第4話 幼馴染
しばらくこの物語は、更新を止めていました。
止めている間に、コロナ禍になり、ここで描かれているのは古い日常となりました。
でも、頻発する地震や、火事、台風、何よりコロナ。
生きていることが奇跡だという地球になりつつある気がしています。
「明日、命がなくなるとしたら、人は、あなたは、自分は何をするのか?」
作品を通して、問いかけたくなりました。
手元の原作では、もう物語は『明日の君は、もういない2』を書き始めています。
『明日の君は、もういない』は11年前から構想があって、手元の原作漫画が完成したのは8年前でした。そんな作品なので、古いですが、もう一度、トライしてみようと思います。
何か、感じるものがひとつでもあれば。うれしいです。
いつもありがとうございます。よろしくお願いいたします。
ほんと、明日がどーだとか、何だとか、言われたり何なんだ。しかも、泣きながらとか、勘弁してくれよ。
そう思いながら、窓の外を見上げたら、鳥が一羽、太陽を横切るように飛んで行った。
はあ、憂鬱だ……。
と思ったら、よく知っている声がした。
「瞬くーん!!」
「まーた、遅刻したんだってねー? ハナつまんじゃおーっ」
茶髪のロング、胸のあたりはちょっと開き気味。
「あ´っ、サオリ。やめろっ」
鼻がますます強くつままれた。
「やめ、やめてください。米倉さん」
学年一スタイルも顔も性格もいい(らしい)ということで、サオリはみんなのマドンナだ。そんなやつに、幼馴染だというだけで、俺は付きまとわれている。
「あっ、何それーっ。さっき『サオリ』って呼んだじゃん♪」
周囲がザワザワしだす。特に男子。俺は慌てた。
「呼んでねえ!」
サオリは唇を尖らす。
「呼んだよー。つれないなー。小学校から一緒なのに♡」
♡をつけるな、♡を。周囲が面倒くさくなるから。
ここで俺は、あることを思い出した。だからなるべく冷たく聞こえるように言った。
「それよりお前。こんなオレンジ頭の不良になんか声かけてると、センコーにまた目えつけられるぞ」
この間、偶然、見てしまった。成績優秀、素行もいいサオリが、俺と絡んでいるせいでセンコーに声掛けされていたところを。
「……」
サオリは黙った。と思ったら、驚くことを言った。
「わたしも、オレンジ頭にしよっかなー?」
「!?」
俺は一瞬口がきけなくなったが、すぐに気を取り直して言った。
「や、やめろ。サオリには絶対似合わないから!」
「瞬くんの馬鹿!! センコーに目を付けられることなんか怖くないもん!」
俺のせいで、サオリまで『センコー』呼ばわりだ。またセンコーに聞かれてないといいが。
でも、次の一言は、俺は聞きたくなかった。
「わたしは、不良じゃなかった瞬くんも知って……」
「やめろ」
サオリが、サオリの言葉を遮った俺の声の冷たさに、びくっと震えたのが俺は分かった。もう何も言わないサオリを置いて、俺は席を立った。
「保健室行ってくる。じゃあな」
サオリは、追ってこなかった。