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第10話 きっと誰でも誰にでも

今回は、たくさん書きました。


手元の原作ノートを見ながら、全然違う話になるのは、何故でしょうかw


いつもありがとうございます。よろしくお願いいたします。

ミーコは灰猫を撫でると、


「ごめんね。ありがとう。もう行ってもいいよ」


と灰猫に言った。灰猫は、「にゃあ」と啼いて去っていった。



「明日さ……俺、死ぬんだよな? だからミーコ、会いに来てくれたのか?」


俺はなるべく優しく聞こえるようにそう言った。



するとミーコは、俺の方を向いて、驚くようなことを言った。



「嘘だよ」


 

 俺は、ミーコの言っていることが理解できない。思わず訊いた。


「……え? 嘘なのか?」


「ううん」


 「嘘なのか?」という俺の質問には、「ノー」だ。何が嘘なんだろう?


「正確には、あたしが、ミーコが嘘にしてみせるよ。にいにが、明日、死んじゃうこと」


「明日、俺を死なせないために、助けに来てくれたのか?」


「そんな感じかな? ちょっと、違うけど」


「済まない、ミーコ、ありがとう」


 もっと言わなきゃいけない言葉があるはずなのに、喉の奥に突っかかったまま、出てこない。この際、何が、「ちょっと違う」のかは訊かないことにした。



「ううん。兄に、あたし、忘れてないよ。兄にの顔初めて見た時のこと」



 公園の前で苦しそうに這いつくばっていた灰猫の仔猫を拾ったのは、もう10年以上前の話だ。俺はその灰猫が飼いたい、とすぐ思った。その灰猫は足に怪我をしていて、動けなくなっていた。助けたかった。


 その灰猫を家まで抱えて帰り、母に相談というよりも懇願した。母はすぐ承諾してくれた。


「そんなに言うなら、いいわよ。私も昔、猫飼ってたことあるし。じゃあ、まず病院に連れて行かないとね」


「やったー!! お前、名前は『ミーコ』な!」


「何、それ?」


「だって、男の子がもってるもの、ないみたいだし。きっと女の子だよ」


医者に確認すると、その通りだった。




「ミーコ」と名付けた仔猫は順調に回復していった。



「ミーコ! 俺と一緒に遊ぼ!」


ミーコ、ミーコと名を呼び続けるうちに、仔猫はようやく、自身のことだと認識するようになったのか、ある日、名前を読んだら初めて「なー」と啼いた。


 それまでは知らんふりだったのに、俺の顔をじっと見て何か言いたそうにしていた。



「あの時、兄にと同じ言葉が喋ることができればよかった、って思ったんだよ。ありがとうって伝えたかったんだよ」


「そうか。でも礼を言いたいのはこっちだよ。何匹も猫呼んでくれて、助けてくれて。ああ、さっきの灰猫にもお礼言っておけばよかったな、失敗した」


 少しめまいのようなものが治ってきて、起き上がれそうだ。俺は、上半身を起こした。ミーコがそっと寄り添ってくれた。


「例え、兄にが皆より体弱くても。きっと誰でも誰にでも生きている意味は、あるよ、兄に。あたしが、そうだったように。だから、生きることを、諦めないで。ちゃんと、あたしが、助けるから」


「うん。自分の運命ぐらい、自分で変えられなくてどうすんだって感じだな。でも」


「でも?」


「一人じゃできないことも、お前やサオリや皆がいてくれれば、できると思うんだ。だから、そん時は、よろしくな!」


体を向き直って、ミーコの頭を、ポンポン、とした。ミーコは嬉しそうに、眉を下げて、微笑わらった。



 その時、男にしては違うようなかわいい着信音が鳴った。俺は尻ポケットのスマホを出して、見た。サオリから、メッセージが入っていた。



「明日、学校は臨時休校です。でも会いたいからいつものバス停きてください。」

 

 サオリ……?

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