこの人とぶつかったりしたの?」
少女は着くなりエレアを叱り始めた。
エレアは反省した様子もなかった。
「えへへ、ごめんね〜。 つい、ね」
エレアはてへっと可愛らしい仕草をしながら謝った。
「あ、因みにこの人とはぶつかってないよ? 凄いんだよこの人、寸前の所で避けたんだよ!」
「そんな、キラキラしながら言わないの! それより迷惑かけたんじゃない! ほら謝るわよ?」
フィナと言う少女はしっかりしているらしく、とてもエレアとは一緒だと思えなかった。
「あの、本当に申し訳ありませんでした。 これからは気をつけるよう厳しく言いますので。」
フィナは深々と頭を下げレオンに謝った。
エレアはと言うと
「えへへ、ごめんね〜。」と舌を出しながら謝った。
レオンはフィナの対応に驚きながらも、顔には出さずにいた。
「いや、いい。 気にするな。」
素っ気なく言うとエレアは
「わ〜ぃ、許してもらったー!」などと元気良く笑った。
するとフィナは
「こら、ちゃんと謝りなさい!」と叱っている。
…キーンコーンカーンコーン…
チャイムが鳴った。
授業開始の合図だ。
「あ、鳴っちゃった。 ほら集めて、いい?行くわよ?」
フィナはエレアに移動するように促した。
そして、頭を下げて去っていった。
エレアは
「あ、ちょっと待ってよ〜。」と良いながらバラバラになった荷物を片付けていた。
エレアは荷物の回収が終わると、こっちを見てにっこりしながら、言った。
「それじゃあ、さようなら また今度会いましょうね!」
エレアは台車を押し走り去っていった。
……騒がしいヤツだな……。
レオンは教室へと歩いていった。
どうも九条です。 えぇ、やっとヒロインが出てきました。 相変わらず進みが遅い上に魔法が全く出てこないと…(汗 申し訳ありませんが、盛り上がりまで我慢してください。 魔法はバンバン出していくつもりなので。 えぇ、これからもこの小説を読んでいただけると幸いです。