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迷宮都市の盾使い  作者: はぐれメタボ
7/10

アデルの供養

キマイラ討伐から数日後、俺達はギルドに併設された酒場に集まっていた。

今日はキマイラの素材の分配を決めるのだ。


俺やスレインは迷宮で仲間を失ってしまった。

新たにパーティを組んだり地上で討伐などの依頼を受けるにしても直ぐにとはいかない。

その為にはある程度の資金も必要だ。


「みんな、揃ったなじゃあ分配を始めよう」


カムイの仕切りで分配を始める。

キマイラの素材は全員のマジックバッグを駆使してほぼ全て持ち帰った。


ダンジョンで倒した魔物の素材や討伐証明を捨ててまで詰め込んだのだ。

キマイラの素材の方が価値があるのだから当然だ。


「まず、今回の討伐で最も貢献度が高かったのは盾使いだと思う。

キマイラの素材で希望する部位はあるか?」


盾使いの貢献が大きいのはみんなが認める所だ。

奴が居なければあのキマイラの強力な突進や噛みつきを受け止める事など出来なかっただろう。


『可能なら牙と革、骨を少し貰いたい。

新しい盾の材料になるかもしれない』

「成る程、次にロンダの希望はどこだ?」


そうしてそれぞれの希望を聞き、微調整を繰り返しようやく全員が納得する分配が決まった。


カムイのこう言った所は凄いと思う。

俺には真似できないな。


所で今は生還を祝った宴会中なんだが、そんな中でも盾使いはヘルムをとらない。

隙間から器用に食事を食べている。


今だに名前も名乗らないのも疑問だが余り詮索するのはマナー違反だ。

誰にでも詮索されたくない事はあるし、何かしらの事情があるのかも知れない。


「ご歓談中に失礼します」


そんな俺達のテーブルに1人の男がやって来た。


「マスター、こちらの方達にエールをお願いします」

「あいよ」


………………なかなか、わきまえている奴のようだ。


「皆様がキマイラを討伐された事をお聞きしまして、こうして失礼ながらお声を掛けさせて頂きました」


赤毛の男は行商人のロキと名乗った。

何でも彼が前に世話になった人がキマイラの牙を求めているらしい。


牙は分配の結果全て盾使いの物になった。

盾使いは少し離れた席でロキと交渉をしている。


チラチラと様子を伺っていると盾使いが牙を数本ロキに手渡し、交換に皮袋を貰っていた。

納得する値段で売れたのだろう。

ロキと別れると盾使いが戻って来た。


特に興味があった訳ではないが何となく尋ねてみると、盾使いが牙を売った値段は相場としてはギリギリの値段だ。

ちゃんとした工房に持ち込んだり、オークションにかければ数倍の値がつくはずだ。


しかし、盾使いはその値段で納得しているようだ。

何でも最低価格で売る代わりに薬を手に入れて貰えるかも知れないらしい。

もし薬が手に入らなかった場合、ロキは追加で料金を払う、と制約の魔法を使い約束したそうだ。


成る程、そういう契約を結んだのかと納得した。


宴会の後、スレインと宿に向かう。

俺達は生き残った事を全力で喜び、楽しんだ。

それが死んでしまった仲間の供養になるたろうからだ。

俺達は平気だから心配は要らない。

安心て成仏してくれと言う実に冒険者らしい考え方だった。

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