第14話 それが『生きる』ってことだろ?
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男の顔から血の気が引いていく。
「や、やめろ!! 死にたくねええ―!!」
拳銃が、カシャーンと音を立てて、サオリの足元に転がった。素早く回って、後ろ足で蹴って、男から遠ざける。拳銃がなければ、こっちのもんだ。俺はサオリの縄をほどく作業に入った。
男は声を上げて泣きながら言った。
「何で、皆、俺を不幸にしようとするんだあ!! 小っちぇえころ、母親に捨てられて、父親には殴られ続けて、やっと入った施設でも、虐められて、それでも俺は、必死で生きようとしてきたのに、何で、何で……!! うう、うおお」
俺は、男の泣き声を止めようと、一言で遮った。
「やかましいわ」
「……何だと!?」
縄は結構早くほどけた。今度は男をそれで縛りながら、俺は続けた。
「悩みのない人生なんてねえだろが。不幸のない人生も、ねえ。だいたい不幸や試練ってのはな、それを乗り越えられる人間にしかやって来ねえ。だから、信じられる他人の力を借りて、心の足で立って人生を歩いて、お前も乗り越えろ。それが『生きる』ってことだろ?」
「信じられる他人なんか、いるもんか!!」
「お前がそう決めつけてるから、いないんじゃないか。必ずいる。そう、信じろ!!」
俺には、ミーコやサオリがいたから、言えるセリフであるが。
「そういうこと」
サオリの口からガムテープをはがす音の合間に、ミーコが言ったのが聞こえた。
ミーコは走っていき、拳銃を拾うと、両手と口でぐにゃりと筒を曲げて、トリガーも割り壊して、発砲できないようにした。……すごい力だ。って、ミーコ?
「あ、ミーコ、何で俺の外に出てるんだ!? バス、空飛んだままじゃ!?」
「あ。忘れてた」
ミーコはお茶目な顔をして、舌を出した。
「うわああ!! せっかく助かったのにいいいい!!!」
俺たちは叫びながら、バスごと落ちて行った。男もサオリも俺をすごい力で掴んでくる。それに負けないように、俺もつり革を二つ両手で持って耐えた。滅茶苦茶手が痛い。つり革が引きちぎれるか、俺の手がもたないか、どっちか。ものすごい圧で押しつぶされる、と思った瞬間、ふわっと感覚が軽くなった。
気が付くと、バスは俺たちが通っている高校の校庭に不時着していた。
「が、学校だ、よな……?」
「うん、そだネ……」
ミーコはバスの床に両手をつきながら、ほっとした顔をした。
「何だ!? 何だ!?」
ほっとしているのもつかの間、バスの外が騒がしくなった。校庭に警察官や先生たちが走って出てきている。
「こら、鈴木!! お前、今度は無免許でバスを!?」
先生のうちの一人が怒鳴った。俺は、バスの窓を開けて答えた。
「ち、違いますって!!」
「違うって、どういう……」
不自然に言葉が止まった先生がなぜか赤面した。
「よ、米倉……」




