第13話 ミーコ VS ネロ
猫を飼ったことはないのです。だから過去に見た動画を思い出して、動作を書きました。
リアルでなかったら、申し訳ありません。
いつもありがとうございます、よろしくお願いいたします。
「このまま俺を操れ!」
ミーコは、雷に打たれたように振り返った。
「ミーコ、なんでも思い通りになるんだろ? だったら、俺の中に入って、俺を操って、ネロとかいう狼男とあの操られている男を止めてくれ」
「え…」
怯えたような表情のミーコに優しく聞こえるように、俺はミーコの肩に左手を置いて、小さな声で付け加えた。
「そんな顔しなくても、俺、今日死ぬかもしれねえ覚悟はもうできてるんだ。もともと、訳の分からねえ持病のせいで、いつ死ぬかもわからないような体だったしな。でも」
「でも?」
「死ぬ前にやっておきてえことが一つだけあるんだよなー。どさくさに紛れてできるかなあ?」
「何それ、兄に?」
訊かれるように仕向けてしまったが、本当に訊かれるとは思わなかった。俺が一度もやってないこと。
「ばーか、秘密だっての!!」
俺は赤くなりながら、そう誤魔化す。
ミーコはネロの入った男を見据え、静かに言った。
「……わかった。入るよ! ちょっと猫みたいな動きするかもしれないけど」
「ああ、猫みたいでも狼みたいでも、なんでもいいぜ」
「狼みたいなのはちょっとできないけど」
それが合図だった。俺の体は瞬間、両手を前に出して、ジャンプした。手足でつり革の棒につかまり、背を収縮させながら進んでいく。気が付くと、つり革の棒から、最後部の席の上の天井裏に張り付いていた。その間、3秒もなかった。
「……!? おい、どこ行った!? くそお、二人ともオ!!」
ニット帽男、もといネロの怒鳴り声が聞こえた。
「どこって、ここだよ?」
そう言いながら、男の肩に後ろからいきなり触れた。
「!!」
男が振り向いたその瞬間、拳銃の銃口がサオリのこめかみからずれたのを俺、もといミーコは見逃さなかった。拳銃目掛けて飛びついたその瞬間、俺は外の様子が異常なことに気が付いた。これは、いや、これが、ミーコの本当の力なのか……!?
バスにはエンジンがかかっているが、運転手がいなかった。だから動くはずがない。でも動いている。しかも上方向に。つまり、バスはいつの間にか俺たちごと空を飛んでいた。通りの木々が小さくなっていく。
男も、俺の顔越しにそれに気づいたようだ。男の顔から血の気が引いていく。
「な、何がどうなってんだ!? 何でバスが空飛んでるんだ!? 俺はいつもの物をかっさらいにいこうとしただけだってのに……!!」
分からないが、男はネロの洗脳が解けたようだ。
「何もかにも、どうもなってねえよ。おっさんが悪いことしようとするからだろ? しかも俺のフィアンセ候補をどうにかしようとしやがって。おっさん、その拳銃離さねえと、ネロとおっさん、バスごと死ぬことになるぜ? もちろん、うまくいかなかったら俺たちもだけど、な。それは避けたい。できるなら皆助けたい。だから、おっさん、拳銃から手を離せ」
俺は、静かにそう言った。




