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#80

少々日常的かな?

「‥‥‥こうして実際にやってみると、この才能って使いようによってはいろいろできそうだな」

「そんないともたやすく、扱っている時点で本当に目が離せない人ですわね」


 夏休みのある日、本日カグヤはミルルと共に街中を歩いていた。


 とはいっても、いつもの二人の格好ではない。



「『完全偽装の才能』って下手な変装をするよりもきれいに隠せるんだなぁ」

「自分でやっておいて、驚くところですか?」


 白くなった(・・・・・)髪をいじるカグヤに対して、明るい茶色(・・・・・)の髪色になったミルルがツッコミを入れた。





 今回、カグヤはミルルから誘われて街中での買い物に付き合わされることになった。


 特に夏休みで今年は帰郷の予定も特にないので、カグヤは了承し、本日買い物を一緒にすることにしたのだが、ここでふと思いついたのが、才能による変装である。


 一緒に行動するミルルだが、一応この国の第5王女である。


 ナイトマンのような護衛もいるとはいえ、今回はこっそりお忍びで行く感じにしたいそうである。


 皆で行動している時ならいいのだが、シグマ家の三男であるカグヤと二人きりだと、あらぬ噂を立てられそうだからとか、それでシグマ家に目を付けられる可能性を考えると出来るだけ目立たないような格好で行きたい。


 そこで、カグヤが思いついたのはリースの才能でもあった「完全偽装の才能」を使用することであった。



――――――――――――――――――――――――――――――――

「完全偽装の才能」

有機物だろうと無機物だろうと、何かを全く別のものに見せることができる才能。

たとえば、その才能を使えばただの石を宝石に見せたり、自身の容姿を全く別の者に偽ることが可能な才能。ただし、一つにしか使えず、複数に展開することは不可能ではないが、それなりの努力が必要となる。


―――――――――――――――――――――――――――――――



 リースが使用した時は、自身を男に見せかけるだけの偽装であった。


 「才能学習」でリースから学び、会得したその才能をカグヤは使用したのだ。



 とはいっても、そこそこ練習は必要であったが。案外制御が難しく、これで良くリースが長い間ごまかせていたものであるとカグヤは思えた。


 何しろ、自分自身を変えるだけでもしっかりできていないとシマウマみたいな模様になったり、この間の事件が尾を引いているのかタコのような姿になったり、挙句の果てには変身的なイメージを持ったせいかピンクの悪魔ともピンク玉と呼ばれる某ゲームのキャラの姿になったりと、大変だったのである。


 あれはもう二度と元の姿に戻れなくなるのではないだろうかと恐怖に思ったよ‥‥‥


 まぁ、何とか制御できるようになって、そのうえ複数展開も可能になり、自身ともう一人だけを変化させられるようにはなったけどね。




 とにもかくにも、才能の使用によって二人の格好はいつもと変化していた。


 カグヤの特徴的な黒目黒髪は、赤目白髪な色合いに変化。


 ミルルの場合は、金髪ロングストレートで赤目だったところを、明るい茶髪の金目に変化させて、髪形はショートカットなボーイッシュ風へと変化した。


 長い髪ではなく、たまには短い髪形で出歩いてみたいという要望があってである。髪色に関しては、なんとなくで決定。


 なお、カグヤの容姿に関しては、髪の色を反対にして、目の色が思いつかなかったのでミルルの元の目の色を参考にさせてもらっただけであるが、何かに似ているような気もしなくはない。いや本当にどこかで読んだことのあるラノベの主人公に似ているような‥‥‥深く考えるのはやめておくことにする。


 某かめ〇め波をだす主人公風の髪形も考えたけど、あれは似合わない気がして辞めた。後々黒歴史になる可能性も否定できないので‥‥‥



 服装までは才能で偽装しておらず、そこは自由にした。


「せめて体型も変化させたかったですわね。‥‥‥そういえば、リースは確かあの胸で、男性になりきるためにペタンコな偽装できたのであれば、その逆も可能なはずですわね」


 ぽつりと、胸に手を当ててつぶやいたミルルの発言を、カグヤは聞かなかったことにする。


 こういう話は、ほぼ確実に地雷だろうからね‥‥‥ベスタが以前、思いっきり踏み抜いて女子たち全員(正確には持っている者たちを除く)に総攻撃されたのは最近の事であるが‥‥‥人って集団でやれば300コンボ以上空中攻撃ができるんだと学べた。





 とりあえず、今日は街中を適当にうろつき、二人での買い物を楽しむことにする。


 こういう誰かと買い物に行く機会はアンナ以外では初めてなので、カグヤは少し緊張しつつも、ミルルと共に街中に乗り出すのであった‥‥‥。


――――――――――――――――――――――――――――――――――――

SIDE女性陣+ナイトマン


『王女様、気が付かれるでありましょうか‥‥‥』


 カグヤとミルルが一緒になって歩き始めたその背後の物陰にて、護衛として離れて見守るナイトマンの姿があった。


 見た目が鎧の騎士なので、少しは驚かれる目で見られもするが、中に人が入っていると思われているのか特に気にされることがない。


 その為、物陰からしっかりとミルルが自身の感情の正体に気が付くように、ナイトマンは今日一日見守ることにしているのであった。



‥‥‥そして、その物陰とはまた別の物陰では。


「‥‥‥なぁ、本女。これってもしかしてだが」

『こういう時だけは意見が合いますよね。多分あなたと考えていることは同じでしょう』


 リースとアンナが、互いに物陰からカグヤたちを見守っていた。


 アンナは本の姿の状態で、リースは「完全偽装の才能」で久しぶりの男の姿になって変装しており、こっそり後をつける気満々である。


 本日、アンナはカグヤの護衛をするという事で隠れて見守っているのだが、表向きは見守るという事でも、裏向きは異なる。



「デートのように思えるんだよな」

『ええ、まだ気が付いていないようですが、どちらも天然か鈍感化‥‥‥ミルルさんは気が付いていないようですが、あの感情を自覚されると100%の確率でまずいと判断できますからね』



‥‥‥男女二人での街中の買い物。


 どちらもお年頃であり、カグヤはほとんど気にもせずに自然体であろうが、ミルルの方の動きがぎこちない。


 己の感情を探っているようだが、それが判明されるとなんとなくいけないような気がして、リースとアンナはこの日協力し合って見守ることにした。


 もし、ミルルがその感情をしっかりと自覚してしまえば‥‥‥互いにとってあまりいい話ではないのだ。



 犬猿の仲だろうと、馬が合わないだろうと、今回ばかりは協力し合う二人なのであった。


 一人の男をめぐる女性の思いは、時として友情のような物を芽生えさせるのである‥‥‥



 なお、こういう時にサラも出てきそうなものだが、彼女の場合は愛人確定という事で決めているようで、余裕があるのかのんきに気が付かれない程度に近くを歩いていたりする。


「従者としてもいるので、身の回りの安全を確保するだけですヨ」



果たして、ミルルはその感情に気が付けるのだろうか。

そして、見守る者たちが水面下で起こす行動とは。

次回に続く!!


‥‥‥「完全偽装の才能」はあくまでも見た目の偽装。なので、どこかでほころびが出たりもするのだが、その事を考えるとずっとばれていなかったリースって結構すごいんだよな。

なお、テンプレの使用あるかも。ハプニングとかちょっと見たいじゃん。

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