#81
それぞれ視点を短めにして詰めてます。
SIDEカグヤ&ミルル
「で、具体的にはどういうふうにするんだ?」
街中を歩きながら、今回の買い物を誘ってきたミルルにカグヤは尋ねた。
今日の目的は買い物なのだが、その内容をそういえばよく聞いていなかったのを思い出したのである。
「そうですわね‥‥‥衣服、装飾品、あと本ですわね」
「なるほど」
少々考えた後、発したミルルの言葉にカグヤは納得する。
食料品とかは別に王城や寮で暮らしているミルルにはいらないだろうけど、こういった衣服とか毎日着るものを買いたいようだ。
さすがに普段着が高価なドレスとかいう人はいないからね‥‥‥あ、貴族とかの令嬢で、根性で夏場でも物凄く暑そうなものを着る人がいるとかいう話があったな。
‥‥‥って、衣服?
そこでカグヤは気が付く。
こういう時って物凄く時間がかかるパターンなのでは?
カグヤも普段着とかを買ったりはするが、すぐに決める。
だが、こういう時に女の人は‥‥‥長く決めがちなのであると思ったのである。
というか、経験済み。
アンナと母上が珍しく一緒に買い物に行ったことがあって、それに付き合わされた結果、長時間拘束されたのは言うまでもない。
今回女の子はミルル一人であり、彼女だけならそう長くはかからないだろうが‥‥‥どうも不安になるのであった。
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SIDEアンナ&リース+ナイトマン
『ふむ、まずは服屋に行くようですね』
「衣服か‥‥‥そういえば、僕こほん、私も買ったほうが良いのだろうか?」
いまだに男の子としての感覚を引きずっているリースだが、衣服には興味がほとんどなかった。
これまでの買い物などにしてもさっさと決めて、機能性を重視していることが多かったのである。
だが、女の子として過ごせるようになった現在、普段着を増やしたほうが良いのではないだろうかと考えるようになったのであった。
『私も服を買いましょうか。買い物に混じって堂々と店内に入って見れますし、ついでに服も増やせますからね』
アンナの場合、カグヤの母との戦闘に付き合わされることが多く、衣服がボロボロになりやすい。
魔法で修繕したりはするが、何度も何度もやるのは疲れるのだ。
というか、面倒くさくなってくるのが本音である。
そんなわけで、二人ともカグヤたちが店内に入るとタイミングをずらして、こっそり入店するのであった。
『おおぅ……流石に我輩は入れないでありますな』
鎧の体のために、普段衣服なんて着る機会のないナイトマン。
その為、店内には入れずやきもきしながら待つしかなかったのだった‥‥‥
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SIDEサラ
「てやぁぁぁぁぁァ!!」
「ぐはぁっつ!!」
その頃、サラは街中で逃亡していたスリを巴投げして、地面にたたきつけていた。
少女の見た目だが、それでも中身はドラゴンのサラ。
それに、体術とかもしっかり学ぶようにしているためにスリ程度であれば楽勝だった。
‥‥‥ただし、力加減がまだ今一つで、地面にたたきつけた際にスリは全身骨折したうえに、地面もへこんだため、駆けつけてきた衛兵たちにサラは少々説教を喰らうことになった。
「困りますね。過剰な防衛は感心できません」
「すいませんでしタ」
「ですが、その体術の腕はすごいです。スリの確保は感謝いたしますが、この機会に街中を守る衛兵の仕事のバイトでも」
「結構でス」
すばやくサラは断ってその場から離れ、出来るだけこういう貴重な人員を確保したい衛兵たちはがっかりするのであった。
「ああいう勇気あるお嬢さんがいればこの仕事も楽なんだけどな‥‥‥」
「もったいない人材だ。この仕事は力もそうだが、犯罪の抑止力にならないといけないしな」
「でもお前の場合、あの揺れ動くものに目を奪われていただろう?」
「やめろ!そんな目で見るな!!俺はロ、げふんげふん、あんなものに目を奪われるほど軽い男ではないわ!!」
「‥‥‥今なんて言った?」
衛兵の一人が口を滑らせかけたその言葉に、周囲はドン引きしたのであった。
服屋と言えば試着。
ここで衣服を変えてみるにしても、何かしらのハプニングは起こしてみたいものである。
テンプレ(多分)入りまーす!
次回に続く!!
‥‥‥ナイトマンって、改めて考えてみると騎士の鎧である物質型というよりも、アイアンゴーレムとかに近いような感じかもしれん。
そしてサラの方では珍道中というか、彼女の休日での出来事が起きているなぁ。




