第12話 狼男の狙い撃ち
緊迫した場面です。ようやく、物語の核が見えてきた感じです。
すごく自分自身はらはらしながら書きました。
いつもありがとうございます。よろしくお願いいたします。
ミーコは地面を蹴って、バスの上に跳び乗った。
「待て、俺も行くぞ!!」
俺は走って息を切らせながら、バスの中にとび乗った。
「サオリっ」
サオリは半泣きで、ガムテープで口をふさがれ、手足を縛られて奥の座席にいた。そのこめかみのあたりには、さっき見た拳銃が突きつけられている。
男は真冬でもないのに、緑のニット帽をかぶり、サングラス、マスク姿で防弾チョッキを身に着けている。防弾チョッキを身に着けたいのは、俺たちの方だが。
男は言った。
「要求はただ一つ。この女の命が惜しければ、その少女を渡せ」
俺はそれを聞いて、拍子抜けした。敵の狙いは、俺にはなくて、ミーコになのか? でもミーコは俺以外には視えていないはずなのに……。それとも、その仮定が間違っている……?
どちらにしろ、できない相談だ。俺は、サオリも、ミーコも大切だ。そう思って動きだそうとしたら、いつの間にか目の前にいるミーコに、すごい力で止められた。
ミーコは俺を止めたままの体勢で言った。
「ネロ。江波先生と言い、その男性と言い、人間を使うなんてヒキョーよ。出てきなさい、狼男!!」
「ああ、オレはどうせ、神様をだましてばかりで誰にも愛されない狼男だ! しかし卑怯とは笑わせてくれる。ミーコ、お前だって所詮、化け猫で、鈴木瞬を利用しているくせに」
「あたしは兄にをその男性のように、自分の都合の良いようになんて、操ったりしていない。一緒にしないで!!」
「しかしお前はそいつを、そいつの中に入ってそいつの家に連れ帰ったじゃないか。おかげで計画が狂った」
「計画?」
「鈴木瞬の家には、ミーコ、お前が張った結界がある。だからサオリを使ってその結界の外におびき出した」
「サオリちゃんにまで手を出したの!? 許せない、何のために!?」
「ああ、許せねえ。理由なんかどうでもいいが。どんな理由でもな」
そう俺が口をはさんだ。
「理由なんかどうでもいいだと!? 貴様!!」
ニット帽の男、もとい、ネロは激高し、拳銃を一発撃った。俺がその弾をよけようとする前にミーコが立ちはだかった。
気が付くと、ミーコの右手には、砕け散った弾があった。ぱらぱらと弾のかけらが落ちていく。
「そうだ、その力だ」
ネロは言った。俺は男とミーコを交互に見た。
「ミーコが、欲しいからだ。なんでも操れて思い通りにできるお前の力が。だけど、ミーコを手に入れたのは、鈴木、お前だ。だから、お前と戦って、殺そうと思った」
「本当に勝負したいなら、兄にがもっと元気な時にすればいいじゃない!! なのに、兄にを弱らせて。そんなヒキョーな奴にこの力は渡さない!!」
「うるさい!! ごちゃごちゃ言うと本当にこの女を……」
「おい、ミーコ!!」
俺はある提案をすることにした。




