#72
サービス回?
創造にお任せいたします。
PCの更新プログラムって長いなぁ……
青い空、白い雲。
「そして輝く海……と言いたいけどここは湖!!」
『どこか残念そうな感じがしますね』
アンナにツッコミを入れられつつも、カグヤは無視したのであった。
バーステッド王国とデストロイ帝国の戦争回避のための会談初日を終えて翌日。
本日はそれぞれ一旦整理したり、考えたりすることで会談はお休みであり、明日にはまたそのことで会議されるらしい。
けれども、せっかく帝国の中でも観光地として名高いティラーン湖に来ているので、今日は湖で皆と遊ぶことになったのであった。
護衛の人達は一応鎧を着て周囲を守っており、万全の態勢が整えられている。
カグヤも護衛なことは護衛なのだが、そもそも必要ないぐらいの実力なので遊ぶのは許可されていた。
なので、今の格好は楽なハーフパンツの水着であるのだが……
『にしても、こうやって泳ぐのは久しぶりですよ!!湖ですから海とは違いますが、それでも泳げるのは気落ちが良いのです!!』
バシャバシャと水しぶきを立てて泳いでいる、人の姿の状態になったアンナが目の前にいるのだが、正直に言って目のやり場に少し困る。
彼女が来ているのは一般的というか、普通のビキニタイプ(黒色)の水着にしてはいるのだが……いかんせん、どこか色っぽい。
買う際の迷っていた紐タイプよりは布面積は広いはずだがなぜだろうか。
でかいし、へこむところはへこんでいるし、普段衣服の上からでもわかるようなスタイルが、脱いだことによって破壊力を増しているのである。
昔から一緒にいるとはいえ、最近だと目を合わせにくいんだよなぁ……
あ、護衛の一人が空を飛んだ。鼻の方から赤いものがジェットエンジンのように噴き出ているけど、悩殺されたのかな?いや、「脳」殺か?
前世の大魔法使いの種族はハーフサキュバスでもあったそうだが、その色気は無意識らしい。
母親譲りだったそうだけど……アンナの母親ってどんな人だったんだろうか。
「ぐぬぬぬ!本女よ、あっちまで競争しろ!!」
『あら、良いですね。受けて立ちましょう!!』
アンナに対抗心を燃やしたのか、男だった時の髪色同様の青いビキニタイプの水着を着たリースが、アンナに水泳での勝負を挑んだ。
こちらはこちらで銀髪が水に濡れて輝いているように見えて、中々綺麗な光景である。
彼女は午後から皇帝と秘密裏にちょっと会うことになっており、その為、午前中にめいいっぱい遊ぶつもりなのだろう。
なお、リースの従魔であるニャン太郎だが、小さなサングラスを付けて、浮き輪で湖を漂っていた。
猫なのに水が苦手でないのだろうか……ああ、魂魄獣だから違うのかね?
そして今まさに競争しようとしているアンナとリースだが、その揺れ動くものをもう少し制御してください。
貴女方のせいで今まさに護衛たちが爆発してますってば。……あ、帝国の方の護衛らしき人まで被害が拡大していやがる。
やばいな、悩殺国際問題とかにならないよね?ハーフサキュバスってサキュバスとは違ってほぼ人みたいなものらしいけど、悩殺力が高すぎだろ。
「あの二人の争いってすごい余波が出るなぁ……」
「仕方がないですわよ。あの二人のスタイルの良さははっきり言って同性のわたくしでさえも嫉妬してしまうほどですもの」
カグヤのつぶやきが聞こえたのか、パラソルの下、白いワンピースの水着を着たミルルが王族らしく優雅にくつろいでいた。
清楚さが映えてなかなかいいとは思うのだが……やはりスタイルが気になるのか。
「……何か失礼なことを思いませんでした?」
「いえ何も思っていませんよ」
心の声が聞こえたのか、じろりと見て来たミルルに対して、カグヤは慌てて目をそらした。
『ふむ、カグヤ殿は女心が分かってないでありますなぁ』
「余計なことを言わないのですわよナイトマン」
『承知であります』
ミルルの魂魄獣であるナイトマンの言葉に、ミルルはこっそり聞こえないようにしながらもそう命令した。
もやもやとしているというか、なんかこういらだつのだが……まだ彼女には、わからない感情のようである。
けれども、その正体が何かは魂魄獣であるナイトマンは察したので、主が自覚するように願うのであった。
「うぉぉぉぉぉぉぉっ!!」
『負けませんよ!!』
と、ふと気が付くと競泳で物凄い水しぶきをあげて争うリースとアンナの姿が目に入った。
「魔拳闘士の才能」や魔法によっておそらく自身を強化しているのだろうけど、確実にオリンピック選手越えだろう。
……って、ん?
ふと、カグヤは気が付く。
水しぶきで見えにくいが、何か大事なものが見えていないような気がするのだ。
というか、なければいろんな意味でまずいような……
『「到着!!」』
ざっぱぁぁぁん!!と、同時に湖から飛び出す二人。
カグヤの目のまえで勢いよく飛び出たのだが、そこでカグヤは気が付いてしまった。
というか、見えてしまった。不可抗力だけど……
「二人とも脱げてるよ!?」
「『へ?……きゃぁぁぁぁぁぁあl!?』」
水の抵抗がすさまじかったせいか、彼女達の胸部を覆い隠す水着がいつの間にか脱げていたようで、ポロリと形のいいものがこぼれていた。
それに気が付いたリースとアンナは、羞恥心ゆえに一瞬で顔を赤く染めて……
「み、見るなぁぁぁぁぁ!!」
『事故だと恥ずかしいですよ!!』
ドゴゥゥゥゥ!!
「がっ!?」
片手で隠しつつも、もう片方の拳でカグヤに見事な切れのいいストレートが入った。
しかも、先ほどまで競泳で才能や魔法で強化したままの状態であり、隠されたところを見て動揺したカグヤはその反応に遅れ、直撃を喰らう。
……この日の教訓により、脱げない水着を二人はつけることにするのだが、カグヤの身体がかなり空高くまでふっ飛ばされたのは言うまでもない。
「身体強化」の魔法で強化されたままの拳と、「魔拳闘士の才能」で魔法を纏った拳!!
カグヤに会心の一撃が決まった!!
そのまま天高くまでカグヤはふっ飛ばされた模様。落ちてくる際には、慌てて我に返ったアンナが魔法で受け止めたけど、落ちてきた速度も考えると恐怖体験であろう。
幸か不幸か、ふっ飛ばされた一撃で前後の記憶で一部消去されたようである。
……その様子を見ていたミルルは、再度自身の胸部を見て、落ち込むのであった。




